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第六十七話 勇者の動向

はい、どうぞ。



 ゼロの配下がジガルド街を潰して、一週間経った後…………






 まだ再建中のメイガス王国、そのギルドのある部屋にまた勇者達が集まっていた。

 それは、ギルド長代理であるリディアの呼び出しがあったからだ。

 今までは勇者カズトを鍛えるために、ギルド長であるガイウスも一緒にシバいていたのだ。そこにギルド員が直接呼びに来たので、今に至るのだ。




「おいおい、呼び出しか? また街が潰されたとは言わねぇよな?」


 せっかくシゴキしがいの後輩みたいのに出会えたのに、特訓の途中に止められて少し不機嫌なガイウスだった。

 反対に、カズトは助かったと思っていた。




 この世界には、ゲームみたいにレベルがあるわけでもないので、カズトが強くなるためには自分で鍛えて、身体能力を向上させて『正義者ヒーロー』に堪うる身体を作り出す必要があるのだ。

 『正義者ヒーロー』を発動する度に、倒れられては、足手まといなのだから、まず『正義者ヒーロー』のデメリットに耐える身体を作ることから始めたのだ。

 だが、前の世界ではそんなにキツイ特訓をしたことがなかったカズトにはキツすぎたのだ。

 余談だが、カズトは帰宅部であって、身体をあんまり鍛えてなかったから、そのツケが今に降り懸かっているのだった。

 まだ疲れが残っているカズトを気にせずに、ガイウスは何のために呼び出しをしたのか聞いていた。


 街を潰されたのと言うのはガイウスなりの冗談だったのだが…………






「はい……、その通りです……」

「はぁっ!?」


 ガイウスが言った冗談のそのものが当たっていたようだ。




「ど、何処の街なんですか!?」

「ジガルド街です」

「え、ここから三日の距離じゃない!?」

「まさか……、またトーア街みたいに……?」

「はい、その通りです。また死体が無くなっていました。戦いの傷や血の跡があったので、戦いがあったのは確実ですが、街には誰もいなかったのです」

「そんな……、い、生き残った者は?」


 戦いがあり、誰もいないと聞いて、最悪の予感がするのだ。




「ここまで報告してくれた方は、たまたまジガルド街から離れて依頼を請けていた冒険者のパーティです。他に何組かいましたが、今は他の街に知らせに行っています」

「ということは、生き残ったのはその冒険者だけと?」

「ええ……、おそらくは……」


 まだ捜査をしてないから詳しくはわからないが、あんなことがあったのに、他の住民が知らせに来てないことがおかしいのだ。

 他の街から竜騎士が報告してくれたが、ジガルド街からの住民の報告が無いことから…………




「あの冒険者以外は全滅したかと……」

「くっ!!」

「無くなっていたのは死体だけか?」

「無動作に開かれたドアなどが沢山見かけたと報告がありました。

 しかし、中はあまり散らかっていなかったので、死体を回収するためだけにやったと考えます。

 敵らしきの姿が見えなかったので、ジガルド街もトーア街の様に放っていたかと……」

「死体だけか……、首謀者はトーア街を襲った者と同じ可能性が高いな」


 今、わかることは街を襲った奴は、死体を集めていること。

 その死体を集めるために、街を襲ったことも…………




「畜生っ! 何が目的なんだ!?」


 憤慨するマギル。死体を集めるだけのために、街を襲って死体を増やす敵のことを許せそうは思えなかった。




「死体を集めているんだよね……? 首謀者は死体を操ることが出来るから兵を集めているのではないの?」

「は? 死体を操るだと? それは聞いてないぞ」


 死体を集めているのは聞いていたが、操るまでは報告を聞いてなかったのだ。

 ガイウスは村とトーア街を襲った奴は人形を操っていたと聞いていたが、死体だと知らないのだ。

 マギルもそのことを思い出し、前にここの街を襲った化け物は死体で出来ていると説明した。

 あれは沢山の死体を使って造りだし、操っていると推測だが、話しておいた。




「阿呆か! それを早く話さん!?」

「すいません……、最近は色々ありすぎて……」


 マギルの言う通りに、最近は色々ありすぎて、報告してないけとがあって少しだけ齟齬があったようだ。




「成る程な……、あの首謀者は死体を化け物みたいに造り出せるみたいだな」

「おそらく、化け物を増やして何処かに攻めるつもりではないかと思うわ」

「化け物も厄介だが、街を潰した奴らも危険だぞ」


 今回のジガルド街での目撃者はいない。何人で襲ってきたかはわからないが、死体がないことにトーア街を潰した奴らか、その仲間である可能性が高い。

 兵力はどのくらいかはわからないが、トーア街やジガルド街の兵力を超える実力があるのはハッキリしている。

 そんな奴らがさらに死体を集めて兵力を増やしていることに、頭を抱えたくなる気分だった。




「他の街に警告を出して兵力を増やすしかないか……」

「ええ、敵の最終目的が何なのかわからないのでは、手の打ちようはないわね……」


 正体が上手く掴めてない敵にどう警戒すればいいのかわからないのだ。

 一応、目撃者が見た程度しかないが、怪しいと思うゼロのことは確信がないからそれぞれのギルドに通達出来ないのだ。

 もし、間違っていたら、ギルドの信用が地に落ちてしまう可能性があるから確信が無い限り、通達することはないのだ。




「街を潰されたのはわかった。呼び出したのはそれを伝えるだけではないだろ?」

「はい。ジガルド街に赴いて、調査をお願いしたいのです」


 依頼をするために、呼び出したようだ。

 何故、勇者パーティに頼むかは、もし敵に出会っても生き残れそうのは元SSランクのガイウスが一緒にいて、Sランクが二人もいる勇者パーティしか思い付かなかったのだ。




「敵に出会ったら戦っても逃げても構いませんが、必ず生き残って帰ってきて下さい」

「ああ、無理はしねぇよ」


 調査の依頼なのだから、無理に戦う必要はないのだ。潰した街に敵がまた来る可能性は低いが、念のために言っておくリディア。




「聞いたか?」

「はい。調査しに行くのですね」

「そうだ。残念だが、特訓は一旦、中止だな」

「そ、そうだね」


 残念がるガイウスの裏腹に、カズトは心の中で少しホッとしていたのは誰にも秘密だ。




 カズト達はリディアから依頼を請け、ジガルド街に向かうのであった…………







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