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第六十四話 拠点に帰還

はい、どうぞ。



 ソナタが泣き止むまで、待ってあげてから、聞きたいことを聞いた。

 大層に驚かれたが、やっぱり知らないと言うことだった。

 一応、人間を殺すことに忌避はあるか聞いてみたが…………


「い、いえ! 私も人間の盗賊を返り討ちにして、罠にかけて殺したことがありますが、何も感じませんでした」


 魔物になったせいなのか、ここの世界の命が軽かったためなのかはわからないが、問題はなさそうだった。




 ソナタを配下に引き入れたゼロ達は、一先ず、拠点に帰還することにした。

 配下になったソナタのステータスはこうなっている。




ステータス

 名称 ソナタ

 種族 悲霊女

 称号 ”ゼロの配下”

 スキル

    希少スキル『自然幻想モトムモノ

         (高位幻覚・思考加速・別離結界・自然創造)


    通常スキル『病弱』、『熱耐性』、『毒・麻痺耐性』、『幻覚無効』、『物理耐性』、『不眠』、『魔力察知』、『魔力操作』、『鑑定』、『魔力隠蔽』




 ソナタが住んでいた森はただの幻覚ではなく、実体があり、『自然創造』で造られた物なので、拠点へ出発する時に、ソナタが『収納』に似た能力、『別離結界』で回収したのだった。

 『別離結界』は一つの場所しか作れず、半径100メートルしかない領地だが、上手く使えば、隠れ家を造ることが出来るだろう。

 『自然創造』は、名の通りに自然を造ることが出来るが、それは『別離結界』の中だけしか造れない制限がある。

 ステータスを見れば、戦闘は出来ないとわかる。

 ソナタの出来ることは幻覚で相手を欺き、隠れ家に隠れることだろう。


 だが、ゼロはソナタに頼みたい仕事があるのだ。それは…………




「え、食糧係ですか?」

「ああ。『自然幻想』の中に『自然創造』があるだろう? あの能力で果物が実る木や野菜を作る畑は造れないか?」

「は、はい。出来ます。ただ、細かい制限があります。

 知識にある野菜や果物なら造れますが、出来上がるには個別の差にあります。そして、育成、収穫するための人手が欲しいです……」


 さらに詳しく聞けば、それぞれの野菜や果物が出来るには、時間が必要であり、『自然創造』で直接に野菜や果物を生み出すのは出来ないようだ。

 まず、元になる木と野菜の種を作り出してから育てる必要があるのだ。

 『別離結界』はソナタの魔力が通っていて、栄養が高いから外と比べて野菜や果物が出来るのが早いという。


 だから、ゼロはソナタに食糧係を任せたいのだ。




『……戦えないソナタに……ピッタリの仕事だね……』

(農民はどうする? さすがに人手が足りないし、何処かの村から拉致っとくか?)

『……人間に裏切られたら、ソナタが危ない……』

(そうだよな……、奴隷にするスキルもないからな)


 ゾンビを造って収穫をやらせても、ゾンビは腐っているし、腐った手で触った物を食べたいとは思わないだろう……




『……なら、前に話したドワーフはどう……?』

(あ、そういえば、その村に行って仲間に引き入れるとか話したっけな)


 元々、引き入れたいと思ったドワーフな仕事をやらせるのもいいだろう。

 ただ、悪人であるこっちの仲間になるかは予測出来ないが…………

 レイと会話して、とりあえず拠点に戻ってからその後の指針を決めることに。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 一週間掛けて、拠点に戻ったゼロ達。

 ソナタと一緒だとたまに休憩を入れなければならないが、その問題はフォネスがおんぶをすると言うことで解決したのだった。




「ようやく我が家に着いたか」

「え、この洞窟が……?」


 ただの洞窟にしか見えないのが我が家と聞いて、ソナタはポカーンとしていた。




「ソナタ、先に言っておくけど、ただの洞窟ではありませんよ?」

「えっと……?」

「中に入ればわかりますよ」


 そう言って、洞窟に入らず、森の中に入っていくゼロ達。

 何も聞かされていないソナタは訳も分からずに着いていくしか出来なかった。

 ゼロ達が向かった先は、転移陣があり、ゼロは手元にクリスタルを呼び出し、ソナタの魔力を登録した。




「ここに入れば、すぐに我が家だ」

「は、はい……」


 洞窟の入口があるのに、この陣に入れば、すぐに我が家だと言われても理解出来ないが、言う通りに陣の上に乗ってみると…………




「キャッ!?」


 ソナタの姿が消え、続いてゼロ達が入っていく…………









 転移先はダンジョンの迷宮を抜けてすぐの所で、そこには驚いて座り込んでいたソナタとお迎えに来ていたクロトとガルムがいた。




「お、出迎えをしてくれたのか?」

「はい。我が神の気配を感じて、ここで待たせてもらいました」

「それは殊勝なことだな。留守番お疲れ様だったな」

「ククッ、誰も現れませんでしたので……」

「誰も来なかったよ」

「そうか。ああ、紹介しないとな。配下になったソナタだ。仲良くするように」

「そ、ソナタと言います!」

「ククッ、緊張しなくてもいいですよ。私達は我が神に造っていただいた者で、クロトとガルムと申します」

「よろしくね〜」


 ソナタはクロトの言葉に疑問が浮かんだが、今ではなくても聞けるので、自己紹介だけにしたのだ。




「よし、これからソナタにダンジョンのことを説明するから、お前達は部屋に戻って休んでもいいぞ」

「「「はっ!!」」」


 フォネス、マリア、シル、ガルムは自分の部屋に戻っていく。

 クロトは戦力報告があるため、ソナタに説明し終わるまで待つようだ。




「ここは俺のスキルで造ったダンジョンだ。今は地下三階までしか造っていないが、お前の場所を造るから地下四階にして、地下三階の全てがお前の場所になる。いいな?」

「は、はい。ここはゼロ様のスキルで……?」

「そうだ、簡潔に言えば、お前の『別離結界』に似ているかもしれないな。それで、地下三階で『別離結界』と『自然創造』を使って食糧係を頼んだぞ」

「了解しました。私にお任せ下さい」

「よし、人手は今度準備するから、出来ることだけやればいい。もし疲れたら遠慮なく休んでいいからな」


 細かい打ち合わせを終わらせて、ここを地下四階に移し、ソナタは地下三階に向かった。




「で、クロト?」

「ククッ、私が造った死体人形軍隊ですが、数は…………」




 死体人形軍隊


 歩兵人形×100

 魔兵人形×40

 斥候人形×20

 大型人形×3




(ふむ、二週間ぐらいでこれだけ造れたなら上出来か?)

『……うん、ちゃんと死体集合体の材料を……残している……』

(二体ほど造って、クロト、ガルムとあと二体を指揮する布陣で行くか……)

『……それがいいね……』




 戦力を確認し終わり、クロトも自分の部屋に戻る。




 ゼロとレイは旅帰りだが、休まずに、死体改造室に向かって新たな死体集合体を造り始めるのだった…………







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