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第五十七話 聖なる街

今回は勇者関係者の話で、いつもより短いです。



 ゼロ達がローナ街で準備をしている頃…………









 聖アリューゼ皇国はで大騒ぎだった。

 その理由は、『風塵の勇者が死んだ』と星神宮からの情報が伝わったからだ。






「なんだと!? 派遣した『風塵の勇者』の勇者タケシが死んだのか!?」

「はい、星神宮から連絡がありました」

「何ということだ……」


 聖アリューゼ皇国の主力である勇者タケシが死んだことに、立派な服を着た上司に見える老人は唸っていた。

 しかも、相手は魔王ではなく、魔物なのだ。

 『風塵の勇者』を鍛えさせるために派遣したのに、殺されるとは思ってなかったのだ。


 それで、星神宮とは、何なのか、と疑問があるだろう。

 異世界から召喚されたら、その情報を知ることが出来る魔道具がある場所が、星神宮なのだ。

 星神宮も聖アリューゼ皇国の領地に入るが、街から離れており、一週間ぐらいの距離があって、そうそうと行ける場所ではない。

 星神宮が街から離れた場所にある理由は、場所の問題なのだ。

 星神宮がある場所には、異世界からの召喚を知り、その召喚者の場所がわかる魔道具に必要なエネルギーがある。

 そのエネルギーを人間達は仙気と呼んでいる。


 星神宮は、龍が住まうと言われている仙龍山と言う頂上にあり、実際に龍を見たと言う者はいないが、強い魔物がうようよしているのだ。

 そんな山は簡単に登れるわけでもなく、星神宮には結界が張っており、元SSSランクが何人か待機している。

 仙龍山にいる魔物でも相手にならないほどであり、安全は保障してある。

 そんな所にしかないエネルギーで、ある魔道具を動かしているのだ。


 今回の勇者が死んだと言う情報は、魔道具から『風塵の勇者』の反応が消えたからわかったことだ。

 魔道具からの反応が消えたから、死んだか元の世界に戻ったかのどちらかになるが、今の技術では召喚された者が帰ることは出来ない。

 なら、死んだとしか考えられないのだ。




「勇者タケシがやられたとなると……」

「第二聖騎士も全滅していると考えた方が良いかと」


 老人は星神宮からの使者からの言葉にむむっ……と唸ることしか出来なかった。

 偉い立場にいる老人は第一聖騎士以外を動かす権力もあるが、第二聖騎士がやられたとなると、実力では劣る第三聖騎士では勝てないだろう。

 唸っている老人が、第二聖騎士以上の強者に頼める存在と言えば……




「く、あの勇者は好かん……」

「あの勇者とは……『雷獣の勇者』ですか?」

「そうだ。あの男は命令違反をすることが多く、頭を痛ませる奴だ……」


 老人はどうしても『雷獣の勇者』を動かしたいとは思わないのだ。

 『雷獣の勇者』は名前の通りに、珍しい雷魔法を扱う勇者であり、一年前に召喚されて、今はSSランクの強者だ。

 『風塵の勇者』が戦った場合は、間違いなく、百回やって、百回勝つと言えるほどの実力はあるのだ。

 まだ唸っている老人に星神宮の使者が声を掛けていた。




「では、向こうから何も言ってきてないなら、放っては?」

「む?」

「勇者を倒したといえ、魔王ではなく、魔物でしょう? ならば、放って置けば他の魔物に消されることはあるでしょう。わざわざ魔物ごときに、また勇者を動かして仇討ちをする必要があるとは思えません」

「なるほどな……」


 確かに、派遣先からの応援もないし、街を襲ってきているわけでもないのだ。

 さらに魔王ではないから、危険度も低い。

 使者はわざわざ、対魔王として育てた勇者を魔物にぶつける必要はないと言いたいのだ。




「だけど、何もしないのは駄目でしょうし、ギルドに依頼を出して、討伐させれば少し面目は守られるかと思います」

「ふむ…………、よしその案にするか」


 使者の案に決まり、老人は嫌いな勇者を使わずに済みそうで安堵していた。




「しかし、勇者が簡単に死んでしまっては問題があるな」


 そう、勇者は十年で五人も死んでいるのだ。

 魔王ラディアが新人といえ、二人を殺し、さっき『風塵の勇者』が死んだのだ。

 残り勇者は何故か一人が聖アリューゼ皇国を裏切り、もう一人の勇者が相打ちで死んだ。

 裏切った理由はわからないまま。


 上は魔人や魔王の仕業だと言うが、何も証拠がなかったのだ。

 わけがわからないまま、勇者が二人も死んで…………、十年で五人も死ぬのは多過ぎると言える。

 今までの勇者は必ず、誰も希少スキルを持っており、対魔王には重宝されている。

 だから勇者を召喚する国は多いが、召喚には沢山の高等魔術師が必要であり、沢山の魔力を消費しても成功する確率は5%だけなのだ。

 しかも、一回、召喚魔法をやった魔術師はもう召喚魔法が使えなくなる。


 それらの厳しい条件があり、召喚魔法は難しい魔法だが、成功すれば勇者と言う兵器が手に入るのだから、召喚魔法はいつになっても無くなることはないだろう…………




「それは今後の会議で話してはどうでしょうか?」

「それはそうだな。ワシだけが悩んでも解決できる問題ではないからな」


 今はギルドに依頼を出すことを考えた方がいいだろうと、椅子から立ち上がる。

 これからギルド長と話をしなければならないのだ。




 しかし、たかが魔物といえ、勇者と聖騎士50人を倒せるのか……? やはり、会議で議題にした方がいいか……?


 またも老人は唸りながらも、足を止めずにギルド長の元に向かうのだった…………







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