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第二十三話 また勧誘!?

はい、どうぞ。



 街に戻ったゼロはすぐにギルドに向かっている。

 この間の依頼報告をするためにだ。






「やっ、リディア。依頼報告したいのだが……、何があったんだ?」

「あ、ゼロ様! 生きて帰ってきたのですね! 実は、急に化け物が出てきて暴れていたんです……」

「化け物が? そっちこそ、よく生きていたな」

「そうなんですよ。化け物が鈍重だったから避難出来たけど、街の三分の一がボロボロになったよ……」

「そうでしたか。命があってのことですから、喜びましょうよ」


 ずけずけと殺しかけた相手を慰めるゼロ。

 二人は顔一つも変えず、ゼロの側で待機する。ポーカーフェイスが上手くなったなーと思うゼロだった。




「そうですね! 倒したのは勇者と聞いております。あんな化け物を倒すなんて凄いですね」

「ほぅ、本物の勇者がここに? それは見てみたかったですね」


 ここにいなくて残念だと言うような顔をするゼロ。








「だったら、聖騎士になろうぜ!!」


 と、後ろから声が掛けられた。首だけ動かして後ろを見ると、そこにいたのは勇者のパーティにいるマギルだった。

 だが、ゼロはチラッと見ただけで視線をリディアの方に戻す。




「依頼の報告をしたいのですが、構いませんか?」

「え、ええと……、後ろの方はいいのですか?」

「構いません。悪質な勧誘ですから」

「前に一度だけ勧誘しただけでそこまで言うのかよ!?」


 マギルが悪質な勧誘と言われるようなことはしてないと訴える。




「…………はぁ、マリアが相手してやれ」

「御意に」


 ゼロの代わりにマリアがマギルに向き合う。

 懐から短剣を出して……




「ちょっ!? 相手をしろってそう言う意味なの!?」

「筋肉モジャモジャ、ゼロ様は忙しいのですよ。ここから消えなさい」

「そこまでモジャモジャじゃないわぁぁぁ!!」

「煩いです」

「た、頼むから、物騒な物は仕舞ってくれよ……」


 もうすでに、半泣きになっているマギルがいた。

 ゼロはため息を吐きながらもう一度、マギルに向き合う。




「マリア、いい。下がれ」

「はっ」


 マリアは短剣を懐に戻して、ゼロの後ろに下がる。


「で、お前は暇なのか?」

「カズトが寝込んだから、今は暇なんだが……」

「カズト?」

「ああ、勇者だ」

「ふーん、それで断ったのに、何故また来る?」


 ゼロは間違いなく、勧誘を断ったはずだ。なのに、また勧誘するのはどういうことだと聞いている。




「理由を聞いてないからだ」

「ふむ、理由を言えば、もう勧誘はしないか?」

「それはない!! 俺は諦めないからだ!!」






「「「「…………」」」」


 三人はもちろん、後ろで話を聞いていたリディアも呆れていた。




「なぁ、リディア」

「は、はい。何ですか?」

「勇者の仲間であろうが、ギルド内ではないなら消してもいいよな?」

「マリアもそう思う。ゼロ様、消すなら私にお任せを」

「物騒なことを堂々と話をしないでくれる!? 俺はメイドが怖くなるわ!!」


 マリアが自ら、マギルを消すと立候補していたため、マギルはメイド服を着ているマリアのことが怖くなる。




「ゼロのとこの女達は怖い人ばかりだな……」

「あら、私まで怖いんですか? 何もしてないのに、失礼な人ですね?」

「い、いや、そぉの……」


 確かに、フォネスは直接、マギルを怖がらせるようなことをしてないのに、一括りにされたことに、フォネスは憤慨のようだ。

 マリアがまたマギルの前に出て、身長はマリアの方が小さいが見下した目で言い放った。




「思ったけど、貴様はゼロ様に馴れ馴れしくない? ゼロ様の態度を見るには、ただの顔見知りとしか思えないのよ」

「確かにそうだけど……」

「ゼロ様と話したいなら様付けは当たり前。話の途中に入るなんて貴様は何様なの? と言いたいのよ。こっちは。勇者の仲間? それが何? 偉いの? ただ、仲間になっただけで? ゼロ様が嫌なのに、また勧誘するなら、次は殺す。覚えときなさい」




「「「…………」」」




 マリアの言葉を聞いていたゼロとフォネス以外の人が絶句していた。




「す、すいません……」


 言われたマギルはSランクの冒険者なのに、マリアの威圧と殺気に見下した目で、ビクビクと震えながら謝っていた。




「まぁ、そこまでにしとけ。マリア下がれ」

「はっ」


 今度はマリアは下がり、ゼロが前に出る。




「理由だったな?」

「は、はいっ!」


 マギルはマリアの方をチラチラと見ながら返事をしていた。

 余程、メイド服を着た12歳の子供が怖かったようだ。それは仕方がないと思う。

 子供といえ、殺気交じりに話していたのだから。




「理由は簡潔だ。俺は誰かの下につくことを良しとしない。それだけだ」

「…………」


 これで終わりと言うように、リディアに向き合い、依頼報告をした。




「リディア、依頼報告だ。あの遺跡はただの洞窟だった」

「え、あ、はい」

「外から見たら遺跡っぽいが、中に入ると洞窟だ。あと、中には魔物がいたが全滅しておいたから、安全に調べられるぞ」

「ぜ、全滅させた!?」

「そうだ。強くてもCランクだったがな」


 ゼロはそういうが、それは言うほどに簡単ではないのだ。洞窟だったとしても、分かれ道は沢山あった。なのに、三人だけで全滅させたその実力は新人冒険者では有り得ないことだ。

 ゴーレムの核を沢山集めたゼロとフォネスの実力に、新参のマリアも、Sランクであるマギルを震えさせる程の、殺気を見れば、嘘ではないとリディアは理解させるのだった。

 ただ三人はアバドンの材料を集めるために、狩りまくった結果で、洞窟内の魔物が全滅しただけなのだ。




「遺跡じゃなかったが、依頼はどうなるんだ?」

「あ、はい! 依頼者にそのことを報告しますので、明日にまた来てください」

「わかった」


 話は終わり、ゼロ達はギルドを出たのだった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 ここはある宿の部屋。

 ベッドには勇者であるカズトがいて、傍にはテリーヌが椅子に座ってのんびりしていた。

 と、そこに出掛けていたマギルが帰ってきた。だが、そのマギルの様子がおかしかった。




「え、ええと、マギルさん?」

「……あ、ああ。身体はもう大丈夫か?」

「僕よりマギルさんの方が顔色が悪いのですが……」

「そうよ、何があったの?」


 ギルドに行ってくると言っていたマギルが顔色が悪くなっていたことで、何があったのか、心配になったのだ。




「ああ、ギルドでゼロ達に会ったんだが……」


 マギルはそこで何が起こったことをぼつぼつと説明し始めた……











「というわけなんだ……」

「何と言うか……」

「残念だったわね? …………それとも、怖かった?」

「うぅっ、両方だ……、メイド怖い……」

「あのマギルさんが小動物のように震えているだと!?」


 その姿はとても、Sランクの冒険者には見えなかった。




「……あの小さいメイド、間違いなく、人を沢山殺している」

「少女がですか……」


 この世界は命が軽いのは聞いていたが、少女にしか見えないメイドが、人を沢山殺しているなんて、信じられなかったのだ。

 だが、殺気は半端な子供が出せるものじゃなく、マギルも震えるほどだった。




「その主がゼロだったかしら? その人は子供に殺人を簡単にやらせているの?」

「それはわからないが、受付嬢に聞いたら、冒険者になったのは最近だったらしい。つまり、出会ったばかりの可能性が高いんだ」

「ふぅん、ゼロと言う人は結構慕われているわね……」


 もし、出会ったばかりなら、早々に主と認めさせるほどの魅力がゼロにあるということだ。

 テリーヌはまだ会ったことがないからわからないが、マギルも聖騎士の勧誘をしているのだから、確かに魅力はありそうだが……




「で、勧誘はダメだったのね」

「ああ……、また勧誘するなら、殺すとメイドが言っていたからな」

「確か、もう一人の従者もいると聞きましたが、新しく入ったメイド少女も危険人物ですか……」

「そうだ!! 何故、ゼロの元に怖い人が集まるんだよぉぉぉ!?」

「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ、マギルさん」


 半狂乱してしまうマギルだったが、しばらくして……




「……すまん、騒がしくして」

「いえ、いいですよ」

「はぁっ……」

「そこまでされて、まだ諦められないのですか?」

「そうだぞ、化け物が襲ってきている時は依頼でここから離れた遺跡の探索をしていたらしい。

 その遺跡は、実はただの洞窟とわかり、洞窟内にいる魔物を全滅させてギルドの人が調べやすいようにしていたんだぞ!?」

「洞窟内の魔物を全滅!?」


 やっぱり、洞窟内の魔物を全滅させるなんて、驚くことだった。

 勇者パーティもやろうと思ったら、まず、食糧の心配が出る。

 さらに長時間、洞窟の中にいたら疲れもでて、魔物を全滅までは出来ないと思う。

 だが、ゼロ達はそれをやってのけたのだ。




「う、嘘じゃないの……?」

「わからないが、俺には嘘を言っているようには見えなかった。おそらく、ゼロ達の実力は新人冒険者どころか、俺達でも勝てるかわからないぞ?」

「そこまで……」

「僕が『正義者ヒーロー』を使ってでも?」

「ゼロ達の実力は未知数だが、あの存在がそう思わせるような感じがするんだ」


 大袈裟のように聞こえるが、マギルがマジで言っていることがわかる。

 カズトはそんな強い相手がいることに心が震えていた。

 何故、心が震えているのか、存在に恐怖? 強い人がいる歓喜? それはわからないが、もっと強くなりたいと思ったのだった…………







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