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第二十一話 襲撃

はい、どうぞ!



 ゼロは、メイガス王国から少し離れた所で立っている。




「ふふっ、作戦スタートだ!!」


 これからゼロがやることは、沢山集めた死体に手を触れるだけだ。




『……作るっ!!』




 あとはレイが身体を造ったのと同じように、『身体構造ヒトナルモノ』を使って死体の形を変えていく。

 様々な死体がどんどんと合わさり、一つになっていく…………






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「あ、あれを見ろ!?」


 街の中にいた商人が指を指して叫んでいた。




「な、なんだそりゃ!」

「こっちに来るぞ!?」

「逃げろぉぉぉ!!」




 次々と、叫び声が上がっていく。

 指を指していた先には…………




「プォアォォォォ!!」




 息を吐くような叫びでゆっくりと街に進む化け物がいた。

 高さは50〜60メートルもある。

 スライムの様な形で手もあり、ツギハギな跡があった。大きな口で臭いも凄まじく、ズルズルと進みながら木を潰していく。




「プォアアッォォォォ!!」




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「ふふっ、成功したか」

「うわぁ、大きいです〜」

「す、凄い……、こんなのも造れるんだ……」


 そう、大きな化け物を造ったのは、ゼロ……いや、レイなのだ。



(完璧だ!!)

『……ふふん♪これは強いよ』



 この化け物の名前は、『暴鈍アバドン』と名付ける。

 名前を付けた時、魔素も結構消費したが、実力はレイが保障する。

 死体から造ったアバドンを新しく統合した稀少スキル『操り人形マリオネット』で操っているのだ。

 『操り人形マリオネット』は、この前のオーガが持っていた『魔物操縦』と、操られていた魔物からもスキルを吸収出来て、それらも統合して出来たのだ。




(笑いが止まらんな!)

『……ステータスも凄いよ』



 アバドンのステータスはこうなっていた。




ステータス

 名称 暴鈍アバドン

 種族 死体集合体

 称号 ”死を運ぶ死神”

 スキル

    通常スキル『毒・麻痺無効』、『闇無効』、『物理耐性』、『腐臭』、『毒作成』、『自己再生』、『威圧』、『鈍重』




 こんなにスキルが付いている。これは元々倒したスキルもあるが、死体集合体になり、”死を運ぶ死神”の称号を得たため、無効になったのもあるようだ。

 確かに、レイが強いと言う程である。

 さらに、ゼロのステータスも少し変わっていた。




ステータス

 名称 ゼロ

 種族 半霊体ファントム変異種

 称号 ”死霊使い”

 スキル

    希少スキル『知識者チシキモノ』(名称 レイ)

         (鑑定・統合・思考空間)


    希少スキル『身体構成ヒトナルモノ

         (作成・維持・強化)


    希少スキル『操り人形マリオネット

         (死体操作、無機物操作)


    特殊固有スキル『魂吸者スイトルモノ

         (吸収・回復促進)


    通常スキル『熱寒耐性』、『物理耐性』、『魔力操作』、『魔力察知』、『隠密』、『毒・麻痺耐性』、『闇耐性』、『毒作成』、『自己再生』、『威圧』




 少しではなく、凄く増えていた。おそらく、吸収したスキルが残っていたり、”死霊使い”の称号のおかげで増えただろう。

 暴れ続けるアバドンを見て、その完成度に満足する。

 だが、ゼロ達には、目的が二つある。それを達成するために、傍観はせず、自分も動く。




「さあ、本来の作戦を始めるぞ!」


 アバドンを使って、メイガス王国を潰すのが目的ではない。もし、簡単に潰れるならそれでもいいが……

 二人も、指示通りに動き始める。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 逃げ惑う人々、戦う勇気のある者、泣き叫ぶ子供達……

 様々な行動をする人々達、アバドンに向かい撃つ者らは……




「あの化け物は鈍い! 慌てずに遠距離から攻撃するんだ!!」


 近距離から攻撃した冒険者もいたが、あんまり効かず、潰されてしまうだけだった。

 弓矢、魔法で攻撃する冒険者に、王宮の聖騎士達。

 竜騎士はメイガス王国にはいないので、その姿は見えないが、聖騎士が何十人も出て来て、レベルの高い魔法を撃っていた。

 アバドンは、その魔法攻撃を受けてダメージはあったが…………




「なっ!? すぐに治ってしまうだと!?」


 アバドンには、『自己再生』があり、小さなダメージでは、すぐに塞がってしまう。

 さらにアバドンも攻撃を受けるだけではなく、反撃に出る。




「ボブァアァァァァァ!!」




 『威圧』のスキル、大騒音で人々の動きを止め、魔法の詠唱が途中で失敗してしまう。

 動きを止めた人々に”毒のポインズミスト”を放つ。




「がぁぁ、く、苦しい……」

「こ、これは……毒か……?」

「か、身体が……溶けてるぅぅぅ!!」


 アバドンの毒は酸性である。触れた者は溶かし、吸った者は肺にダメージを与えて、死に至る。

 アバドンに対しての決定打がない状況は、王国の滅亡が見えていたのだった。

 そんなアバドンとの戦いの隅では…………






「ふふっ、一つの目的は簡単に達成出来るな」


 目の前には、気絶する者にロープで動けなくなっている者がいた。

 その全ては、魔術師であった。

 一つの目的とは、ゼロの力を高めるために、魔法を持っている魔術師を攫ったのだ。

 アバドンが暴れている混乱の中で、魔術師を攫うのは簡単だった。

 もし、後からいなくなったと気付いても、アバドンに殺されたと思うだろう。




「だ、誰だ!?」

「何故、こんなことをするのよ!!」




 気絶してない魔術師が騒いでいた。ここはアバドンの後ろにある森の中なので、他の人に見つかる心配はない。




「ふふっ、俺はお前達の敵だぞ?」

「な!?」

「ま、まさか……、あの化け物も……?」


 目の前のゼロが何者か予想出来たようだ。




「さて、お前達の力を貰おう!」


 ゼロは一番近くにいた男の首を掴む。


「ぐぅっ! ……な、にを……」

「こういうことさ”生命吸収ライフドレイン”」

「な、がぁぁぁぁぁ!?」


 縛られているため、痙攣するだけでたいした邪魔も出来ずに、生命を吸い取られて…………死んだ。

 死んだ男の死体は、皆の前に投げ捨てる。

 それを見た魔術師達は、顔に恐怖が浮かんでいた。




「い、いやぁぁぁぁぁ!!」

「た、助けてくれぇぇぇ!!」


 縛られても逃げようとする人もいたが……




「餌が逃げるな」


 近くにマリアがいて、その腹を蹴って黙らせていた。

 その間でも、ゼロは次の餌に取り掛かっていた…………




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






『……土魔法、ゲット!』

(よし、これで火、水、土、風の四つは手に入れたか)

『……あとは雷、闇、光だけど……』

(誰も持っていなかったな。それに、光は手に入るか怪しいんだがな……)


 ほとんどの魔術師は手に入れた四つの魔法しかなかった。

 あと三つの魔法は人間では、珍しい魔法かもしれない。

 闇は魔人だったら持っていそうだが、光は魔物である自分が手に入るかは怪しいのだ。

 もう一つ、嬉しいスキルも手に入れたのだから、今はこれでいい。

 嬉しいスキルとは、『収納』。つまり、欲しかったアイテムボックスのことだ。


 目の前は魔術師の死体が積まれていた。これを使って何か造ろうかなと思ったが、魔素を無駄遣いしたくないし、アバドンだけで充分なのだ。

 今も、まだ暴れ続けているのだからだ。




「マリア、こっちは終わったし、フォネスのとこに行くぞ」

「はい、わかりました。死体はどうしますか?」

「置いとけ。魔物が食ってくれるだろうし」

「御意に」


 ゼロとマリアはアバドンの周りで観察しているフォネスの元に向かった。

 フォネスの仕事は、もしアバドンが倒されたら、倒した人は誰なのか見張ってもらうことだったが、まだ倒されてないようだ。

 これでは、メイガス王国が壊滅されて、もう一つの目的を達成出来ないな……と思っていたら、光の一線がアバドンを貫いていた。




(なんだ、今のは?)

『……あ、アバドンが大ダメージを受けた』

(ほう、あのアバドンが大ダメージねぇ、そんな奴がまだ街にいたのだな)


 ゼロ達はフォネスのいる場所に着き、今のは誰がやった? と聞いたら……




「あの三人組です」


 フォネスが指を指していた先には、三人のパーティ。

 しかも、その中でゼロが知っている人がいたのだ。




 そう、勇者のパーティであるカズト、マギル、テリーヌの三人組だったのだ…………







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