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第十九話 深き森の遺跡

はい、どうぞ。



 メイガス王国から出発して、一週間が経ち、ゼロ達は遺跡らしきの物の前に立っている。




(これが遺跡か……)

『……ボロボロ』

(まっ、昔から建っていたならそうだろうな)


 遺跡は石で出来ていて、沢山のツタが絡み付き、所々が崩れていた。

 形はツタでよくわからないが、入口がポツンと口を開けているのが見える。




「あそこが、入口か」

「うわぁ、ツタだらけです……」

「ボロボロだ……」


 二人とも、そこまでツタに絡み付き、ボロボロだと思わなかっただろう。

 誰でも見たら、これは遺跡なの……? と思うだろう。

 確かに、歴史があるように見えるが、いつでも崩れそうでさらに、中に魔物がいるとなると、戦いで崩れないか心配になる。




「……はぁ、行くか」


 こんな状態の悪い遺跡なんて入りたいとは思わないが、せめて一つだけでも、ここに来て良かったと思える物が欲しい。

 スキルでもいいし、珍しい物、アイテムがあれば良し。

 ゼロ達は入口に行き、先に出発した冒険者はいないか確認した。




「よし、いないな。フォネス、変化を解いてもいいぞ」


 変化は魔素を消費する。遺跡が見えたとこから念のために、尻尾を隠していたが、誰もいないことがわかり、変化を解かせた。




「もし、冒険者に見られたら殺せ。いや、魔術師がいたら残して俺が吸収するでいいな?」

「「御意に!」」


 殺せと命令されて、あっさりと了承を出す二人。

 ゼロもそんな命令を出せるところは元日本生まれとは思えないほど、歪んでいた。

 ただ、自分に不利益だから消す。

 それだけなのだ。




(むっ、思ったより広いな?)

『……これなら、戦いの邪魔にならないね』

(そうだな。崩れたらどうしようかと思ったが、その心配はなさそうだな)


 もし、強い衝撃を何回か与えたら崩れてしまうが、そうなる前に敵を排除すればいいだけなのだから、問題はない。




「おっと、早速か?」


 入って、すぐに反応を察知した。一匹だけだが、森にいた魔物より強いと感じた。

 広い道で向こうが来るまで待っていたら、その姿が見えるようになった。




(……カエル?)

『……ん、名前はクサノガエル』

(クサノガエル? デカイカエルだな……。スキルはないみたいだが……)


 ケロケロと鳴くカエル。魔素は森にいた魔物より多いとわかる。

 なんか、デカイと気持ち悪いな……


「あ、そのカエル……」

「ん、マリア? そのカエルを知っているのか?」

「はい! 食べると凄くおいしいですよ!!」

「え……、あれを食べるの?」


 フォネスはカエルが食べれることを知らないようで、嫌そうな顔をしていた。

 マリアの話に続きがあって……






「なんと、そのカエルは、牛肉の味がするんです!!」

「え、鳥肉の味じゃないの!?」


 珍しくゼロが素でツッコミを入れていた。




「はい、普通のカエルはそうですが、クサノガエルだけは別なんです」

「そうなのか……」

「思ったけど、ゼロ様もツッコミを入れるのですね」

「私も初めて見ました……」


 いつも命令ばかりしていて、素でツッコミをいれてくる主に驚きだった二人。


「……まぁ、俺もたまに驚くこともあるさ。それより、今は話している場合じゃないだろ。カエルはマリアに任せる」

「はっ、お任せを!!」


 マリアはいつもよりやる気満々だった。そのカエルを食糧にするようだ。

 フォネスは嫌そうにしているが……

 マリアはツタで鞭を作り出した。捕縛して逃がさないために作り出したようだ。

 材料がツタなので、耐久性は低いが、一瞬でも動きが止まればいいのだ。




「はぁっ!」


 鞭でカエルの足に巻き付き、こっちに引き付けた。

 カエルはさせるがままではなく、舌で攻撃してきたが、マリアはそれを掴んでさらに引き寄せた。

 少し宙に浮き、避けられない状態になったカエルを、マリアは鞭と舌を捨てて短剣で切り付けた。

 『魔力操作』で短剣に魔力を纏わせて、剣の長さを伸ばし、カエルの身体は真っ二つに別れたのだった。




「終わりっ!」


 満足そうに、マリアは食糧となる部分を解体し始めた。




(やはり、凄いな)

『……カエルの肉、好きなのかな……?』

(多分な。あんなに喜んで解体しているんだしな)

『……フォネスは嫌そうだけどね』


 フォネスは顔をしかめていた。おそらく、フォネスはカエルの肉は食べないだろうから、他に魔物や動物がいたら、狩ってやろうと思った。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 ギルド長は、今、メイガス王国にはいなかった。

 なら、ギルド長がいる場所とは……




「皆さん、ここまで遠くまで集まり頂き、ありがとうございます」


 ここは、聖アリューゼ皇国で一番、沢山の聖騎士を持つ国。


 会議室のように、丸いテーブルがあり、偉い人が話し合う場所である。その中に、ギルド長がいた。

 それぞれの国から重要人が集まっており、これからのことを話し合うのだ。

 その議題とは……




「今回の会議は、魔王ラディアとの戦争のことだ。あの魔王は、ローナ街を襲ってから、それ以来の音沙汰がないのだ」


 司会を務める男は、聖職が着るような服を着ていた。

 二ヶ月前、魔王ラディアがローナ街を襲い、一週間経った後に、理由はわからないが退いたのだ。

 他の国から聖騎士に、竜騎士が派遣され、魔王軍が押されていたといえ、魔王軍は主力が出てきてなかった。

 魔王ラディアは他の魔王より部下が少ないのだが、主力が出ずに一週間で撤退するのはおかしなことである。

 その後、魔王ラディアは何か起こしたと言う情報がない。




「あの魔王がこれで終わるとは思えん」

「そうだな。アヤツは、他の魔王と比べて好戦的である。何かを企んでいるのかはわからないが、黙っていることはなかろう」


 情報を出し合い、こっちから魔王を潰す案も出たが、そうすると、留守になった街が他の魔王に狙われてしまう。

 聖騎士や竜騎士は強いが、数が魔王の部下より少ないこともあり、そう簡単に攻め込むことが出来ない状況なのだ。




「くっ、勇者はまだ育たないのか?」

「まだ召喚されたばかりの勇者は除外として、一年前に召喚された勇者は、北に遠征しています。他の勇者もいるが、まだ実が青いかと思います」

「まだ時間がかかりそうだな……」


 ギルド長は話し合っている議論は半々に聞いていた。

 メイガス王国の方でも、謎の魔物がいるのだから、早めに終わらせて戻りたい気分だった。

 聖アリューゼ皇国の王である天皇が立ち、皆の注目を集めた。




「魔王を倒すのは大事だが、まず魔物を減らすことに力を入れるべきではないか? その積み重ねが魔王へのダメージになると思わないのか? 大局ばかり見ていては足元を掬われてしまうだろう」




 天皇は議論では、魔王のことばかりだと足元を見てないと案外なことから、危機に陥ると言いたいだろう。




「こんな会議をしている暇があるなら、自分の国の地力を上げることに努めた方が有益ではないか?」




 天皇の言葉に皆は黙る。ギルド長もその言葉を心の中で同意した。




(確かに、そうかもしれねぇな)


 自分も謎の魔物ばかりに惑わされていたかもしれない。




 こうして、会議は簡潔に終わり、自分の国の地力を上げるために、それぞれの策を組み込むのであった…………







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