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第百六十九話 真・最終決戦 前半

本日五話目。

 


 まず、動いたのはカズトだった。カズトは切り札の”終神剣エンド・エクスカリバー”はもう使えないので、今使える聖救剣を振るう。


 だが、ゼロは何もせずに振るわれる剣を見るだけ。このまま、斬られるだけなのかと思われたがーーーー






「なっ!?」

「どうだ?同じ剣だぜ」


 ゼロの手には、カズトと同じ剣が握られていた。その剣で受け止められて、ゼロは無傷だった。カズトはすぐに距離を取り、ゼロが持つ剣に目を向けられる。




「なんで、聖救剣を!?」

「忘れたのか?俺の能力を。俺の能力は神ノ能力『理想神エデン』と言って、理想を現実に(・・・・・・)変える能力だ」

「な……!?」

「無茶苦茶な!?」

「嘘でしょ……」


 新しく生まれた能力が、そんな無茶苦茶な能力だと聞いて、皆は絶句していた。一瞬で理想を現実に変えれるとなると、使いようで無敵になってしまうのだから。




「まぁ、色々と制限があるが、お前達に破るのは無理だな。現にこの剣も簡単に作れたし、さらに……」


 ゼロが手を振るだけで、さっきは消えたはずの方舟が上空に現れ、カズトに向かって落とされようとしていた。






「くっ!!」


 いくらでもこの質量を受けるのは無理だと判断し、すぐに2人を脇に抱えて、上空へ逃げた。






 ドガアァァァァァァアッ!!






 周りにあったビル群は崩れ倒れていく。近くに兵はいなかったようで、人事的な被害はなかったようで、空に逃げたカズトはホッとしていた。

 その後、カズトの目に信じられないことが起きているのが写っていた。




 壊れたビル群や地面が巻き戻しをしているように、直っていくのだ。




「この能力はなんでもありだ……といいたいが、万全じゃないさ」

「ぐっ!?」


 ゼロは口を動かしながらカズトに剣を振り回していく。

 ゼロが言っていた万全ではないことは、生き物へ直接的な作用は無理ということだ。つまり、ゼロが理想通りに、カズトへ向けて死ねと言うだけで死ぬ……ということは出来ない。


 なので、ゼロは『理想神エデン』で剣を生み出した結果を出し、後は自分の力で剣を振ったり、聖救剣の能力を使って攻撃していくのだ。

 さっきの方舟は、方舟を生み出して重力に従って落としただけなので、相手にダメージを与えるのは可能だ。




「それに、これも可能だぞ。”天地崩壊カタフロスト”!」




 魔法もトリガーになるスキルが無くても、『理想神エデン』がゼロの思い浮かべた魔法を現実に発現してくれる。それだけでは、生き物に傷を付けられないので、思い浮かべた魔法に自分自身の魔力を注ぐことで魔法の効果を発現させることが可能になっている。


 この方法では、理想から現実に変えるのに必要な魔力と魔法の効果を実現させるための魔力、どちらも欠かせないので魔力の消費が凄く掛かることになる。

 だが、今のゼロは魔力の消費よりも回復するスピードや量が多いため、それ程に苦痛だと思わない。それにデメリットと言えるかわからないが、魔力回復が早くなる代わりに身体能力が魔王だったのと変わらないままである。それでも、カズト達の身体能力と変わらない。


 迫ってくる空間の歪みに対して、カズトはーーーー




聖断剣ダビデ!」




 空間を切り裂く双剣、聖断剣を発現して歪んだ空間を消し飛ばした。




「そういえば、そんな剣もあったな」


 ゼロも聖救剣から聖断剣に変えて、空間を切る斬撃をいくつも飛ばした。カズトは聖断剣についての特性を知っているので、受けずに全てを避けた。

 因みに、マギル達は魔法を発動される前に、”飛駆ウィンドウォーク”で離れていた。その2人が、




「おらっ!!」


 マギルはゼロの後ろから大剣で斬りつけるが、魔力を察知することに長けているゼロの死角はなく、指2本だけで白刃取りをされて止められていた。




「甘い。次からはせめて魔力を隠すことだな」

「ぐあっ!?」


 マギルの腹にはゼロの膝が入っており、ビル群を貫通しながら吹き飛ばされていく。

 目をカズトの方に戻そうとしたら、下から炎が渦になって襲ってきた。テリーヌの最上魔法である”煉獄焔陣ブレイズサークル”の炎だ。マギルが囮になって、テリーヌが放てる最強の火魔法を発動して、ゼロを補足したのだがーーーー




「遅い、”聖域ホーリーサークル”」


 光の最上魔法で防御が高い守りの球体で防いだ。ゼロに火傷一つもなかった。最上魔法でも傷や火傷もないことにテリーヌは唖然としたが、ゼロが魔力を固めただけの魔弾を撃ってきたので、足場となっていたビルが破壊されて、”飛駆”を発動する間もなく、落ちながら次の魔弾を受けてマギルと同様にビル群に突っ込む。




「マギル、テリーヌ!?」

「邪魔をする者は吹き飛ばした。後は…………む?」


 話は続かず、ゼロは黒い炎に飲み込まれていた。その黒い炎は、黒い竜のガロによる攻撃だった。




「俺達も手を貸すぜ!!」

「皆!?一緒に戦ってくれるのか?」

「当たり前だ!あとはゼロという奴だけだろ?皆で攻めれば終わるさ」


 勇者である1人がそんなことを言うが、カズトはそう思っていない。何故ならーーーー






『チッ、ワシの攻撃が効いておらんな』

「いきなり、これか。で、お前達は逃げなかった愚かな人で間違いないな?」


 先程と同じ光の球体の魔法でゼロを守っていた。現れた人達を見た限り、初めの三分の一もいないように見えた。残りは死んだか、逃げた奴らだろう。

 勇者はカズトも含めれば、12人。新生幽腐鬼によって、半数は減らされているが、どの顔には諦めの表情はなかった。

 残りがゼロだけで、あと1人だけ倒せば戦争が終わるからなのか。




「さぁて、掛かってくるなら容赦はしない。我の理想によって、消え去るがいい!!」


 ゼロは数万もいる相手に挑むことになるが、問題はない。まず、ゼロは弱い者を振るい落とすことに。






「”地震変異ウェイク”!!」






 ゼロは地震の大国である日本を浮かべて、発動した。その地震は人が立っていられないような揺れで、周りのビルがどんどんとヒビが入っていく。それにカズトはヤバイと思ったのか、




「上空に逃げろぉぉぉぉぉぉぉ!!」




 そう言うが、飛べるスキルがなければ意味がない。上空に逃げられたのは、飛べるスキルを持った者と竜騎士だけだった。

 残りはそれぞれが守りの魔法で固まっていたが、どんどんとビル群が倒れていくので、生き埋めの形になっていた。




「これで弱い奴とまあまあやれる奴に分けられたかな」

「貴様!」


 竜騎士達がこっちへ突っ込んでくるが、どれもスピードが遅すぎると感じられた。




「これで充分だな」


 聖断剣で向かってくる敵ごと、空間を切り裂いてまっ二つにする。その攻撃にただの人間と竜が反応をすることは出来ず、切り捨てられるだけだった。近くまで近付けず、改めてゼロの実力に恐怖を覚えるのだった。




「無闇に突っ込むな!!ゼロは理想を現実に変える!策無しで攻めても勝てない!!」


 カズトがそう叫び、竜騎士の行動を止めさせる。




「理想を現実に変えるだと……?勝てるのか?」

「わからないが、こっちの攻撃は必ず防ぐか避けているから、当たれば何かわかるかもしれない」


 もし、理想を現実に変えるがゼロの身体にも適用出来るなら、必ず死なない身体に作り変えればいい。だが、ゼロはそれをしないで先程みたいに守ったりしているので、『理想神エデン』は最強であっても無敵じゃないとわかる。

 だから、一番攻撃力があるカズトの攻撃をゼロに当てることが出来れば、勝機があるかもしれない。




「……なるほどな。俺達は隙を作ることに集中しよう」


 まず、攻撃を当てるならゼロの激しい攻撃を避け、硬い防御を破らなければならない。ゼロが使う技や魔法を考えれば、それは難しいかもしれないが、不可能ではないと考え、カズトは皆を信じる。




「全員で掛かってこい。その上で叩き伏せてやろう」




 ゼロは変わらいまま、不遜な態度を貫いている。




 カズト達はゼロの隙を突き、攻撃を当てることが出来るのか…………?







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