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第百六十八話 決戦の前

本日四話目。

 


 ゼロに神ノ能力『理想神エデン』が生まれーーーー






「世界を理想通りにっ!!”世界変革クリア・ワールド”」






 もう一つの世界を作り出す…………ではなく、今の世界である世界という現実が白く塗りつぶされていく。




「な、なんだ…………、世界を作り出した?ーーーーいや、変えられている!?」

「そうだ。俺の理想通りに世界を作り変える。それから、カズトにしたら懐かしいと思える世界を見せてやろう!」


 白く塗りつぶされるだけではなく、色が付くように建造物が生み出されていく。そのような景色はカズト達だけではなく、外にいる人々にも見えている。


 ゼロを作り変えた世界とは…………






 東京だった。






 ゼロやカズトだけではなく、まだ生き残っている勇者達にも懐かしいと思わせるようなビル群が出来ていた。






 ーーーーーーーーーーーーーーー






 外にいる人々も周りの景色が作りかえられていることに、戸惑いを覚えていた。この世界で生きている者には、何処でも見たことがない建造物であるビルに恐怖を覚えていた。

 反対に、勇者達では懐かしさの余りに涙を流す者もいた。


 ミディの方では…………




「な、世界を変えただと!?」


 大天使であるミカエルが世界が変わったことに驚きを隠せないでいた。




「むっ、ゼロの奴、一時は弱くなったかと思ったらこれか……」


 ミディはこれだけのスケールが大きい能力は今まで見たことがない。ミディだって、時間を止められるが、世界の全てを止めているわけでもない。ミディなら範囲何キロかぐらいだが、今は途方もビル群があり、終わりが見えなかった。

 世界を作り出すならともかく、変えるとなると世界を掌握しているのと変わらないのだから、この規模はあり得ないと感じていた。




「……まさか、『創造神イヴ』を?」

「いや、それはあり得ねぇ!あの能力はあの神ではなければ、無理だ!!それに、あの能力は消えているはずだ!!」

「確かに、あの方の気配とは違うから『創造神イヴ』ではない。おそらく、『創造神イヴ』と同等の能力を手に入れた可能性が高い」


 ガブリエルは創造神である能力を発現したかと思ったが、ルシフェルとミカエルは違うと断言した。今、創造神はいなくなり、能力も消えたからまた発現するのは考えられず、他の似たような能力を手に入れたと判断した。だが、この規模は普通の神ノ能力では難しいので、『創造神イヴ』と同等の格があると考えられる。




「だとしたら、勝てるとは思えんぞ?まぁ、ミディを退かせなかった時点で無理だとわかるんだがな……」

「なら、あの人間に託すしかありませんね」

「カズトと言う者でしたね。あの者なら勝てると?」


 大天使には出来ることがなく、神ノ能力を持っているカズトに託すしかできないのだった。






「ロドム、どうだ?」

「10キロ先まで行って見ましたが、建造物ばかりでした」

「そうか、今は様子見だな。あの大天使は戦意が消えてしまったようだし」


 ミディは大天使との戦いに飽きていた。なので、ゼロの戦いを見に行くことに決め、ゼロ達がいる場所へ向かっていく…………










「どうだ、懐かしいだろ?」


 今、方舟は消えていて皆は地に付いていた。周りはビル群で、遠くには東京タワーやスカイツリーなども見える。




「確かに懐かしいが、ゼロは何をしたいんだ?場所を変えてまで……」

「この景色はお前はもう見られないのだから、目に焼き付けた方がいいと思うんだが?」

「な、何を言って……」

「俺は知っているぞ?」


 何を?とは言わない。カズトはゼロが知っていてもおかしくはないと思っていたし、この情報は誰にも言ってないことだ。マギルやテリーヌでさえも。

 そして、たった今、暴かれることになる。






「お前は向こうではもう死んでいるんだろ?」






 そう、カズトは生きたまま召喚されたわけではない。向こうで死んだから、女神ミトラスに呼ばれただけなのだ。

 つまり、カズトは向こうに変えることは不可能だ。いや、カズトだけではなく、他の勇者達も同様である。女神ミトラスによって、呼び寄せられた魂に生前と同じ姿の肉体を与え、召喚させたのだ。


 その肉体はここの世界でしか活動できず、向こうへ帰りたくても帰れないのが現状になっている。





「カズト……、今の話は本当のことなのか?」

「……ああ、女神ミトラスに会った時に知ったけど……今まで言えなくてすまない」


 秘密にしていたのは、仲間に心配をかけないためだった。だが、それは逆効果だった。




「謝るんじゃねぇ!!」

「マギル……?」

「苦しいのは、お前だけに背負わせるつもりはないと言っただろ!!もっと俺達を頼ってくれたっていいじゃないか、仲間だろ!?」


 心配をかけるのを遠慮してんじゃねぇ、仲間だろ!と身体がボロボロでも叫ぶ。




「私を放って、男2人だけで話してないでよ。私もずっとカズトと一緒にやってきた仲間なのよ、違うの?」

「いや……、仲間ではないと思わなかった日はなかった!」

「なら、私も一緒に様々なことを背負うわよ。いいね?」

「ああ!!」


 向こうに帰れなくても、今は仲間がいる。それを心に留め…………




「ゼロ、君を止める」

「ふむ、さっきよりはいい面になったじゃないか。さて、最後に戦線布告をしてやろう」


 ゼロは戦争が起きる前に使った水晶を手の上に出し、宣言する。皆が見えるように、上空から映像を流す。






『諸君、この戦争はクライマックスだ。お前達は俺を殺せば、勝ち。俺はお前達を殺せば勝ち…………だが、この戦場から逃げるなら見逃してやろう。勇者だろうが、ここから去るなら追わない。

 ただ、こっちに向かってくるなら一切も容赦はしない。理解したなら、自分の命を賭けて向かって来い!!』




 同時に水晶を持っていない手から花火を撃ち出して、自分の場所を知らせた。敵となる者を誘き寄せるようにーーーー






「さぁ、最後の戦いを始めようか!!」

「必ず止めて、この戦争を終わりにする!!」





 今度こそ、最後の戦いが始まったのだった…………







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