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第百六十七話 まだ終わらない

本日三話目。

 


 邪神アバターがゼロから出ていった時、ゼロの身体は魔神ではなくなったため、魔王だった頃の姿へ戻っていた。

 それと同時に、暗黒世界は『暗黒神ダークマスター』で作られた世界だったが、今のゼロはもう『暗黒神ダークマスター』を持っていないので、世界が黒い霧のように消えていく。




 元の世界に戻り、ゼロは一時に身体を奪われていたのもあり、数秒は動けなかった。つまり、周りにはカズトにやられて倒れている形に見えているのだ。





「「ゼロ様!?」」





 まだ戦っていたフォネスとマリアは倒れているゼロに気付き、声を上げていた。




「カズト……、やったのか?」

「勝った……?」


 マギルとテリーヌ、天使の二人はボロボロにやられているが、まだ生きていた。

 遮断していた壁はいつの間にかに消えており、フォネスとマリアはマギル達を放ってゼロの元へ向かっていた。

 人の姿に戻ったフォネスがゼロの側に行き、マリアがカズトを警戒している形になっていた。




「ゼロ様!!」

「い、聞こえている。だから、大きな声で騒ぐな」

「良かった……」


 フォネスはゼロが生きていたことに安堵して泣いていた。




「ゼロ、もう終わりにしよう……」

「貴様、ゼロ様に何をした?力が前より減っている……」


 マリアは気付いていた。ゼロの力が魔王だった頃に戻っていることに。フォネスとマリアはゼロが弱くなったとしても、ずっと配下であり、守らない理由はない。




「いい、俺が話すから下がれ」

「ゼロ様……、畏まりました」


 ゼロはようやく身体が動くようになり、身体を起こす。




「……で、戦争を終わらせたいんだったな?」

「ああ、もう戦争をする意味はないのはわかっているんだろ?今はもう邪神アバターはいない。だったら、終わりにしようよ!!無駄な血を流すにはいかない!!」

「邪神アバター……?」


 ゼロとカズト以外は邪神アバターのことを知らないので、意味がわからなかった。カズトの話では、戦争はゼロではなく邪神アバターによって起こされた物だと聞こえてしまう。

 その問いに、ゼロはーーーー







「断る」







 否の一言だった。その返答にカズトは、まさか断られてしまうと思っていなかったのか、固まってしまった。その隙に、ゼロが動く。




「だが、その戦争は俺だけでやるさ」

「え、ゼロ様!?」

「て、転移?」


 フォネスとマリアの足元には転移陣が現れていた。2人だけではなく、ここにいないメロンとヨハンにも展開されている。




「2人共、今まで巻き込んですまなかったな」

「まさか……、ゼロ様だけで戦うつもりなんですか!?嫌ですよ!!ゼロ様と一緒に戦いますよ!!」


 フォネスは転移陣の結界に閉じ込められても、結界を叩いてゼロに訴えていた。

 まるで、ゼロが残って死に行くように見えたのだから、嫌な予感がして泣きながらも結界を叩く。だが、その結界には対象者のスキルを封じる効果も付加されていて、叩くしかできなかった。




「力が弱くなったとしても、簡単に死ぬつもりはないさ。それに…………、愛した者や最後まで俺の我が儘に付き合ってくれた者まで巻き込んで死なさせたくはない。それに、後のことは自分のやりたいことをやればいい。だが、俺のようになるなよ。わかったか?」

「わ、私もゼロ様がいなくなるのは嫌ですよ!!もし、ゼロ様がいなくなったらどうすればいいかわからないんですよ!!お願い…………」

「……………………いつかまた会おう。それでは、駄目か……?」


 約束ともいえない、曖昧な言葉だが、ゼロにはそれしか言えなかった。




「ゼロぉ様……」




 フォネスはずっと一緒にいたかった。だが、ゼロの顔を見てその覚悟を理解したのか、涙目だが泣くのを止めて…………




「ま、待って、いるので……いつまでも!!」

「ありがとう……、マリアも他の人を頼むぞ」

「……畏まりました。わ、私も待っています……」


 よく見ると、マリアも涙を流して耐えているように見えた。そして、2人は何処かへ転移されていった。巻き込むつもりはないから、安全な場所に送られたのだろう。




「待たせたな」

「……なんでだ?」


 この戦争は邪神アバターによって計画されていたなら、ゼロはその計画に乗っ取る意味がない。もう、今のゼロは目的が違っているのだから。




「お前もわかっているはずだ。この戦争はもう起きてしまっている。戦争を止めるには、俺が死ぬか…………お前達が死ぬのどちらかでしか終わらんだろうな。もし、降伏しても周りが許さないのはわかっていることだ」

「だから、戦争を続けると言うのか!?」

「ああ、責任は最後まで取るさ。お前の敵として、戦争を終わらせてやるさ」

「……駄目だな。カズト、やるしかないみたいだな」

「クソ!な、なんでだよ!!」


 まだ納得いかないカズトだが、ゼロにしたらカズトに納得してもらう理由はない。




「だけど、このままやれば、私達が勝つわよ?」


 テリーヌの言う通りに、ゼロは神ノ能力を持っていなくて、カズトの神ノ能力は健在で、身体はボロボロだがまだ戦えるマギル達がいる。

 確かに、このままやればカズト達が勝つだろう。




「そうだろうな、このままだったらな…………」


 ゼロはそう言いながら、懐から『魔王の証』を取り出した。




「教えてやろう。これは、『魔王の証』と言って、魔王になるための資格のような物だ」

「あ?お前は魔神じゃないが、魔王だよな?何の意味が……?」

「ふっ、使い方は一つだけではないさ。この証には魔力が大量に詰まっている。それに、この戦争は俺だけでやると言ったよな?それは、レイは参加しないと言う意味がある」


 そう、ゼロは倒れている時、レイとも会話をしており、これからのことはレイの力を借りずに戦争を続けるとも言ってある。戦争を続けることにレイは悲しそうな顔をしていたが、それはゼロはにとっては譲れない。


 今まで、レイの力ばかり借りて戦っていたことに気付いたのだ。そう、初めから持っていた能力はゼロの能力ではなく、全てがレイから生まれた能力であることに。


 なら、ゼロには何がある?答えは何もなく、今まではレイばかりに頼っていたことに変わらなかったのだ。

 だから、最後の戦争だけは自分の力だけで終わらせたかったのだ。


 レイに納得して貰えるように説得した。レイは『……昔からそうだったよね。無茶をする癖は直っていない。…………わかった、お兄ぃが納得するまでやっちゃって』と言って、ゼロの中で眠って貰った。


 そして、ゼロは動く。






「統合し、俺の能力を見せよ!」






 今まで手に入れた能力の全て、さらに王者能力の『零式王レイディウス』や『絶喰王バアル』までも統合する。

 さらに膨大な魔力の塊でもある『魔王の証』も溶け込ませ、ゼロの本質が生み出される。


 カズト達はその能力をクロトが使っていたのと似ていると気付いて、止めようと向かうがーーーー




 眩しい光がカズト達を遮り、ゼロの本質である能力が生み出された。






「我が理想を世界に!!」






 ゼロに神ノ能力である『理想神エデン』が生まれた瞬間であったーーーー





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