第百六十話 ミディの遊戯
短いですが、魔王ミディの出番です。
ミディがゼロの手伝いというよりも、大天使と戦って見たいという理由だけで、3人の大天使と相対している。
第一~三位の大天使、ミカエル、ルシフェル、ガブリエルは魔王級よりも強い実力を持っており、能力もそれぞれが化け物クラスでもある。
「時間を無駄にしたくないので、3人同時に挑ませてもらおう」
「悪く思うなよ。”聖天雷牙”!!」
まず、ルシフェルが雷魔法と聖気を混ぜた技がミディに襲う。ミディはその攻撃を手で払うだけで弾く。
「始めから本気で来なさいよ?」
「まだだぜ!”壊れない鎖で縛れ”!!」
弾いた光の放流だったが、それが鎖の形に変わって、ミディを縛って行く。ルシフェルの能力である言霊で弾かれた技を再起用させた。その壊れない鎖で縛れという概念、効果を押し付けているため、ミディの単純な腕力だけでは壊せない。
「ほぉ?」
「余裕を見せるのは今だけだ!やれぇ!!」
「口が悪いのを直した方がいいかと思いますよ?”聖水激流」
「いいではありませんか?それがルシフェルらしさではないですか。”聖光秘剣”」
ルシフェルがミディを縛っている間にガブリエルは魔を消す聖水の放流を、ミカエルは光を超えて、透明に近い剣が大量に浮いており、それらの攻撃がミディに向かう。
「面白い技を使うねっ!”逆回り(もどれ~)”」
ミディが持つ時計に目を向けると、逆に進んでいるのがわかる。大天使の3人が時計に目を向けたのは一瞬だけだったのに、ミディを縛っていた光の鎖、聖水の放流、透明の剣、それらが消えていた。
「なーー!?」
「消された?一体、どうやって……?」
「大天使である私達がどうやって消されたのか理解出来ない?いや、元から無かったような(・・・・・・・・・・)」
ミカエルだけは、無かったことにされただけはわかった。
「流石、第一位の大天使さんだねっ!そう、時を戻したのよ!!」
「時を戻しただと……?」
「そんなの、神ではなければ……」
ようやくルシフェルとガブリエルも理解に追いついたようだ。だが、ミディがやったことは時を操ったことであり、普通の魔王には出来ないことなのだ。だが、ミディはやってのけた。
「神ノ能力か……」
「あれ、第一位の大天使さんは知っているんだ?」
「当たり前だ。私は主の元にいたのだ。今はもういないがな……。主も神ノ能力を持っていたからな」
「ふーん、主って、創造神のことかな?まさか、本当にいたとはねっ!!」
珍しい話を聞けたと、目をキラキラさせていた。御伽話だと思っていたが、それが本当にあったことだったのだから。ロドムから本当の話だと聞いているが、何せ証拠が無かったのだから。
だが、目の前にいるミカエルと言う大天使は創造神がいた時から生きており、手に入れた者しか知らないはずの神ノ能力を知っていることから、本当のことだと判断出来た。
ミカエルからは神ノ能力程の実力を感じられないから自分が手に入ったから知っているのと違うようだ。
「ミディの神ノ能力、時を操るのは凄いと思いますが、創造神程ではありませんね」
「そうね。私はただの強い魔王だもの。神ではないわ」
ミディは神に連なる力を持っていながらも、ゼロのように神と名乗らず、ただの強い魔王でしかないと言う。
それは間違っていない。何故なら、ミディはゼロのように『神の資格』を持っていないのだから。
だが、『神の資格』を持っていなくても、ただの強さだけで神ノ能力を手に入れたのは凄いことなのだ。魔王でありながらも、神級の能力を持つ。それがミディ・クラシス・ローズマリーだ。
「私は楽しむために、この世界で生きる。それが、私の存在意義なの!」
ミディは新たな時計を生み出す。その数は、元から持っていた時計も含めて、三つ。
「”私の過去”!!」
ミディの隣から空間に亀裂が入り、手がが出てくる。そして、足、身体、顔が出て来て、その姿はーーーー
「な、なんだと…………」
「ふざけていやがるーーーー」
「全てが本物…………」
大天使が絶句したような表情で、空間の亀裂から現れた者を見る。現れたのはーーーー
「過去の私よ!!皆であそぼう!!」
「大天使が敵なんだ!?」
「楽しみだね!!」
3人に増えたミディの姿があったのだった。大天使が絶句するのは仕方が無いと思う。全ては本物のミディであり、この世界に最強の魔王が3人もいるのと変わらないのだからーーーー
「イクス伝記」の方は2章が終わる頃です。これからが面白くなるので、そちらも宜しくお願いします。鬱展開もあまり無いです。