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第百四十九話 死紙王

 

  方舟へ向かっていたカズト達だったが、途中でヨハンに会うことになってしまう。そのヨハンは、白い折紙から鶴の形に変わり、周りに浮いていく。その数は百にのぼる。




「逝け、”紙鶴サイエンス”!」


  浮いている鶴が一斉に動きだし、乱戦になっている場所へ撃ち込まれた。一部はカズト達にも向けられていたが、カズト達は全てを避けていた。ヨハンはそれを予測していたからなのか、新生幽腐鬼と竜騎士が戦っている所へ大量の”紙鶴サイエンス”が撃ち込まれる。

  新生幽腐鬼には一切も当たらないように避けて、竜騎士だけに向かわれる。




「くっ、数が多い!」


  竜騎士達も攻撃されていることに気付いており、避けたり撃ち落としていくが、数が多いため、全てを捌き切れない。一体の竜に鶴の折紙が触れてしまう…………




「ギガァァァァァアアアァァァ!!」

「な、なにが!?」


  鶴の折紙に触れた竜は苦しみ、目から生気がなくなっていくのがみえた。そして、力が付きて地上に落ちていく。乗っていた竜騎士は背中を叩いて体勢を直そうとしたが、竜はもう命が絶えているため、もう二度と飛ぶことはなかった。

  周りからも苦しんで死んでいく竜や竜騎士が次々と現れている。




「何が!? 傷を付けられたわけでもなく、触れただけで死んでいくなんて!?」

「皆も、この紙に触れるなッ!!」


  ガイウスが声を上げて、周りに入る仲間達に警告を発する。ガイウスの声は大きく、遠くにいた竜騎士へも届いていた。ただの紙ではなく、触れたら効果が現れるのがわかったのか、皆は浮いている鶴の折紙から距離を取って行く。もちろん、鶴の折紙が簡単に逃がすわけでもなく、当たってしまって落ちていく竜騎士は減っていかない。




「ヨハン! やめろ!!」


  カズトがいつもの剣で光魔法を付与した攻撃を喰らわそうとする。だが、ヨハンは何もせずに受けるとかはなく、特別な紙で作られた剣に受け止められていた。




「本来の剣を出さないなんて、舐めていますか?」


  本来の剣とは、聖救剣エクスカリバーのことであり、その剣でクロトを葬ったことは知っている。ここで出さない理由があろうとも、クロトと同等の実力を持ったヨハン相手に舐めていると思われても仕方が無いだろう。


  いつの間にかに、ヨハンが王者能力を生み出していたことに疑問を持つかもしれないが、ゼロには、まだ一つだけ『魔王の証』を一つだけ残していたことを覚えているだろうか?

  今まで打倒した魔王は四人。ゼロ、レイ、フォネスに使われており、一つだけ残っていたのを、ヨハンに使わせ…………結果、王者能力を手に入れたのだ。

  だが、ヨハンの資質では、王者能力を操るには実力が足りなかった。ゼロとレイとヨハンは渡す前から予測出来たことなので、慌てずにヨハンの研究結果を発揮することになる。

  ヨハンが行っていた研究とは、生命に関わることであり、ミーラとヨハンだけで潰したジガルド街にて、『宝命玉』という虹色に輝く玉を作り出していた。『宝命玉』とは、人の生命力が詰め込まれており、研究に役立ったのだ。

  その生命力を魔力に変える研究、普通なら出来ないことだ。元々、生命力と魔力とは別のものであり、ベクトルが違っているからだ。だが、それらの問題は、レイがいるだけで解決したので、時間も掛けずに済んだ。

  零式王レイディウスで情報を操作して、生命と魔力の違いを無くした。例に出せば、水と油は同じ液体だが、一緒にすると別々に分かれてしまうだろう。それが上手く混ざるように油の性質を変えて、水と変わらない性質になって混ざるようになったと考えれば分かりやすいと思う。

  レイの助けがあり、生命力の塊である『宝命玉』から魔力の塊、『宝魔玉』という存在に変わった。万人の魔力分がある『宝魔玉』をヨハンの身体に組み合わせ、強化させたのだ。そして、ヨハンは元から生命を操ることに特化しており、王者能力も生と死を司る能力に特化している。その強力な能力がカズト達に襲おうとしている。




「我が神の目的、邪魔をさせません! ”爆式符ブレイクシート”!!」


  今度は触れたら爆発を起こす紙がカズトへ襲う。カズトはとっさに剣で斬り裂いて防ごうとしたが…………




  バンバンバァァァァァン!!




  剣が触れた瞬間に爆発が起きて、空中に浮いていたカズトは後方へ吹き飛ばされてしまう。

  吹き飛ばした後に、ヨハンの攻撃は続いており、”紙鶴サイエンス”が次々と散らばってカズトを逃がさないように全位方向から攻めている。


  バランスを崩したカズトは、剣が爆発のせいで折れてしまい、仕方が無く聖救剣エクスカリバーで消し去ろうと発現しかけたが…………




  黒い炎が、カズトの周りにあった折紙を消し去った。





「後は任せろ!!」

『この男はワシらに任せておけ!』




  現れて、黒い炎で折紙を消し去ったのは、サーズ王国で国王をやっているダリュグと、その相棒である黒鋼竜のロガであった。




「ザコか…………むっ?」

「俺もいるぜ!!」


  剣を切り結いだのは、同じくサーズ王国にて、聖騎士長を受け持つレクスの姿があった。レクスはカズトと同じ空を駆ける能力を持っており、ダリュグと一緒にカズト達の助けに来たのだ。




「こいつは俺達がやるから、勇者達は先に行ってくれ! 時間もそんなにないんだろ!!」


  次の”光輪凱旋砲(メギドラ)”か発射されるまで、後55分。まだ幹部が待ち構えていて、魔神ゼロもいるのだから、時間はそう多くないのはわかる。




「わかった!」

「死ぬなよ!」

「すまねぇ!」


  それぞれがダリュグ達に激励を掛けて、先に進んでいく。




「簡単に行かせると思いですか!!」

「させるか!!」


  ヨハンがカズト達を追おうとするが、ダリュグ達に回り込まれて、先に行けない。




「…………はぁ、先に貴方達を片付けて追うことにしましょう」

「無理だな」

「俺達が倒すからな」

『ワシらを簡単に倒せると思うな』




  ヨハンは手から様々な色をした紙を生み出して行く。






「死を与えてあげましょう。そして、我が神に歯向かったことを後悔しなさい」






  空中でダリュグ達とヨハンがぶつかり合うことになる。




  ”光輪凱旋砲(メギドラ)”が発射されるまで、残り53分…………




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