第百四十八話 ヨハン
最近、忙しいのもあり、なかなか投稿出来なくてすいません。
100%の出力、”光輪凱旋砲”が撃ち込まれるまで、あと一時間。
それまでに、魔神ゼロを止めなければ、先程の二倍はある威力が撃ち込まれることになる。カズトも先程の二倍となると、止められるかわからない。
「予定通りに乗り込んで、カズトがゼロを討つ。もし、一時間以内に倒せなかったら終わりだ」
ガイウスが状況を説明はしてくる。今は新生幽腐鬼が大量に現れて、こっちに向かってくる。こっちの方が数は多いが、実力は向こうの方が上。だがカズト達が参加するわけにはいかず、他の勇者達や兵士達に任せるしかない。
「そう決まったなら、急ぐぞ!」
タイキがそう言って、空を走っていく。続いて、カズト、カズトのパーティ仲間とイリヤ、クスハ、ゴウダも空を駆けていく。何故、全員が空を走れるのかは、カズトの能力にある。
新しく手に入れたスキル、”能力共有”で、カズトが持つ”飛駆”を仲間にも使えるようにしてあるのだ。凄く便利だが、共有出来るのは一日に一種類で希少スキル以下のスキルだけの制限がある。
「出来るだけ、白い奴は無視するんだ!!」
「「「了解!」」」
方舟に着くまでは、体力と魔力を消費するわけには行かないので、新生幽腐鬼は無視することに。
方舟の甲板から、一人の影が見える。
「ふむ、新生幽腐鬼の支配は問題ないな」
白い袴を来たヨハン。幹部の一人でもある人物であった。
今、新生幽腐鬼を支配しているのは、幹部のヨハンであり、本来ならクロトが勤める筈だったが、今はいない。だから、ヨハンがクロトと代わって、支配をしているのだ。
「こっちに向かっているのが数人。新生幽腐鬼では止められないか」
ヨハンは数体の新生幽腐鬼に付けていた紙で、情報を集めていた。どれだけ、離れようが、ヨハンの持つ王者能力『死紙王』紙を通して情報を集め、活用する。
「すぐに方舟へ乗せるには行かないし、仕方が無い。私が出るか」
クロトと戦って勝った者が相手では、新生幽腐鬼は足止めにもならないと判断し、ヨハン自らが出ることに決めたのだった。
「新生幽腐鬼よ、数を減らせ!!」
命令はシンプルに。新生といえ、幽腐鬼には、知的などはない。ただ敵を殺すだけの死体集合体であり、シンプルの程に動きやすい命令が一番いいのだ。
ヨハンの命令を受けた新生幽腐鬼は、異様に膨らんだ右手を前に出す。新生幽腐鬼は翼で浮いており、聖騎士や兵士は飛べないのでそこを狙う。異様に膨らんだ右手から自分の一部である塊が撃ち出されて、兵士達を貫いていく。
「ぎゃあああああ!!」「くそッ!!」「降りて来やがれ!!」「がぁっ、盾を貫くだと……?」「竜騎士! 早くあいつらを撃ち落としてくれ!」
などと、叫び声が上がり、新生幽腐鬼には飛べる竜騎士が相手になる。だが、竜では、天使と同等のスピードを持つ新生幽腐鬼には追いつけない。竜のランクがB~Cで、天使のランクはAランクに近いのだ。実力だけでも違うのが分かりやすいのに、追いつけるわけでもないのだ。
「どうすれば……」
竜騎士の一人がそう呟いていたそこに、起こった。
新生幽腐鬼の一体が落ちたのだ。光の槍に貫かれて……
「俺達も空中戦に加わる!」
「勇者殿!?」
新生幽腐鬼を落としたのは、勇者だった。その勇者は宙に浮いており、光の槍を手に持っていた。
「宙に浮けたのですか!?」
「これは、勇者カズトのお陰だ!」
”能力共”は、自分の仲間やタイキ達だけではなく…………
「おらぁっ! 舐めんな!」「消えよ!」「おおっ、これは便利だなっ!!」「口よりも手を動かしなさい!」「やっちまえっ!!」
先程の勇者だけではなく、他の勇者達も空を駆けており、新生幽腐鬼を落として行く。落とした新生幽腐鬼を聖騎士や竜騎士が弱点を狙って攻撃していく。簡単に新生幽腐鬼を倒せず、被害は少しずつと出ているが、確実に新生幽腐鬼は減っていく。
「ここは俺達に任せて、勇者カズト達に頼みましたよ……」
勇者達は新生幽腐鬼の翼を狙って、落として行く。翼だけは身体と違って、すぐに高速再生は出来ないようで、地面に落ちて行っている。
「大丈夫か、心配だったが、他の勇者達が上手くやれているみたいだな。俺達もこんな相手をせずに、ゼロがいる船に乗り込むぞ!!」
「おう!」
「近くに行くと、物凄くデカイのがわかるな……。何処で待ち構えているんだ?」
「あの城じゃねぇのか?」
大きな船で探し回ることになると、一時間などは直ぐに過ぎ去ってさしまうだろう。どうやって探すか、空中を駆けながら話し合っていた。
「安心しなさい。我が神は、あの城にいますよ」
「誰だ!?」
急に声が聞こえ、姿を探すが、新生幽腐鬼しか見えない。声の主が誰なのか気になるが、時間もないので先に進もうとしたら、一枚の紙が前に現れたのが見えた。そして…………
「お久しぶりですね?」
「なっ!?」
紙が降ってきたかと思ったら、紙から魔法陣が現れて、ヨハンの姿を作り出す。
「あ、貴方は、あの時の
…………!?」
カズト達はヨハンと出会ったことがあり、幹部が現れたのがわかった。
「城にいるのは教えましたが、そう簡単に行かせませんよ?」
ヨハンは手から大量の折紙、鶴の形になってヨハンの周りに浮いて行く。ここからが、ヨハンとの戦いになるのだった…………