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第十三話 人間の街

少し遅くなりました(^-^;



 身体を造ってから、二日が経っていた。

 南、北、東と、岩山がある西以外に向かっていたら二日目に、人間の街を見付けたのだ。




「ようやく、見付けたか!」

「はい、ここから尻尾は一本にします」


 九尾族だとわからないように、尻尾を一本に変化させて、亜人の妖狐族になりきる。

 ゼロは人間の姿だから、どうみても魔物には見えない。

 ゼロの身体は普通の人間より便利な構造になっている。この身体は、魔素があれば、問題なく行動出来る。

 レイが上手く造ってくれて、魔素がある限り、血は余り必要ないのだ。

 ただ、血行の良い顔に見せるために血は半分だけ残し、他は魔素で補っている。

 その魔素で身体強化を瞬時に発動出来るようになった。




(まず、何処に行くか? お金は盗賊と材料の男のがあるが、どうみても少ないよな?)

『……うん、小さな銀色のコインが二個と別の銅色のコインが八個だね』

(どれくらいの価値があるかわからないが、少なそうだよな……)


 ゼロ達は人間のお金の価値を知らないのだ。

 これだけあれば、フォネスの服は買えるか?

 盗賊はお金を持ってないから盗賊になったから少ないのはわかる。

 だが、材料にした男は冒険者なのだ。もっと持っていてもおかしくないのに、これだけしかなかった。




(ただ、貧乏だっただけなのかな……?)

『……それか、他の仲間がお金の管理していたとか……?』




 実際は、レイが想像していた通りだった。

 コーラスは、酒盛りの男で、お金を持っていたらお酒に消えてしまうので、お金はパーティ仲間のメイが管理していたのだ。




(まず、お金の価値を知らないとな)

『……教えてくれそうな場所は、あそこかな?』

(ああ、定番だな。冒険者がいるなら、必ずあるはずだ!)


 あそことは、ギルドのことだ。ギルドなら、わからないことを教えてくれそうだ。

 小説や漫画では、そうなっているのだからだ。




(ついでに、登録しとくか? 証明するのに、必需アイテムだろ?)

『……バレないなら、持っていた方がいいかも』

(魔物だとばれたら逃げればいいしな)


 ついでに、冒険者に登録するのもいいだろうと考えるゼロ。

 お金が必要なら、依頼を請けるのも面白そうだ。




「よし、まずギルドを探すぞ」

「ギルドですか?」

「知らない? 冒険者なら知っているよな?」

「あ、はい。それならわかります」

「ギルドは冒険者を纏める場所だと思えばいいだろう」


 大雑把な説明だが、フォネスは、大体は理解したようだ。

 フォネスも変化が終わり、そのまま街に近付いた。




「ん、門番がいるな」

「ええと、どうしますか?」

「そうだな、俺が話すから黙っていればいい」

「了解しました」


 フォネスはゼロ様ならなんとかすると信頼しているので、いうとおりにする。




(よし、門番を通り抜けるぞ!)

『……ミッションスタート……!』






「おい! お前はここの街の者じゃないよな?」


 門番の男は見たことがない服を着た変な男とそれに付き添う亜人の女性が来たと警戒していた。




「すまない、ここはどの街か教えてくれないかな? 俺は山の向こうから来た商人なんだが、運悪く盗賊に出会ってしまい、命懸けでここまで来たのです」


 ゼロは嘘を本当のことのようにペラペラと話している。




「そうなのか……」


 門番は納得していた。その服は商人なら、どこかで手に入れ、着ていたと思えばおかしくはない。

 最近、盗賊が増えているし、奴隷商人も襲われたと報告があったので、その話には、信憑性が高かった。




「では、証明書は……なさそうだな」

「すみません。それも盗賊に取られました」


 二人とも、何も持っていなかったから、証明書もないように見えたのだ。




「……わかった。仮入国証を発行するから、君達のことを教えてくれ」

「はい、わかりました。私は今まで商人として生きていました。隣の女性も商人との付き合いで、一緒に行動しています…………」




 嘘を並べただけの話を続けて…………




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




(よし、入国成功!!)

『……グッド、ミッション……成功!』


 嘘を発見するための物はなかったのもあり、嘘とは思えない話をスラスラと話をして、仮入国証を貰うことに成功したのだ。




「よし、喋っていいぞ」


 命令通りにフォネスは入国するまでは黙っていた。




「ゼロ様はあんな嘘をスラスラと吐けますね……」

「ん? 駄目だったかい?」

「いえ、ただ凄いなと尊敬しただけですから」


 同じ魔物なのに、簡単に街の中に入れてしまった。嘘ばかりだったが、相手を信じ込ませる話術が凄いとフォネスは思ったのだった。




「まぁ、褒めているなら、いいや。さて、ギルドに向かうぞ」

「はい、わかりました」


 街に来てもフォネスは何もできないので、ゼロに全てお任せして着いていくしかないのだ。




「さて〜、ギルドの場所は聞いたし、すぐに向かうぞ」


 フォネスにとっては敵の街での行動は緊張を持つことだが、目の前の主、ゼロ様は気楽に街の中を歩いていた。

 そのことに、尊敬しつつ、私も早めに慣れなければ! と決意するのであった。






「お、ここだ」

「ここですか……」


 ギルドと言う建物前まで来た。

 ここはメイガス王国と言う街で、真ん中にはお城があった。

 ギルドの建物前に着いたゼロが思ったことは…………



(うん、見た目は想像とそんなに差はないが……)

『……中身は市役所みたい』

(だよな。さらに綺麗に掃除されているな)



 まだ中に入っていなくて、遠目に見ただけだが、想像していたより綺麗で驚いたのだ。




「よし、入るぞ」


 ゼロはそう言って中に入る。フォネスも黙って頷き、着いていく。


 中に入った瞬間に、視線を感じた。

 周りを見ると、ほぼ全員が見ているのがわかった。




(ありゃ、目立ってる?)

『……多分、この服が珍しいと思う』

(あー、この世界にはジーパンやロゴが入ったTシャツはないみたいだからな)


 害は無さそうなので、無視して受付嬢がいる窓口に向かった。




「こんにちは、こちらは初めてになりますか?」

「ああ、ここで登録出来ると聞いて来た」


 ここで登録と聞いて、周りがざわついた。

 おそらく、服から見て、冒険者ではなく、依頼者だと予測する人が多かったのだ。


「と、登録ですか?」


 受付嬢もその一人だったようで、驚いていた。

 武器や鎧など、無かったからそう思うのも仕方がないだろう。


「そうだ、説明をお願い出来るかな?」

「は、はい。冒険者になるためには、登録料とこの紙に書き込むだけでいいです」

「了解した。で、登録料は一人でいくらになる?」


 まず、お金のことを知らなければならないので、書く前に登録料を先に聞いた。




「はい、お一人様、100ゼニになります」

「すまないが、俺達は田舎から来た者で、お金のことを良く知らない。詳しく教えて頂けないかな?」

「え、お金のことを知らないんですか?」

「ああ、昔から物々交換でしたので……」

「なるほど、まだそういう取引をする村があるのですね、わかりました」


 嘘を上手く信じてくれて、説明してくれた。


 白金貨が一番上であり、小銅貨が一番下である。


 小銅貨一個 → 1ゼニ

  銅貨一個 → 10ゼニ

 小銀貨一個 → 100ゼニ

  銀貨一個 → 1,000ゼニ

 小金貨一個 → 10,000ゼニ

  金貨一個 → 100,000ゼニ

 白金貨一個 → 1,000,000ゼニ




 ということらしい。

 今は、小銀貨二個に、銅貨八個だから、280ゼニはある。



(ギリギリだったな……)

『……うん、武器と……服は……買えない……けどね……』


 それらは依頼を請けて稼いでから買えばいいだろう。

 ゼロはフォネスの分も合わせて200ゼニを払う。紙に書こうとしたら、フォネスが……




「す、すいません。字が書けないのです」


 と言っていた。本を読めるのに、何を言っているんだ? と思ったら、ゼロは気付いた。

 フォネスは、本を読めるが…………、あれは魔族語だったことを聞いたことがある。

 だから、人間の文字が書けないとフォネスは言っているのだ。




(レイ、わかるか?)

『……大丈夫。この紙に書いてある文字を見たら、『知識者チキシモノ』が知識をくれた』

(おぃ、便利だな! まぁ、問題はないな)


 レイから知識を貰い、ゼロは人間の世界共通文字である人類語を理解した。




「そうだったな。お前の分も書いてやるよ」


 フォネスはそのことに目を開いていたが、余計な言葉を言わないように、頷いて、書いてもらった。






「ほい、これでいいか?」

「ええと、ゼロ様に、フォネス様で間違いありませんか?」


 最終確認するように、聞いてくる。

 問題はなかったので、頷いた。




「わかりました。ギルドカードを発行しますので、しばらくお待ちください。待っている間に、冒険者についてのことが書いてある本でも読んで下さい」


 そう言って、渡されたのは50ページはありそうな本だった。

 ゼロはそれを受け取り、パラパラと見る。

 そして、すぐに返したのだった。




「……え?」


 すぐに返されて、意味がわからなかった受付嬢だったが、ゼロは……




「もう覚えたから必要ないよ」




 また周りからザッと騒いでいた。受付嬢も疑わしそうに見ていた。


「本当にですか……?」

「ああ、なんならページを言ってみな」

「え……、ええと、18ページの初めは……?」

「そこは注意のページで、『死んでも責任はギルドには関わりません』だろ?」


 それを聞いて、間違っていないのか、受付嬢は驚いていた。




「え、嘘……、じゃあ、35ページは?」

「ははっ、受付嬢さんは悪戯好きなんだね。そのページは白紙だろ」

「……あ、合っています。本当に覚えているなんて……」


 周りの人も聞いていたのか、ゼロ以外の人、フォネスも含めて驚愕していた。






(ふふっ、驚く様は面白いな。さすが、マイリトルシスターだ!)

『……ふふん、これくらい朝飯前』


 一瞬で記憶したのは、ゼロではなく、レイの方だった。

 スキルで記憶したわけでもなく、凄いのはレイのそのものだった。




(さらに目立ってしまったが、面白かったからいいか)

『……うん、その本に人を殺すなというのがなかった』

(あー、それは一般常識としてわかっていることだから、わざわざ書いてないだけだろ?)

『……そう?この世界、命が軽いから罪は問われないんじゃない?』

(むむ、罪か……、前の世界では、裁判所があったが、こっちの世界ではどうなってんだろ?)


 自分は魔物だが、それは気になることだった。暇があったら調べようと思うゼロだった。




「んー、暇だ。まだ時間はかかりそう?」

「あ、はい。あと10分はかかります」

「10分? 時計があるの?」

「あ、はい。魔力時計はあれになります」


 指を指して、時計があることを教えてくれた。魔力時計と言っていたから、魔法で動かしているのだろう。

 時計の読み方は前の世界と変わらないようだ。

 この世界の文明はどうなっているんだ? と考えたが、後で調べれることにした。




「了解した。しばらく散歩してから戻る」

「わかりました」


 ゼロはそう言って、扉に向かおうとしたが、それを阻む相手がいた。




「ちょっと待ちな!」




 男三人が扉への道を邪魔するように立っていた。







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