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第百三十一話 二人の変化



 見えない攻撃が始まってから20秒間が経ち、ゼロは膝を地に付いていた。


 身体中には穴が所々に空いており、『自己再生』も出来ない状態だった。『広域聖魔封結界』のおかげで、魔力が漏れないのはいいが、『自己再生』が出来ないと、身体を全て消されてしまったらゼロは確実に消えてしまう。

 何とか活路を見つけようとするが、攻撃は全く通じることはなく、メタトロンの見えない、感じない粒子? の攻撃によって防御も回避は不可能になっている。




(クソォ……、何かないか……)

『……わからない、見えない攻撃が防げない……』


 全くいい手を思い付かず、時間が過ぎていくだけだった。




「纏めて消す、第一陣、第二陣、第三陣を展開、二秒後に発射する」


 メタトロンはこの見えない攻撃で終わらせるつもりだ。




「クソッタレがぁ……」









◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 あるダンジョンの魔王の間にて…………




「ククッ、これで終わりなんですか?」


 沢山の仮面を操るクロトが、一人だけ立っていた。カズト以外は全員が倒れており、カズトも『正義者ヒーロー』の効果が切れており、いつでも倒れそうな身体を剣で支えて、膝を付いている状態だった。


 カズトが倒れたら、被害が意識はまだあるが動けない皆の元に行くだろう。だから、カズトは倒れないようにしているのだ。

 だが、現実は無情であった。




「ふむ、楽しかったのですが、魔力は大分回復しましたし、もう終わらせてあげましょう」


 クロトがそう言うと、七つの魔法を備えた仮面達が前に出て、仮面が光り出す。

 この魔法はガイウスを倒した究極属性魔法だ。




「また、僕は救えないままなのか…………」


 何も出来ないことに悔しい思いが湧き出る。









 同時間に、ゼロとカズトの二人が窮地に陥っていた。

 敵の攻撃も同時に準備も終わらせていた。






「「終わりだ」」






 クロトは究極属性魔法”七属彗星レインボゥマスター”、メタトロンは『不視粒子放射』を発動して、二人の元に向かわれる…………









 ……………………


 ………………


 …………


 ……






 ゼロはいつまで立っても攻撃が来ないことに訝しみ、諦めて目を閉じていた目を上げると…………




「……ここは?」


 何もない、真っ黒な場所だった。さっきまでは天界にいたはずなのに、何故ここにいるのかわからなかった。

 後ろから初めて聞く声が聞こえ、すぐに振り向く。




「やぁ、具合はどうかな?」




 地球にいた頃の姿だったゼロがいた。

 何故、もう一人のゼロがいるのかと混乱するゼロだったが、もう一人のゼロがすぐに答えをくれた。




「この姿は借りているだけで、本来の姿は別にある。さて、自己紹介するか! 俺は邪神のアバターと言う。姿を摸す邪神で有名なんだが、知らないかい?」

「知らねぇよ、で、その邪神様が何故、俺の姿をしているんだよ」

「この姿じゃないと喋れないからな。それにしても、邪神を前にしても、いつも通りとはね」

「ふん、俺の目的を邪魔するなら神殺しでも成し遂げて見せようじゃないか」

「大天使ごときに負けそうになったのに?」

「ぐっ……、って、ここは何処か教えて貰ってねぇぞ!? しかも、レイと繋がらないぞ!?」


 ここの部屋は宇宙のように暗い部屋で、レイと会話したくても会話は出来ない。間違いなく、レイの存在はゼロの中にいるのに、繋がらないのはおかしなことだった。




「話をすり替えちゃうんだ? まぁ、いいけどな。ここは俺が作った空間だから気にしなくていいし、妹さんと話せないのは、ゼロだけの意識をこっちに引っ張ったから」

「意識を引っ張った……?」

「そっ、向こうは時間が止まったように動いていないから身体はまだ無事だよ」

「……何の用で俺だけを?」

「ようやく本題に入れるね!」


 機嫌がよくなるアバター。ゼロはもう一人の自分と話している感じで、変な気分だった。




「何故、ゼロをここに呼んだのか気になるよね?」

「ああ……」

「それはねぇ、自分が連れて来た人が簡単に死んで貰ったら困るんだよ」

「連れて来ただと?」


 何を言っているんだ? と、疑問が浮かぶ。




「何せ、俺がこの世界に連れて来たんだから。しかも、力を与えたのも俺だよ」

「力を与えた…………まさか、飛び降りた後に聞こえた声は…………」

「うん、正解! その時だけは世界の声じゃなくて俺の声だったわけさ! 感謝してよね? サービスとして妹さんも一緒にさせたからねっ!」

「……そうだな、感謝する。が、何故、俺達二人だったんだ?」


 そう、気になるのはそこだった。ゼロのような人間など、いくらでもいるのに、何故ゼロを選んだのか?




「あははっ、ゼロみたいに歪んでいて、夢がある。他に条件もあったけど、魂が強かったからねぇ」

「は? それだけで、決めたと言うのか?」

「うん、力を与えたといえ、魔王になるまで一年も掛かっていないじゃないか。つまり、目論みは成功していたのさ。俺の目的を達させるために♪」

「目的だと?」

「うん、それは言わないけどね。話を戻すけど、ここに呼んだのは大天使ごときに負けてもらっては困るから、一生に一度だけの権利を使わせてもらったわけ♪」

「権利だと? その権利はお前の……いや、俺のか?」

「当たり。俺と会って力を得る権利だよ。もうゼロは条件を達しているから力を授けることが出来るの」


 つまり、初めにこの世界に来たばかりでは、この権利は使えなかったということ。その条件とは何なのかわからないが、今は達していて力を得ることが出来る。




「成る程な。その力とは?」

「ふふっ、戻ればわかるよ。もう俺と会えないけど、精々と生き残って俺を楽しませてね♪ バイバイ〜〜〜」




 邪神アバターが手を振ってバイバイをすると、意識が戻っていくのがわかる。


 ゼロと同時に、もう一人も誰かと話し終わっていた。

 そう…………







 目の前には、女神と言える美しい女性がいた。優しい笑みを称えて、力を授けていた。




「ご無事を祈っております。カズト様…………」

「ありがとうございます……」






 そう、カズトだった。カズトもゼロと同時に意識が戻って行き…………











 意識が戻ったゼロとカズトは敵の攻撃を前に、与えられた力を発動した。その前に、世界の声が頭の中に流れ込む。

 まず、ゼロは…………






《『魔王の証』が『神の資格』に変わりました。それによって、超霊体モルテから神霊体ファンタズマに進化致します。

さらに、神之能力ゴッドスキル暗黒神ダークマスター』を手に入れました》






 次に、カズトは…………






《『勇者』が『神の使徒』に変わりました。それによって、人間ヒューマンから半神半人デミゴッドに進化致します。

 さらに、神之能力ゴッドスキル救済神メシア』を手に入れました》







 ゼロは一瞬で進化が終わり、カズトは副作用で動けなかった身体に力が入っていくのを感じられた。

 迫って来る敵の攻撃を前に、ゼロとカズトは剣を生み出して…………






「『暗黒剣ディザスター』!」

「『聖救剣エクスカリバー』!」






 それぞれの剣が全ての攻撃を消し去ったのだった…………







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