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第百十七話 ゼロは……?



 サーズ王国で戦争が起きている頃、ゼロ達は…………






「ゼロ様! この焼鳥は美味しいです!」

「おいおい、楽しむのはいいが、様付けは駄目だぞ」

「そうですよ、変装した意味がないでしょう……」

「あ、すいません。ゼロ……」


 フォネスは焼鳥を手に、顔を赤くする。マリアも呆れて首を横に振っていた。


 ゼロは今、何をしているのかは…………




「で、デートに誘ってくれると思いませんでした……」

「いいのかしら……? 向こうでは戦争をしているのに、マリアはデートをしていて……」


 そう、デートなのだ。

 この前のご褒美。本当なら聖獣を倒したらご褒美をあげるつもりだったが、戦うことはなかったから魔王ガロムの件で頑張ったということで、フォネスとマリアにご褒美をあげることにしたのだ。


 ご褒美がデートになり、二人も喜んでいた。デートはレイの案であり、レイが戦争の指揮者として動くことになっている。


 レイ本体は行かないで、エゼルが中心になり、幽腐鬼を動かしながらサーズ王国を攻めることに。




 ……ということだから、『お兄ぃはフォネス、マリアと一緒にデートに行ってきなさい』と、レイに言われたので今はデートをしているのだ。


 おそらく、レイはゼロに息抜きをして欲しいと思っているから、デートに送り出したのだ。


 ゼロはレイのことを信じているし、もし負けたとしてもレイが消えるわけでもないので安心して送り出している。

 今回の戦争は負けたっていいのだ。目的は人間達にヒントを出すためで、街を潰すことではないので戦力があまり減らないように、新しい死体集合体のエゼルを造り、幽腐鬼も10体だけ。


 さらにエゼルの能力も戦争のために使えるものにしてあるから簡単にやられないと思っている。






「まぁ、いいじゃないか。今回の戦争は勝敗なんてどうでもいいことだからな」

「そうでしたね。レイ様がいるなら簡単にやられないでしょうね」

「おいひぃ」

「…………フォネス、焼鳥を食っていないで話に加わって下さらない?」




 フォネスは今を楽しんでいて、話を聞いていなかった。

 フォネスはせっかくのデートだから楽しまなくては勿体ないと思っているのだ。




「くくっ、フォネスはフォネスらしいな」

「……まぁ、そうですね。今は、戦争の話は止めときますね」

「そうした方がいいだろうな。変装して久しぶりにローナ街に来ているからな」


 ゼロは今の姿ではなく、前のTシャツにジーパンだった頃の姿になっている。フォネスも尻尾を一本にして入れ墨も消し、マリアも人間だった頃の姿に偽装している。


 ゼロとフォネスは『変化』、マリアは『偽装』を使ってローナ街に来た頃と同じ姿に変装している。


 ローナ街に来たのは随分前のことだし、人間や亜人に変装したゼロ達を見ただけで魔王とは思わないだろう。




「ちょうどここで祭りをしていたし、何があるんだろうな?」

「はむはむ……」

「フォネス、口の周りを汚さないの。祭りですか、ローナ街のことは詳しくなくて……」

「そうか、周りにいる奴に聞けばいいか」


 ローナ街ではちょうど祭りをやっていて、様々な露店が出ているのだ。

 フォネスの焼鳥も祭りの露店で買ったもので、結構美味しく頂いている。


 お金はデートの前に適当に魔物を狩って、その部位を買収してもらったから問題はない。




「すまんが、ここの祭りは何の祭りか教えてくれないか?」

「君は……他の街から来たのかな? その服もここで見ないものだな」


 祭りのために設置された守備員の男性に聞いてみる。




「ああ、商売のために来たんだが祭りをしていて驚いたよ。主にアレがな」

「ははっ、初めて来る人にはアレは珍しいかもしれないね。この祭りは、『漁願祭』だ。ここが海に接している街のは知っているよな?」




 …………と、詳しく聞いてみたら漁に関する祭りのようだった。

 ゼロが言っていたアレのことは、前に来た時は無かった大きな石像のことだ。


 石像は、海の神として崇められている『ポセイドン』と言うものらしい。

 名前が前の世界と同じだなと思ったが、形はオジサンの人型ではなく、人魚のように美しい女性だった。


 今年の漁が大漁になるように願を掛ける祭り、『漁願祭』だと。




「マリアは海と接している街はここしか知りません。

 なので、この祭りも珍しいかもしれません」

「そうか、珍しい祭りなら、珍しい出し物もあるかもしれないし、回るか……」

「はいっ! あの魚が売っている所も見てみたいです!」

「フォネスが楽しんでいるなら、マリアも楽しまないと損ですね。せっかくのデートですし……」




 まず、食べ物の露店を回ることにする。

 フォネスが騒ぎながらゼロにくっついて露店まで連れていく。それを呆れながらマリアも付いていく。


 その様子から、マリアはフォネスのように楽しんでも、騒がないとゼロは思ったのが…………









「あ、あれは………………クサノガエルの串焼き!? アレを買って買って!!」






 マリアの好物であるクサノガエルが出ていて子供のようにゼロを催促する。


 前に、遺跡だと思った洞窟で出会った牛の味がするカエルがマリアの好物であり、食べた時はマリアの頬が落ちるかと思うほどだった。

 ちなみに、フォネスはカエルを食べたいとは思わず、食べてない。

 ゼロは幸せそうに食べているマリアを見て、自分の分もあげたのだ。


 それが露店で出ているのでマリアはこうなっている。


 というわけで、お金を管理するゼロがマリアにクサノガエルの串焼きを五本は買ってあげた。




 マリアは子供のように喜び、美味しく食べていた。実際にまだ12年しか生きていないから子供で間違いはないのだが、普段の姿から違いすぎてゼロは笑みが零れる。


 なんか、ゼロはその二人を見て、頭を撫でた。




「ふぇ?」

「ゼロさ……、ゼロ?」


 撫でられて驚いた二人はゼロを上目遣いで見る。




「二人とも可愛いな」


 ゼロは優しい笑みを浮かべながら呟くと、二人は顔を赤くして…………






「「ふぇぇっ!?」」






 二人とも焼鳥とカエルの串焼きを落としそうになっていた。ゼロが落ちる前に掴んだから無事だったが、フォネスとマリアは無事ではなかった。

 顔を赤くしてまともにゼロの顔を見れなくなっていた。




「おや、恥ずかしがっているのか?」

「ふぁ、い……」

「はぅー、はぅー……」


 フォネスは何とか返事をし、マリアは深呼吸をしていた。




「最後にサプライズがあったんだが、この調子じゃ、危ないかな……」

「い、いえ!」

「だ、大丈夫です!!」


 二人の顔がバッと上がり、期待しているような表情をしていた。




「そ、そうか?」


 そのようなやり取りがあったが、二人も次第に落ち着いてきたので続けて露店を回ることに。




 次の露店は装飾品で、綺麗な宝石や海から取れた綺麗な形をした貝などが並んでいた。さらに戦いで役に立つ付加魔法が付いたものも売っている。


 ゼロが目についたのは、ある指輪だった。




「……ん? あれは……」

「あら? 二人の女性をはべらしているお兄さん♪ この指輪、気に入ったのかしら?」


 店員は女性で、ゼロの脇には女性が二人もいるが、この世界では恋人が何人いても不思議でもないので普通に接していた。




「ああ、この二つは魔法が付加されているだろ?」

「あら、気付いたの? そう、赤は火魔法を強化するわ♪青は水……ではなくて身体強化でスピードを上げてくれるわ♪」

「ほぅ、二つとも買う」

「毎度、ありっ!」




 魔法が付加されているだけ、他より高かったが、お金は問題なかったので買った。




「待たせたな。指を出してみな」

「は、はい」

「はい……」


 買った指輪は二人の指に嵌めていく。赤はフォネスで青はマリアの指に通していく。

 装飾はしっかりしていて女性に人気がありそうな指輪で、大きさはちょうど薬指にピッタリなので左手の薬指に嵌めた。




「ゼロ!?」

「左手の薬指に……」


 ゼロはただピッタリだったから左手の薬指に嵌めただけで、何の意味があるのかは知らなかったのだ。だから、二人の反応に疑問を持った。




「え、駄目だったか?」

「「いえいえ!! 嬉しいです!!」」

「へっ?」


 二人は今までないぐらいに喜んでいた。ゼロは訳が分からなかった。

 と、そこに今まで黙っていたレイから教えてくれた。




『……左手の薬指に指輪を嵌めることは、婚約の意味があるよ?』

(え、マジで!?)

『……はぁ、知らないでやったの? 前の世界と同じ習慣があるのに……』

(そういえば……、母親も左手の薬指に付けていたな……)

『……わかった? だから、二人が喜んでいるの』

(そうだったんだ、教えてくれてありがとうな)




 教えてくれたが、指輪はそのままにする。二人は喜んでくれているし、ゼロは二人のことも好きなのだから…………






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 指輪の件もあったが、色々な露店を楽しみながら日がもうすぐで落ちる頃に、海の境界線が見える所に移動する。




「ここだ」

「わぁ、夕日が綺麗ですね……」

「マリアもそう思います……」


 夕日が落ちる所を見て、ゼロも綺麗だと思った。今まで忙しくて夕日さえも気にしなかったぐらいだったのだ。


 ここからサプライズになるが、カップルにとっては普通のことだろう。




「フォネス、マリア」

「はい?」

「ゼロ?」


 二人がこっちに向いた瞬間に合わせて、口に口を触れるだけのキスをする…………






「「………………」」


「二人とも、好きだ」


「「………………」」


「…………………?」


「「………………」」


「………………フォネス、マリア?」




 固まって返事がない二人に声を掛けるが、まだ返事がない。




 と、急に顔をポンッと赤くした。




「あ、ああぁ、私も好きですぅっ!」

「ま、マリアもです!!」




 ゼロからキスをされたことに驚いて固まっていたが、理解した瞬間に嬉しそうな表情を浮かべ、二人が同時にゼロに抱き着いてきた。






 そのまま、夕日が完全に落ちるまで抱き着いていたのだった…………







書いてみたけど、恋愛を書くのが苦手かもしれません…………


変な所がなければいいのですが…………

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