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第百六話 魔王を狙う

 レイが放った諜報者……もとい、ゼロの身体の一部を切り離して、別れる瞬間に魔王達を追跡させていた。

 魔王の居場所を割り出し、ゼロ、フォネス、マリア、ガルム、ミーラで魔王ガロン・ゴイダラの拠点前まで来ていた。

 ここで兵を消費するにはいかないから、少数だけで攻めることに決めたのだ。


 ここに来ていない配下達は拠点でお留守番して、攻めてくる者がいたら知らせるように言ってある。

 レイの身体は拠点に置いてあるから防御面には問題はないだろう。




「よし、そこが魔王ガロン・ゴイダラの拠点だ。魔王ガロン・ゴイダラは獣人の魔王だから、部下は獣系が多いかもしれないな」

「どう戦いますか?」

「そうだな……」




 采配はここに来る前に決めていた。




「フォネスが魔王ガロンと戦え」

「へ? ………………私が!?」


 フォネスは魔王はゼロが戦うと思っていただけに、驚きが強かった。




「そうだ。俺と他の配下達はザコ相手に自分の新しい能力を試しつつ、殲滅だ」

「「「はっ!」」」

「わ、私が魔王の相手を……」

「なんだ、心配なのか?」

「……少しは」

「安心しろ、魔王ガロンは出会った魔王の中では弱い部類に入る。王者能力を持っていない可能性があるし、もし持っていたとしても、俺はフォネスが勝つと読んでいる。俺はフォネスが勝つと信じているからな」

「ゼ、ゼロ様…………、はい! 必ず勝ってきます!!」


 魔王相手を任せるほどに信頼してくれていることに、フォネスは歓喜で胸がいっぱいだった。

 フォネスに任せる理由は、魔王ガロンがエキドナ程の力を持ってないとわかったのもあるが、格上の相手との戦いを経験させておきたいと思ったのだ。

 フォネスは魔王に近しい実力を持ち、可能性を感じたから今回の戦いでフォネスが勝ち、『魔王の証』を手に入れたら…………




(これでいいな?)

『……うん、フォネスはまだ尾が八本で、まだ強くなるのがわかる。もし、『魔王の証』で尾が九本に増えて魔王になったら……』

(王者能力を手に入る可能性が高いか?)

『……うん、九本目だけはお兄ぃが進化したように、何かの条件があるように思えるの……』

(それで、格上である魔王クラスに相手をさせるわけか)




 会話の通りに、フォネスはまだ王者能力を手に入れてない。魔素量は王者能力を持っているマリアと比べると、マリアの方が上だけど、そんなに差はないのだ。

 王者能力はまだ謎が多く、簡単に生み出せないのだ。マリアが王者能力を手に入れた理由もまだハッキリしていないし、強者を倒して手に入れたわけでもないのだ。


 だが、ゼロとレイは強者を戦って手に入れている例もあるから、フォネスも手に入る可能性がある。

 ということで、フォネスに魔王を任せることにしたのだ。






「ここまで近付いたのですが、まだ向こうはこっちに気付いてないでしょうかな?」

「確かに、そろそろ気付いても良さそうなのに……」


 フォネスとマリアは気付いたようだ。

 ゼロ達はもうすでに、魔王ガロン・ゴイダラがいる森に建てられた古城の城壁前に着いている。




「……気付いていて、待っているというか?」

「さぁ? 行けばわかることだから、攻撃して来ないなら行くだけだ」

「アタイもそう思うけど、ゼロ様はどうするの?」

「確かにここで立っていても仕方がないな。中には沢山の反応があるから待ち伏せ体勢だろうな」


 おそらくだが、外にいた部下も城の中に集めて、城の中で戦うのだろう。

 これなら、レイがやったような街を壊せる威力は出せないだろう。




(獣でも考えているんだな……)

『……でも、私達にも都合がいい』

(まぁ、街を消す程、広域滅殺級の魔法を使えない奴が多いからな)


 今のメンバーで広域滅殺級の魔法を使えるのは、ゼロとマリアだけだ。

 フォネスは村程度なら燃やし尽くせるが、街になると制御をしきる自信がない。

 ガルムとミーラは対人戦闘に特化しているから狭い場所の方が戦いやすいのだ。




「奴らは広域滅殺魔法を警戒してか、お城の中に閉じこまっているな」

「だったら、お城ごと消せばいいのでは? なんなら、マリアに任せては?」

「……いや、今回の目的は魔王を倒すことだ。もしお城を破壊しても逃げられたら後が面倒だ」


 一対一の状況を作ってやれば、魔王ガロンは逃げないだろう。




「お城ごと消すのは無しで、中にさっさと入るぞ」

「了解です」


 入口から堂々と入っていくゼロ達。入口の辺りには誰もいなかった。魔力察知にも近くには誰もいない。

 向こうの扉を開けていかない限り…………




「向こうの扉を開けたら敵のお出ましだ。フォネスは出来るだけザコと戦うな。魔王だけを相手していればいい」

「わかりました!」


 最後の確認をし、扉を開けていく。

 扉を開けて、向こうに何かの影が見えたと思ったら、もうすでに攻撃が始まっていた。




「マリア」

「消えなさい! ”乱魔光線デモンレーザー”!」


 獣人の姿をしているガロムの部下達は扉が開かれた瞬間に、沢山の矢を射っていたが、マリアの『天闇王ルシフェンクス』による光操作と闇操作で、”乱魔光線デモンレーザー”を発現して黒い光線が矢ごと敵を貫いていっていた。




「ごふっ!?」「行かせるか!」「手がぁぁぁ!!」「まだまだ!」「矢を撃て!」「貴様らぁぁぁ!」「痛ぇよ!」「あぁ……、魔王ガロン・ゴイダラ、万歳……」




 様々な声が上げられる。どうやら、ここの部屋にいるのは獣人だけのようだ。


 黒い光線は一つだけではなく、どんどんとマリアの周りから敵に向かって撃ち出されている。

 全位方向に打ち出せる砲台のように、マリアの死角にいる敵にも黒い光線が貫いていた。


 マリアの王者能力『天闇王ルシフェンクス』の強みは光と闇を同時に扱えること。光と闇の能力は決して交えることはないと世界中に知られている。

 例え、光魔法を持っていたら、闇魔法を取得することは100%、不可能なのだ。

 だが、マリアは光と闇を同時に操っていた。それは何故かは…………




『……天使の一部とお兄ぃの一部を『零式王レイディウス』で交えるように書き換えたのが良かったみたいだね……』

(そうだな。光は天使か勇者で闇は俺らみたいに魔族にしか発現しないが、マリアはその二つの性質が入っているからあの王者能力が発現したんだろ?)

『……うん、幽腐鬼も防御面では光と闇を無効出来るようになったのも、お兄ぃがいたから』

(おいおい、作り出したのはお前だろ? つまり、二人がいたから光と闇を同時に扱える者を生み出せたんだよ)

『……そうだね。この世界に光と闇を操れる者がいなかったのは驚いたけどね』

(俺もそう思ったわ。漫画や小説で出る堕天使とかいないのかな?)

『……いないんじゃない? ナルカミも堕天使に似た堕ちた聖獣も初めて見たと、永く生きてきたミディも言っていたし……』




 敵を殲滅することは、黒い光線を放ち続けるマリアに任せつつ、レイと会話をしていた。




 会話が終わる頃には、もう終わっていた。

 この部屋にいた獣人は一人残らず、マリアが貫き殲滅させていたのだった…………







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