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第百三話 三ヶ月






 天使が現れた食事会から、三ヶ月が経った。




 あれから天使や悪魔王の両方からのアクションは無く、平和なものだった。

 もちろん、定期的に食事会にも参加して美味しい食事を頂いた。何故か、ゼロだけはノエルの手作りだったが…………


 何も毒も入っていなかったから問題はなかった。直接戦いたいと思っているミディがそんなことをするわけがないのもわかっていた。


 他に、三ヶ月の時間を使って何をしてきたのかは、戦力増強のために色々とやってきた。


 まず、一つ目はマリアのことだ。

 寿命が短い人間から、魔人になって寿命を延ばすために様々な研究をしてきた。そこで、役に立ったのが、天使の死体である。

 天使の死体には、創造神の力のカケラが残っていることがわかり、ゼロ(レイ)とヨハンが共に、解析し尽くしたのだ。

 天使の一部だけでは、光の部分が強くなってしまい、マリアが天使側につく可能性が出来てしまうから、魔人であるゼロの一部も一緒に使うことにした。

 天使の一部とゼロの一部を混ぜ合わせ、創造神の力のカケラを使って、天使の一部と魔人の成分であるゼロの魔素をマリアの身体に組み込んだ。




 その結果、成功したが、また新たな種族が生まれたのだった。

 これがマリアのステータスである。






ステータス

 名称 マリア

 種族 魔天族

 称号 ”魔王の配下”

 スキル

    王者能力『天闇王ルシフェンクス

         (光操作・闇操作・転移・闇分身・並列意識・偽装・猛毒作成・武器作成・超速思考・一撃必殺・完全隠蔽)


    通常スキル『全門耐性』、『毒・麻痺無効』、『光無効』、『闇無効』、『幻覚耐性』、『投擲』、『魔力察知』、『魔力操作』、『妖気操作』、『自己再生』、『精密』、『隠密』、『飛行』




 と、ステータスも強化されていて、さらに王者能力を獲得していたのだ。

 魔天族と言う種族はマリアだけしかいないだろう。レイが調べたが、他にいないと。

 魔天族は堕天使のような姿をしていた。黒い天使の翼があり、肌も前と違って太陽に焼けたような感じだった。身長も少し伸びて、140から150ぐらいになっていた。

 自我もマリアのままであり、力の調整に時間が必要になったが、まず成功と言ってもいいほどだった。

 当のマリアは…………




「あ、あの、背中の翼でどうやって飛べば……?」


 と困ったようなことも色々あったが、仕方がないだろう。人間の時は翼がなかったのだから、どうやって飛べばいいか苦戦するだろう。

 まぁ、一週間で飛べたのだが…………




 マリアの方は成功し、二つ目は兵力を増やすことだった。

 兵隊は全て、死体人形になるが、それだけでただの人間だけの街や村なら簡単に潰せるが、上位の聖騎士に相手をするのは難しいだろう。

 だから、死体人形とは別の兵を作り出した。

 材料は死体を使うことには変わらないが、もう一つの材料を加えたのだ。

 その材料は天使の死体だ。だが、天使の死体は一つしかない。

 そこで、天使という材料を増やすために、クローンを作り出すことに決めたのだ。

 それもゼロ(レイ)とヨハンの仕事だった。


 クローンは思ったより、簡単に出来た。『零式王レイディウス』の情報操作によって、細胞分裂が出来るように書き換えたのだ。

 そのおかげで、天使のクローンが沢山生まれ、新たな兵を造ることが出来た。


 その兵の名前は、『幽腐鬼』になる。種族はゾンビだが、普通のゾンビと違って、天使と同じように光属性を無効出来るのだ。さらに、闇属性もだ。

 幽腐鬼の強さは、一人でAランク相当になり、死体集合体が指示を出して動く兵隊が出来たのだった。

 姿は全身が真っ白で、目や口には糸が縫いとめられて、人間の姿に近かった。

 幽腐鬼のステータスはこうなっている。




ステータス

 名称 幽腐鬼

 種族 ゾンビ

 称号 ”魔王の人形”

 スキル

    通常スキル『毒・麻痺無効』、『光無効』、『闇無効』、『幻覚無効』、『不眠』、『魔力察知』、『魔力操作』、『超速再生』、『身体強化』




 となっている。

 幽腐鬼の強みは、『超速再生』による回復速度になるだろう。

 光属性、闇属性を無効出来るのは凄いことかもしれないが、幽腐鬼には致命的な弱点があるのだ。

 それは、全ての幽腐鬼に言えることで、頭を潰されたり、消されたら死んでしまうのだ。

 矢が刺さった程度なら、大丈夫だが、剣や槍で核となる頭の中心を貫かれたらダメなのだ。


 もちろん、そうならないように、防御するなら頭を優先にするようにしてある。

 他の箇所を消されても、前に作った暴鈍アバドンよりも速いスピードで再生出来るのだ。




 あとは、個人でそれぞれが訓練をして強くなっているだろう。ゼロ本人も一つ、さらに強くなるために新たなスキルを造ったのだ。

 詳しくは街を襲う時に、配下達に見せてやろうと思っている。




 今の戦力、兵の割り振りはこうなっている。




 魔王 ゼロ


 側近 レイ

    フォネス

    ナルカミ



 遊撃


  隊長   マリア

  副隊長  シル

  死体人形 1000体

  幽腐鬼   250体



 第一軍団


  隊長   クロト

  副隊長  ガルム

  死体人形 5000体

  幽腐鬼   50体



 第ニ軍団


  隊長   ヨハン

  副隊長  ミーラ

  死体人形 4000体

  幽腐鬼   200体



 非戦闘員


  ソナタ

  ドワーフ 10名



 街を潰して、さらに死体を手に入れたら、さらに増えるだろう。

 だが、こっちが動くのは人間側が拠点を見付けて攻めてきてからだ。

 それまでは、別件で動いて強化に図りたいと思う。




『……これで、大体の戦力は揃ったかな?』

(ああ。まだ部隊が少ないが、それぞれは一つの街を潰せるだけの戦力はあるだろうな)

『……次のステージに進める?』

(そうだな。人間側はすぐに俺達の拠点を見付けるとは思えないな。まだ時間がかかるなら、先に魔王達を潰していくか)

『……うん、ミディ以外はね』

(ミディだけはまだ実力の差が大きすぎる。だから、先に会ったことがある魔王を潰しておこう。場所は特定しているな?)

『……うん、お兄ぃの身体の一部を使ってあの三人に付いて行った。三ヶ月前から知っていたけど、今は準備が先だったから仕方がないよね……?』

(上出来だ)


 まだ人間もこっちの拠点を見付けていないのだから、先に魔王を潰して、ゼロ本人の強化を進めていく予定だ。

 ゼロの『絶喰王バアル』を使って、魔王の力を喰っていき、さらに『魔王の証』も手に入れる。

 それを何回か続けて行けば、ミディの実力に追い付くだろう。


 さらに天使や悪魔王とも敵対したいが、天界や魔界の行き方がわからないので、襲ってくるのを待つしかないのだ。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 ここは魔王の間。

 側近、隊長、副隊長等の幹部クラスが魔王ゼロを前にして、集まっている。

 レイだけはゼロの膝に座っているが、皆は何も言わない。いつものことだからだ。






「ようやく、戦力も整えられるとこまで来たな」

「……次のステップに進む時が来た」


 次のステップ。つまり、これから動くと言うことだ。




「人間側に宣戦布告してから、三ヶ月。まだ向こうはこっちの拠点を見付けられていないようだ。そうだな? マリア」

「はい! マリアがまだ人間の時に、街へ行って情報を集めましたが、それぞれの国が兵士、冒険者などが依頼を請けて探索に出られていましたが、結果は良くはなかったです」

「そうだな。入口は幻覚で隠しているからそう簡単に見付けられないだろうな。とりあえず、人間側はこっちの拠点が見付かるまでは放置しておく。今回、幹部らだけを集めたのは別件を進めたいからだ」

「別件ですか……?」


 魔王を襲うと決めたのを知っているのはゼロとレイだけだから、その反応を見せるのは仕方がないだろう。

 ゼロはレイを降ろして、王座から立ち、宣言する。






「まずは、魔王ガロン・ゴイダラを討つぞ」






 次の目標は、百獣族である魔王ガロン・ゴイダラに決まったのだった…………







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