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第九十九話 決着


 ベルフェゴールを取り込み、姿が変わったレイ。新しい身体になったため、さっきまでのダメージは消失している。

 しかも、魔素量もさっきより跳ね上がっており、強くなっているのがわかる。




「き、貴様は何者なんだよ!? 悪魔を召喚したと思ったら、心臓になっても生きているし、最後に悪魔を乗っ取るなんて、普通じゃねぇだろ!!」

「……怖いの?」

「私が? ……っ、あ、ありえん!!」


 声に恐怖も少しだけ混じっているのがわかった。おそらく、レイの持つ魔素量が上がったのもあるが、ほとんどは未知についての恐怖だろう。

 元は人間だったこともあり、感情はあまり人間と変わってないから恐怖を浮かべることもある。

 ガンスロットにとっての常識をぶっ壊されたような気分で、ありえないと思っていたことが目の前で起こったのだからだ。




「……お喋りは終わりよ。新たな力を見せてあげる……」


 レイは新たに手に入れた能力を解放する。

 王者能力『禁咒王グリモア』とは違う、第二の王者能力を…………






「……私の力を顕現せよ、王者能力『断罪王エンマ』!」




 レイは新たな王者能力、『断罪王エンマ』が発動する。

 ガンスロットはそのまま発動させるつもりは無く、また”七星終斬エンドレス”で攻撃してきた。

 相手のと距離、中間を無くす能力、『武蓮王マナエスト』がレイに牙が向く。




「……無駄」


 ガンスロットは技を発動したのに、レイには何も起こらなかった。




「な、何故だ!?」


 普通なら、さっきみたいに急所を切り裂かれ、最後に首が落ちるはずだった。だが、レイに何も傷が付いてなかった。

 いや、何も起こらなかったが正しいだろう。




 レイには何も起こらなかったが…………




「……ふふっ、剣を見たら?」

「っ!? な、ななな、何故だ!? 刀身がないんだ!?」


 レイに言われて、ようやく気付いたのだ。ガンスロットの持つ魔剣、『冥王剣グンニグル』の刀身がボロボロに崩れて根元から無くなっていたのだ。

 足元を見ると、ボロボロになっている刀身があり、ずっと共にしてきた魔剣がもう使えなくなっていた。




「き、貴様! 何をした!?」

「……本来なら教える必要はないけど、少しだけ教えてあげる。罰を与えただけなの……」








 罰。








 新たな王者能力『断罪王エンマ』の能力は、罰を与える能力である。

 今回の魔剣がボロボロになって根元から折れた理由は、魔剣がレイに害した罪があり、それによって『断罪王エンマ』が発動して、罰を与えられたのだ。

 そして…………






「あ、ァァァ! い、痛い!! か、身体がバラバラになる!? い、いたいいたいいたいァァァァァァァァ!!!」




 急に観戦席にいた、ガンスロットの仲間であるミテラが痛みに苦しみ、叫びながら倒れていた。




「……あら、貴方は運が良かったね」

「ミテラ!? 貴様がやったのか、何をしやがった!?」

「……ふふっ、貴方が悪いのよ? 私を切り裂いたもの。その罪がたまたまミテラに罰が向かっただけなの」

「罪だと……?」




 ミテラが痛む場所は、全ては人間の急所であった。その場所は、ガンスロットがレイに攻撃した場所でもある。

 つまり…………




 ガンスロットがレイに攻撃した罪がミテラに背負わせることになってしまったのだ。

 ちなみに、魔剣の罪とガンスロットの罪は別のことなので、二つの罰が与えられているのだ。


 これだけで、レイの王者能力『断罪王エンマ』の能力の内容が大体わかったと思う。






 レイ本人やレイの物、技に与えられたダメージ、異常に応じて、対象に罰を与えることが出来る。

 だが、与える対象は罪を犯した者だけではなく、レイが認識している敵にも含まれるため、与える対象や罰の内容はランダムになってしまうのだ。


 レイが認識した敵は、ガンスロットとミテラと魔剣である。

 魔剣はもし壊れたら面白くなりそうだから一応、敵と認識しておいたのだ。

 その結果、魔剣は”天涯隕石メテオ”を切り裂いたことから、罪と認識されて、腐敗という罰が与えられたのだ。

 ミテラは運悪く、ランダムで対象に選ばれて、ガンスロットが受けるはずだったの罰を受けることになったのだ。ガンスロットがレイに対してやったことが反映される罰のようだ。

 ミテラの身体には切り傷が生まれ、人間である急所であるとこから血が流れていく。ミテラは人間であり、強化されているといえ…………




「たす……け………て…………」


 ガンスロットにだけではなく、観戦席にいる者にも助けを求めるミテラだが、最後の首を狙ったガンスロットの攻撃であった斬撃跡が刻まれ、死んだ…………






「ミテラぁぁぁぁぁ!!」






 観戦席から離れていて、隙を見せるとレイに命を絶たれてしまうため、助けに行けなかったガンスロットは叫ぶしか出来なかった。

 ガンスロットの仲間を巻き込んだレイは…………






「……煩い。ザコはもう死んだよ。死体に叫んでも意味がないのに、何を叫んでいるの?」




 鬼畜のような扱いだった。敵といえ、もう降参して戦線から離脱していたのだから、狙う必要はなかったのだ。

 だが、『断罪王エンマ』はランダムで決まってしまうから、仕方がないと言えるが…………

 ガンスロットはそれで納得できるはずもなく、使えなくなった魔剣を捨てて腰にあった短剣を抜いてレイに突っ込む。






「許さない!!」

「……許されなくてもいいよ。どうせ、貴方もすぐに死ぬし。”罪裁鎌サマエル”」


 レイはそのまま切り裂かれるのを待たずに、レイの武器、”罪裁鎌サマエル”を作り出して構える。

 ただ裁くために作られたような大きな鎌がレイの手に顕現された。その鎌は真っ黒で、血が付いたとしてもわからないだろう。




「……罪を狩り取れ、”断罪斬エナメルテブレイク”!!」


 明らかに、理性を捨てて能力も使わずに突っ込んでくるだけの魔王。

 そんな相手に、命を狩り取るように、鎌を振るう。

 鎌は確実に頭に当たったが、すり抜けるだけだった。




 観戦席にいた者は攻撃失敗したのか? と思ったが、ガンスロットは当たった瞬間に止まっていた。




「……今までの罪を受けて死になさい……」

「が、がぁぁっ……」




 ガンスロットは穴と言う穴から血が流れていく。ガンスロットは血が流れているが、止まったままで震えているだけ。

 そして…………






 ボンッ!






 急にガンスロットの身体が爆発を起こしたように、バラバラに散らばった。




「……汚い。たった一週間で与えた傷が沢山あったとはね……」


 レイの攻撃、”断罪斬エナメルテブレイク”は一週間で、本人が敵に与えた傷が本人の身体に与える技だ。

 傷はガンスロットの記憶にあるのを与えるので、頭を狙わないと駄目だが、当たれば一撃必殺に近いダメージを与えることが可能だ。

 だが、相手が戦いをしない人だったら全く効果がない技になるので、使いどころを考える必要があるのだ。




 レイの新たな能力、王者能力『断罪王エンマ』はある意味、死体集合体のレイじゃなかったら使いにくい能力だが、ゼロのためになるのは嬉しいことだ。




 勝者であるレイはお兄ぃからの賞賛を楽しみに観戦席に戻って行くのだった…………







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