あらすじ
大学生の由香は、自分の記憶が所々抜け落ちている気がしていた。
一年ほど前の記憶を思い出そうとすると、切なさを伴った違和感を覚えるのである。
もやもやとした気持ちを抱えていたある日、ネットで『夢探し人』というサイトを見かける。そのサイトには、「忘れた記憶を復旧する」ということが書かれていた。由香は、そのサイトに書かれていた会社の番号へ電話する。
そして、その日から数日後、荷物が届く。
一方、『夢探し人』が所有する部屋で、サキチとピナが夢へ潜入する準備を始めていた。彼らはその会社でアルバイトをしており、記憶を復旧する仕事をしている。特殊なヘッドフォンと音楽で依頼人の夢の中へ潜入し、記憶の欠片を集めるのである。
由香の夢へと潜入した二人は、謎解きをしながら由香の記憶を探っていく。
その探索の最中、二人は彼女の記憶に何か悲しいものがあることを感じる。
記憶の欠片が入っている箱を開けると、記憶の断片と共に由香の悲しみの感情が流れ込んでくるのである。感受性の強いピナが探索の途中で倒れてしまう。さらに記憶の部屋が崩壊し、ピナとサキチは分離されてしまう。
目を覚ましたピナは、由香の深層意識と出会い、彼女の記憶について話し合う。
一方サキチは、記憶を全て戻せば全て解決すると考え、奥へ進む。
そしてサキチが謎を明らかにしていく度に、由香はピナに悲しみの感情を吐露する。
由香の失った記憶とは、彼氏がいるときに好きになってしまった男、雄二の記憶である。彼氏とは、もうお互いが好きではなく、いつ別れてもいい存在だった。が、彼氏のプライドが高く、中々別れてくれない。そんな時に雄二が現れた。彼に惹かれた由香は、浮気のような真似はしたくないため、彼氏と別れて一ヶ月後もまだ雄二のことが好きなら告白しようと思っていた。そして、何とか彼氏と別れて一ヵ月後、雄二を呼び出した場所でまっていると、やってきた雄二が目の前で車にひかれ、死んでしまう。そのショックで雄二に関する記憶が、すっぽりと抜け落ちてしまったのである。
真相を知ったピナとサキチは合流し、目が覚める間際、由香に向かって「その記憶は大切なものだ、忘れるな」ということを言う。
由香が目を覚ますと、潜入されていたときの記憶は無いが、抜け落ちていた記憶がはっきりと戻っていた。悲しみが溢れたが、同時に、その記憶が戻ってきた喜びを感じていた。