表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/54

45.青天霹靂





──策が、薪生村に来てから2週間が過ぎた頃。事件は起こった。





「大変だ!少年が!赤髪の少年が!だ、誰か!」




一人の村人が見つけたという、謎の赤髪の少年。しかも傷だらけだと言う。



「まさか」



策の脳裏に、ただ一人の少年が映し出される。

大切な親友の息子で、ついこの前再会したばかりの少年。

態度は大きいが、その胸の内に繊細な心を隠し持っている少年。

そう、虎雅である。



「ちょ、その少年はどこに!」

「ああ、黒さん!ちょうど今、楓葉様と楊ちゃんが見てくれてるよ!

村外れの、社の中だ!」

「わ、分かった!」



策は村人からそれを聞くと、脇目も振らずに一目散に駆け出した。





*




「虎雅!?」

「きゃっ、黒!?」

「んな…!や、やっぱり虎雅じゃねぇか!大丈夫なのか!?」



村外れの、古びて薄暗い社。

どこかかび臭い匂いが鼻腔をつく。


土足のままそこに飛び込んだ策は、楊の膝上で眠っている少年…虎雅に飛び掛かる。

勢いよく両肩を掴んで揺らしてみるも、彼は目を覚まさない。


動揺する策。


社の中にいた楊と楓葉は、顔を見合わせていた。



「ちょ、ちょっと。黒さん、虎雅って何?誰のこと?」

「誰って!コイツのことに決まってるだろ!」

「お、落ち着いて。黒」



興奮と心配から口調が荒々しくなってしまう。

肩で息をする策に、楓葉は小さく溜め息をつく。



「黒史策様。どうか落ち着いてくださいませ」

「……は?」

「露華国の三大貴族である、黒史家当主の黒史策様。あなたに言っているのです」



楓葉は、その青い瞳を真っ直ぐに策へと向けた。

策は驚きから、その場に尻もちをつく。



「ど、どういうことだ。は、は?」

「……その反応は、やっぱり間違いでは無さそうですね」

「は?お、お前は一体何なんだ?」



尻もちをついたまま、ズルズルと後ろに後ずさる策。

そのうちに、壁に背中がトンっと当たる。



「…私も虎雅くんのことは知っています。黄史家の次男、のね」

「お、お前!」

「ちょうど3週間と少し前に、直属の部下からさまざまな報告を受けていまして。色々と聞いているのですよ」

「だ、だから何のことだ?」



策の顔が徐々に青ざめる。

楊も、楓葉の突然の変わりように目を丸くしていた。



「…路川街で何があったんですか。私がいない間に。教えてください。

貴方が突然、こんな所に現れたことと関係あるんじゃないですか。

師匠…墨が絡んでいるのならば尚更。

もうこれ以上、黙って様子を見ていることはできません」



楓葉は、楊の膝から虎雅を抱え上げる。

そして社の外へと足を向けた。



「私の家に来てください。話していただきます」

「…っ!」



楓葉の大きな瞳は、酷く細められていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ