異変
「なんだこれ」
そんな言葉を口にしてしまった。
「どうしたんだ?頭に能力の情報が入ってきた筈だろ?」
そのはずなのだが
「なぁ、トスさん入ってきた情報に黒いもやようなものがかかって情報が分からないんだが」
「なに?」
トスさんは俺の言葉に疑問符を浮かべたように首を傾げた。
「そんな筈はないぞ!俺がやった時は大まかな能力の効果がわかったんだが………しょうがない、今日は剣術の練習にしよう」
とんでもなく楽しみにしていたんだが仕方がない。そうして俺はトスさんに剣術を習い始めた。
その夜
「死ぬかと思ったぁぁ」
そんな嘆きをトスさんに借りている部屋のベットの上でつぶやく。トスさんはとんでもなくスパルタだった。トスさんよ、隠キャが唐突に筋トレや打ち込みしまくったら死ぬに決まってんでしょうが!
「まぁ、それも最強への道のりか……」
しかし何故俺には能力の情報が入らないのか。そんな事を考えていた時ふと思いついた。そうだ、俺の厨二病生活で溜め込んだ知識を使って能力を特定しよう!
「そうと決めたら今日から始めよう!」
そうして俺は部屋でこっそり修行を始めた。
「よし、まずは何をしよう?」
ありきたりな所から攻めていくとしよう。そうして俺は念じながら様々な事を試してみた。例えばいろんな属性をイメージしたり、色んなアニメでみた能力を使おうとしてみたり。とにかく色んな方法を試した。
そうして数日後
「ぜんっぜん能力開花しねぇぇ!」
そんな事を叫びながらトスさん監視の元今日も筋トレを続ける。
そんな叫びを聞いたトスさんが喋り出した。
「お前、能力は一旦諦めるんじゃなかったのか?」
呆れたを含んだ目でトスさんは俺を見てきた。
「だって能力とか聞いたらどうしても使いたくなるだろぉぉ!」
すぐさま俺は言葉を、発したことを後悔した。
「ぐへぇ!」
言葉を発したことにより腕立て伏せをしていた俺の身体に緩みが生まれ地面へうつ伏せに倒れ込んでしまった。
「おいおい、大丈夫か?まだ100回だぞ?」
充分死ねるわ!
「ダイジョブデス」
片言になりながらも俺は返答する。
「そういえば、一つ面白い文献を見つけたんだ」
文献?そんな物を読んでいたのかトスさん
「能力開花は基本的に10歳になれば無条件で使うことが出来るようになるが、稀に条件を必要とする能力開花があるらしい」
その話を聞いて俺は驚きを隠せない顔で
「まじかよ………」
俺の数日間が一瞬にして無意味になった瞬間だった。最近の筋トレや修行の疲れもあり俺は
「そういう、事は、早く、言えよ、、」
と言いながら少しの間気を失った。




