この世界について
仲間になったその男が最初に案内してくれたのはよくあるファンタジー世界の鍛冶屋だった。
「ここは?」
そう聞くと。
「俺の家だ!」
こいつ、鍛冶屋なのか
「さぁ、入れ!」
テンション高けぇな。
家の中は意外と広かった。二つの建物が繋がっている構造で左側には工房が広がっていた。誰もいないのを見ると独身なのか。
「そうえば名前を聞いていなかったな、俺の名前は星月黎」
そう言うと男は
「俺の名前はトス、トスさんと読んでくれ」
トスさんか、苗字はなんなんだろうか。そんな事を考えていると。
「じゃあまずはこの世界について教えてやる」
そう言いトスさんが近くの椅子に座って話始めた。
「まず世界は悪魔、天使、人の3種族が存在しているんだ。」
悪魔に天使だと?厨二病には心踊るワードだな。
「基本的にはこの3種族は常に争っている、天使と悪魔は力が拮抗しているが我々人族はどちらにも力が劣っている。」
やはり人というのは異種族には勝てないのか。
「だが、人族だって黙ってやられている訳じゃないだろう?」
流石に人族にだって対抗する力はあるはずだ。
「あぁ、人族には特に発展している都市があり帝国というんだが、その帝国の近衛騎士団には階級があってその階級のトップである神将級の方々は天使族や悪魔族のトップとも戦えるぐらい強いらしい」
神将か、カッケェな称号!
「なるほど、最強を目指すならいつかは倒さないといけない相手だな」
「まぁ今のお前じゃあ千回戦っても瞬殺されるだろうがな!」
うっせぇやい。さて、次は何を聞こうか?
「そうえば、なんでこの村にはこんなに人がいないんだ?」
気になっていた事を聞いてみた。
「それは、、、」
途端にあんなにテンションの高いトスさんが暗くなり始めた?どうしたんだろうか。
「すまない、聞いてはいけない事だったか」
俺は慌てて謝った。すぐに分かったイジメられていたからこそわかる、これは隠し事のある人間の様子だ。
「、、いや、お前には教えよう。数ヵ月前にこの村に起きた悲劇を、、」
そうしてトスさんが語り出した話は俺の想像する何倍も深刻な話だった。




