白について
「昔、戦劇国アレナはアルディア王国と言う名前でした。」
「元々?」
妙な言い方だと思った。
「はい、アルディア王国は元々帝国の支配下にはありませんでした。しかし、6年前アバドン帝国の兵士が突如アルディア王国に侵略して来ました。」
「なんの前触れもなく?」
俺がそう聞くと。
「はい、私たちがいつものように暮らしていたら突如として城門から帝国の兵士が入って来たんです。そして先頭に立っていた金ピカの装備をした兵士がこう宣言したんです。」
『たった今からこの国は俺たち近衛騎士団が統治する!』
「もちろん国民は大反対しました。横暴で勝手すぎると。しかし、それを言った人達は次の瞬間に捕えられて、、拷問を受け見せしめに磔にされました。」
相当な光景だったのだろう。白は小刻みに体を震わせている。
「無理に話さなくてもいい、明日しっかりと休んでからでもいいぞ?」
「いや、、でも……」
「安心しとけ、俺が見張っといてやるよ。」
俺はそう言った直後白は張り詰めていた緊張の糸が切れたのか座っていた簡易テントの中に倒れたように眠りについてしまった。
(こいつ、相当限界だったっぽいな)
とりあえず今、白について分かったことは
1・訳は知らないがアレナから逃亡して来た
2・獣人である
3・妙に大人っぽい
くらいか?
うーむ何も分からんな。しかし話した感じ最初は警戒していたが少しは解けた気がする。
ていうか、金ピカの装備っていうのはおそらくトスさんの村を崩壊させた奴だよな。まさか国一つ覆せる力があるとは。
(伊達に騎士団の頭はってるだけはあるな)
俺は小さな寝息を立てて寝ている白の方を見る。
(にしてもこいつよく見るとスゲェ顔整ってんな)
俗にいうケモミミ系美少女というやつだ。元の世界だったら絶対モテまくってたぜ。
(俺が女が苦手じゃなかったら多分襲われてたぜ?コイツ)
そう思いながら俺はある事に気づいた。
「結局寝れねぇな俺?」
翌日早朝
「あ、、あのおはようございます。」
俺がトスさん直伝の筋トレをしていると白が起きてきた。
「よう、おはよう朝食は干し肉だからな。」
俺がそう言うと。白は何やらもじもじしていた。
「あの、何で私にそんな優しくしてくれるんですか?」
突然の質問に面喰らってしまった。
「そんなの当たり前だろ。」
そう言いながら俺は白の頭を撫でながら。
「困ってそうな奴を助けるのに理由がいるか?」
まぁやらない善よりやる偽善だからな。
「それに俺が目指す最強は困っている人を見捨てないという事でもある。」
それを聞いた白は何故か泣き出してしまった。
「え!?あっ、すまん!急に撫でたりしたら嫌だったよな!」
俺はすぐに手を離す。急に最強言われたり頭撫でられたらそりゃ困惑するか。そう俺が思うと白が喋りだす。
「そう、じゃなくっ、て……こんなにも優しくされたの久しぶりっ、で。」
その言葉を聞いて俺は白が抱えている秘密がどれだけ大きくそして恐ろしいものかを理解した。
(こんな小さい子が優しくされただけで泣き出すなんて相当酷い過去なんだろう)
「なぁ白、辛いと思うがお前に何があったか教えてくれないか?」
白をなだめながら俺は聞く。白はまだ泣き止んでいない赤い顔をコクッ、と頷かせた。
「アレナが元々アルディア王国と呼ばれていたということは話しましたよね?」
「あぁ。」
「私、、アルディア王国の王女だったんです。」
その発言に俺は目を丸くした。まさか王女だったとはにわかには信じられないが。
「それで、昨日言っていた助けてというのはどういう意味なんだ?」
「それは、、昨日の続きになります。」
白は決意したのか力強く話し始める。
「私はその日、お父様と一緒に街を歩いていました。その金ピカの兵士が数十人を拷問した時お父様はすぐさまその兵士の前に飛び出て『俺の国の財産も地位も名誉を全て捧げるからどうか国民にだけは手を出さないでくれと』それを聞いたその兵士はニヤニヤしながらその条件を了承して王となった奴はお父様やお母様を牢に閉じ込め独裁を始めました。」
俺はそこで一つ疑問を抱いた。
「それでその時白も牢に入れられたか?」
白は首を振り。
「いえ、奴は私が獣人ということで大層気に入ったようで私の事を妻にしようとしてきたんです。」
まじかよそいつロリコン&ケモナーなのかキッショいな。
「私は当然断りましたしかし結婚しないのなら両親がどうなるか分からないと脅され従うしかありませんでした。その後は酷い生活でした好きでもない人と結婚させられた挙句人々は奴隷のように働かせられて国民は私の事を媚を売った女として軽蔑し街を歩けば殴る蹴るの暴行を働きましたしかもあの男はコロシアムを作り国民をそこで無理矢理戦わせました負けたら家族を皆殺しにすると脅して。」
話には聞いていたが完全な屑だな。
「私はそんな国が嫌になって監視の目を盗み逃げ出して来ました。」
正しい判断だと思う。そのままその国に居続けたら精神が危なかっただろう。
「私、、お父様達を見捨てて……」
あー、前言撤回から逃げても自責の念に駆られるやつだ。
「よし分かった、俺がその国を壊してやる。」
「えっ?」
白は驚いたように俺を見上げる。
「だからもう自分を責めるなお前はよく頑張った。」
また俺は白の頭を撫でる。
白はまた泣き出してしまった。
また一つ、その神将をぶっ飛ばす理由が増えたぜ。
今回はネタが湧き上がって来てかなり長文になりました!




