覚悟とは
「ふぅ、、」
早朝、日の出の時間、俺とトスさんはお互いの武器を腰に差しいつもの平野に来ていた。
「覚悟は出来たか?」
いつも通り微笑みを浮かべながらトスさんは俺にそう問う。
「今から斬り合いをするっていうんだから早々覚悟なんて決まらねぇよ」
俺はありのままの事を話した。そう、何と今から俺はトスさんと本気の斬り合いをするのだ。
本気の斬り合い。それがトスさんからの試練だった。
「いいか、ルールは一つ、相手を屈服させたら勝ちだ方法はなんでもいい、とにかく俺を死ぬ気で降参させろ、さもなくば、、」
そう言いながらトスさんは腰の剣を鞘からおもむろに引き抜き構えると。
「お前は無事には帰れなくなる」
そう言うとトスさんの顔が本気になった。
「っ、」
流石は俺の師匠だった、この世界に来た頃の俺だったら確実にびびって縮こまってたぜ。正直今でも覚悟が決まらない手が震える、、あれ?だって相手も本物の剣、切られたら?
(っ!)
それを考えた瞬間考えないで押さえ込んでいた恐怖が一気に込み上げてきた。
「はぁはぁはぁ、、」
くそ、やっぱり無理だ、俺なんかに人を切る覚悟なんて!
「覚悟を決めろ!!小僧ッ!」
その一言で俺ははっとした。見上げると鬼の形相をしたトスさんが俺に剣を突きつけていた。
「てめぇの語る最強ってのはそんなもんか?あぁん?俺の復讐も成し遂げんだろうがよ!俺はそんな弱い男に仇を頼むつもりはねぇ!いいか?理想はなぁ覚悟を決めたその瞬間から目的になんだよ!」
その言葉で俺はハッと目が覚めたような感覚に陥った。そして。
「すぅーーーはぁーーーー」
そう深呼吸し抜刀した。
「覚悟は決まったか?」
そういつもの顔で問いかけてきたトスさんに対して俺は、
「お陰様でな」
そう返すのだった。




