試練
そうして俺がこの世界に来てから一年がたった。
最初は一体倒すのにも苦労したアンデットを今では三体を同時に相手しても瞬殺出来るくらいには強くなった。
「はぁ、今日もよく狩った」
そう言いながら家に帰るといつになく真剣なトスさんが待っていた。
「どうしたんだ、トスさんそんな真剣な面して」
そう言い、俺が家に入ると。
「明日、お前に試練を与える、それを突破すればお前は晴れて俺を超えたと認めよう」
唐突の事に驚いたがそろそろだと思っていた。俺もいつまでもここに留まっているわけにはいかない。
「分かった」
そう短く返事をして今日は直ぐに部屋へと戻った。
「さて、どう突破するかな」
トスさんは試練なんて言ってたがどうせトスさんと戦うことなんだろう。俺がこの一年で変わったことが二つある。一つは武器。これはアンデット達との戦闘を始めて一ヶ月が経った頃家に帰ると。
「黎、お前に武器を作ったんだ!」
「武器?」
あぁ、そういえばこの人鍛冶屋だったっけ。仕事をしている姿をほぼ見ていないので忘れていた。
「俺の能力、真温でお前が最も輝く武器を作って見たんだ」
この人の能力人にも適応できんのかよ。そうして差し出された武器を見て俺は目を疑った。差し出されたのは日本刀にそっくりの武器だった。こっちの世界では西洋刀の様な武器しか見た事がなく刀を見る事はなかったのだ
「驚いたぜ、お前に合う武器を作ろうと能力を使ったら見た事のない武器が出来たんだ」
「そりゃ見た事がないだろう、それは俺の元いた世界の武器だ!」
何の運命だろうか厨二病を拗らせて毎日剣術を覚えていた俺が刀を持つとは。
「それでその武器な刃を見てくれ!」
トスさんが興奮気味に言うので刀を赤い下緒のついた黒い鞘から抜いてみると。
「わーお」
「どうだ!すごいだろう」
それはまるで血をそのまま閉じ込めた様な鮮やかな美しい真紅だった。
「ありがとうトスさん!」
そう言うとトスさんは腰に手を当てて。
「どうって事ねぇよ!」
と言うのだった。
これが俺の武器を貰った経緯だ。そうして俺の二つ目の変化それは。
「ヤッホー、とうとう決戦?」
そう言うと、ゴスロリの様な衣装を完璧に着こなしている銀髪のthe天使の様な女がベッドの上に座っていた
「チッ、、」
「そんなあからさまに嫌な顔しなくてもいいじゃん」
二つ目の変化それ、俺をこの世界に送って来た天使が月1ぐらいの頻度で話しに来るのだ。最初はびびった。しかし、、
「この世界で一番可愛い熾天使様が来たら天使は皆ひれ伏すくらい天界では尊い存在なのよ?」
「そういう所が嫌なんだが?」
全く本当に天使界最強なのか?こいつ。
「それにしても強くなったわね貴方……微生物からプランクトンくらいに強くなったわ」
それ、変わってなくね?
「冷やかしならさっさと帰んな」
俺は前世の事もありこいつみたいな自己肯定感MAXの女が苦手なのだ。にしても月1でくるとか暇なのか?こいつは。
「まぁ、頑張りなさいな」
そういうとベッドから立ち上がり窓から羽を羽ばたかせ高速で空へ行ってしまった。
「はいはい言われなくとも頑張りますよ」
そう俺は1人になった部屋で呟くのだった。




