成長
そうして次の日の夜
「さて、行くか」
そうしてトスさんに連れられてやって来たのはいつもの修行で使っている野原とは逆方向にある森の中だった。トスさんはいつもとは違い真剣を腰に携えながら森の中を進む。俺も真剣を貸して貰った。
「止まれ」
トスさんが静かに木の影に隠れるように指示した。
「あれがアンデットだ」
俺は木の影から顔を覗かせると。そこにいたのはザ、スケルトンと言われてそうな骸骨が三匹、剣をもって徘徊していた。
「うげ、なんじゃありゃ」
「ここはかつて悪魔の根城だったんだが、昔、村の討伐隊によって掃討されたんだ、そしてあのスケルトン達はその生き残りなんだ」
ほーん、そんな事があったのか。
話しているとスケルトンがこっちに気づいたようで、こちらに近づいて来た。
「アンデットを殺す方法は二つ」
そう言いながらトスさんは剣を構え始めた。
「一つはコイツらの頭を切り落とすか再起不能になるまで粉々にするか」
そう言いながらトスさんは近づいて来ていたスケルトンの内2体の頭を素早く切り落とした。
(やっぱ早ぇな)
そんな事を考えていると。俺の方にもスケルトンが近づいて来ていた。
「うおっと」
初めての戦闘にびびったがスケルトンの動きはトスさんに比べると遅かった。
(これなら!)
俺は勇気を出して一歩を踏み出し剣を鞘から抜き、スケルトンの首を狙って一文字に切った。しかし、スケルトンは持っていた剣でそれを防いだ。
「なに!」
仕留めれると思ったんだが、、そうやって俺がスケルトンと拮抗していると。
「遅いぞ!」
そんな事を言いながらトスさんは俺と戦っていたスケルトンの首を刎ね飛ばした。
「うわっと」
急に対抗する力がなくなった事により俺は体制を崩しかけた。そんな俺を見てトスさんは話し始めた。
「スケルトン一体に手を焼きすぎだぞ!」
おっしゃる通りである。
(情けねぇ)
「だが、勇気を出して一撃与えようとしたその心意気は良かったぞ」
「おう、、ありがとうございます……」
(褒められるのはなれねぇ)
俺が目を逸らすと
「ん?」
スケルトン達の体と頭が崩壊してある事に気づいた。
(こんな風に死ぬのか)
俺は無意識に手を合わせて祈っていた。
(せめて来世は人として産まれろよ)
そうして俺が祈っていると
「何してるんだ?」
トスさんが不思議そうに俺の行動を観察していた。
「俺の元々いた世界の風習でな、死んだものは皆平等という考えがあるんだ。だからコイツらも襲って来たとはいえ、弔われる権利はあると思うんだ」
そう俺が説明するとトスさんは首を傾げながらも俺と同じように手を合わせ始めた。




