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嘘つき二人の温泉旅行

作者: 衣谷強

『第5回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』参加作品です。


何だか最近幼馴染ラブコメばかり書いている気がします。

人は自らにないものを求めるものですからね。

……これは、涙……? 泣いているの、私……?


どうぞお楽しみください。

「さ、温泉旅行に連れて来てあげたお礼に、存分に私にご奉仕しなさい?」

(ひああああ! とうとうこの時が来た! ありがとう商店街の福引! 温泉入って清潔感ヨシ! お布団ヨシ! ばっちこい!)


「ったく、こっちは曲がりなりにもプロなんだぜ? 今回は知り合い特典で特別だからな」

(うおおおお! 整体師になって本当に良かった! 法に触れず好きな人の身体に触れる大チャンス!)


「まずは肩ね。ほんと凝っちゃって」

(浴衣を緩めに着たから、これなら首周りをほぐす時は直よね! 肌に直よね!)


「はぁ、何かおばさんくせぇなぁ。ま、宿代分くらいは働くさ」

(これでうなじとかに触れても合法合法! くぅ! 生まれて来て良かった!)


「あー、そこそこ。そこら辺凝ってるのよ。もっと強めにおねがーい」

(あああぁぁぁ! 指が触れてるって感じるだけで! だめぇ! 全身がほぐれちゃうううぅぅぅ!)


「うっわー、かってぇ。ITブラックのおっさんみてぇ」

(柔らけえええぇぇぇ! いや確かに凝ってはいる! 凝ってはいるけど表面の肌の滑らかさと柔らかさ! これ枕で再現できる技術者とかいないかな……?)


「ふぅ、腐っても本職ね。まぁまぁだったわ」

(終わっちゃった……! 肩、すっかりほぐされちゃった……! いえ、まだよ! 今日はお泊まりなんだから!)


「これに懲りたらもうちょっと身体を労われよ」

(体感五秒! 早ーい! 早いよ! 早すぎるよ至福の時間!)


「ちょっと。これで終わりとか思ってんの? 次は足よ、足」

(だ、大胆すぎるかな!? で、でも足は実際張ってるし……!)


「うえぇ……? 面倒くせぇなぁ……」

(足!? な、何かの罪に問われないか……? いや、問われてもいい! 来いよ警察! 令状なんか捨ててかかって来い!)



「あー、効く効く。足って疲れ溜まるのよねー」

(うううぅぅぅ! 気持ち良い! 温泉で血行は結構良くなったと思ってたのに……!)


「こっちもやべぇな。日頃からもうちょい運動しろよ」

(太もも! ふくらはぎ! 足裏! 欲張り三点セット箱で買わせてください!)


「あぁー、満たされたー」

(うぅ、ずっとやってほしかった……。どうして『三十分』だけなのよォオオオ〜〜ッ!)


「やっと終わった。んじゃ寝るか」

(終わつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる……)


「はいお疲れさん。おやすみ」

(でもマッサージしてもらえたんだから良しとしよう!)


「もうただじゃやらねぇからな。おやすみ」

(まぁマッサージできたんだから良しとしよう!)

読了ありがとうございます。


ちなみに福引は二人をよく知る商店街の方々の仕込みでした。

双方の両親の許可の上で「ここまですれば一線を超えるだろう」と仕込みましたが、マッサージだけで満足した二人にがっくりと膝を折りました。

罪なお人やでぇ……。


次回はのお題は『パスワード』。

どうぞよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後仲良し!!思わず笑ってしまいました!! 終わるのが寂しそうなのかわいいですね! 結構大胆なのにお互い気づかず面白いです! 商店街の方々にはバレバレな外堀の埋まり方と、本人たちのピュアさ…
[良い点] 心の声と口に出してる声が、うっかりひっくり返ったらあっという間にくっつきそうなような、勘違いしないでよねっ!とツンデレになってしまいそうなような、絶妙ないちゃいちゃ具合が美味しかったです。…
[良い点] 素晴らしすぎて涙が……いえ、ため息がでました。 どうして私にも幼馴染みがいないの……?
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