浦島太郎
オープニング画面。
(ちゃーん ちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃらららーん )
はい先生どうも~ 村人Aです。
どうも。村人Bです。
始まりました。この副音声、本編を見ながら僕たちが声をつけていくって企画ですが、今回は大物ゲストをお呼びしています…………浦島……太郎さんです!!
はいどうも。こんにちは。浦島です。
浦島さん、ずいぶんご活躍のようで、最近では例のスマホのCMなんかにも出てらっしゃる。
ええまあ、といってもあのCM、登場人物も多いですし、どっちかというと特撮の仕事の方が楽しかったですねえ。
ああ、あの未来から来た設定の?
そうそう。もうずいぶん前になりますけどね。アレは楽しかった。戦ったりなんかしちゃったりして。
……といってるうちに、シーンは例の浜辺ですねえ。ここから子供たちの声が聞こえてくるってわけですね。
そうそう。でもコレね。当時の装備で、砂浜で釣りってのは不自然だって指摘もあるんですよ。
ああなるほど。リールもないのにどうやってって話ですか。
砂浜歩いてたからってそこで釣ってたとは限らないのに、うるさい奴もいるんですよね。
あ、もうカメ助けましたね。
端折られてる本もありますけど、この時ボク、全財産渡してますからね、子供らに。
え⁉ 全財産ですか?
そうですよ。何しろ不漁続きでしたから。あの日は磯に行ってタコとカメノテ採って晩飯にしたんです。
タコなら豪勢じゃないですか。カメノテも美味いらしいですね。
いやいや、磯で捕れるタコなんて小さいんですよ。
最近はなんかタコ増えてるみたいですけど、あんま増えすぎるとカニとか貝、みんな食っちゃうんで――
あ、話し中すみません。場面変わりまして、別の日ですね。この日は何か新しい漁具を?
ええ。もう釣りじゃあ埒が明かないってんで、地引き網をね。それならこの砂浜だろってんでやって来たわけです。
砂浜で地引き網、いいですなあ。
そんないいもんじゃないですよ。重いし。そもそも一人でやるもんじゃないんですけど、ボク、舟持ってないでしょ? 仕方なく。
で、ここでカメの再登場、となるわけですが……これ、いきなりアップのシーンに切り替わってますけど、実は網に引っかかったって噂は本当なんですか?
あっはっは。そうそう。このカメ間抜けなのよ。べつに僕にお礼に来たわけじゃないんですわ。引っかかったんでコイツも仕方なく。
ウミガメが浜に来るってことは、産卵に来てるんでしょ? アレって大体夜ですよね?
なんで真昼間から浜に近づくんですかねえ。
いやコイツオスなんです。産卵が終わったメスのカメ、ナンパしに来てたらしいっすよ。ウミガメの中でも特殊な性癖らしくて。
特殊な性癖(爆笑)
その話聞いたら、なんかイラっと来て、前助けてやった礼はないのかって詰め寄ったら、じゃあ、竜宮城へってことになったんですわ。
うわこれ、ひどいな。カメに乗るってより、なんつーか、マリンジェット? 水中スクーター的な?
そうそれ。めちゃめちゃパワーあって、速いのはいいけど、息は出来ないし。
息止めてたんですか? そんなすぐ岸近くに竜宮城ある?
いや、何度か浮上しましたよ。ていうか、竜宮城っていっても沖合にある島で、別に海底にあるわけじゃない。あれ、脚色ですよ。
なんだ。まあ、それはそうですよね。
おおっと、コレが竜宮城。すごい城じゃないすか。柱なんか真っ赤。
赤いですよねえ。当時はペンキなんかないはずなのに。
ペンキ(笑)
でも、豪勢なのは事実で、ここも金箔とか使っちゃってます。
え⁉ トイレに?
豪勢っていうか、無駄ですな。
で、これが乙姫様。
乙姫(笑)
子供じゃないすか(笑)
そうなの。これならタイの方がマシ。
たしかに。タイはえらい色気ありますな。
服の色がまた。ちょうどいいピンクですしね。
ちょうどいいピンク。たしかに。
でも、実は人妻なんすよねえ。この人。
いやいや。私なんかは人妻でも……
いやあんた、それダメでしょ人として。
え、これ人じゃないんでしょ?
人ですって一応。タイを司る精霊って設定で、ベースは人。
そうですかあ。人かあ。人で良かったような良くないような……
これ、ヒラメちゃんもいいですな。眼鏡かけてたら百点。
Aさん、地味っ子フェチですか(笑)
え? 知りませんでした?
で、もうここから帰る話。
そうそう。意外と短いでしょ? いた期間。
酒池肉林ってイメージありましたけど、ほぼ乙姫と遊んでただけじゃないですか。
そうなの。子供あやしてただけなの。
それでもう帰れって、ひどくないです?
いや、帰れとは言われてないんす。むしろ、乙姫さんはずっといろと。
じゃ、なんで帰ったんです?
空気ってあるでしょ。もういい加減に帰らないのか。みたいな。
ああ。上司んちに深夜押し掛けた時の?
そうそう。連れ込んだ上司はいいけど、その奥さんの目が笑ってないっていう。
わかる。
わかりすぎますな。
乙姫が懐きすぎて、どんどん距離が近くなって。
ああ、たしかにお膝に乗ってきたりしてましたもんね。
どんどん父親の竜王の顔が険しくなってきて。
たしかに目が笑ってない。
怖すぎ。
で、帰るってなったらこのお土産ですよ。
出ました玉手箱。お土産だってのに開けるなとか(笑)
あり得ないですね。
でも、子供のいうことだから、まあしゃあないかと。
もう浜に着きましたね。
帰りは早かったですね。あのカメも、竜王になんか言われてましたから。
でも、びっくりなさったでしょ。帰ったら何百年も経ってたって言われても。
いやいや、あれも脚色。べつに時間経ってなかったんです。
ハァ? どういうこと?
あのカメ、バカだから似た感じの違う浜に来ちゃったんですよ。
違う浜⁉ それじゃ、知った人いなくて当たり前じゃないですか。
しかも、偶然ずっと前に行方不明になった同姓同名の人がいて。
なるほど。それで、浦島さんもそう思っちゃったわけですか。
そうなの。で、どうしようもなくて玉手箱開けたら、煙が出てきて。
白髪のお爺さんってわけですか。
これが、やっぱり乙姫のイタズラで、困ったらすぐ帰ってくるだろうと思ったらしいんですよね。
たしかにそもそも、何百年も経ってたんなら、白髪じゃ済まない。
死んで白骨化したって書いてる本もありますけどね。
実のところはどうなんです?
べつに。肉体的に年取ったわけじゃないんで、そのまま暮らしましたよ。
てことは、帰んなかったんですか? 竜宮城。
帰れませんって。あんな父親がいるとこ(笑)
たしかに(笑)
では、そろそろ本編も終わりってことで。ゲストは浦島太郎さんでした。
ありがとうございました。