ロザンサ1
雪のような肌の顔を青く染めたメイは、
「ジョ、ジョン! あ、ありがとう。とっても助かったわ!」
と言い、家へと駆けていく。
扉が閉まる刹那、メイはギリギリ扉を抑えた。
「あ、あら~、ロザンサ。お目覚めはいかが?」
にっこりと笑ってロザンサは言う。
「最悪さ。アンタのお陰でね」
「そ、そう……あ、お腹が空いたでしょう? 何か作るわよ」
「結構だよ。アンタはここから出て行っても構わないんだから」
「またまた、そういう意地悪を言うんだから。いい加減、私がいないと困る~とか、寂しい~とか、思ってくれてもいいんじゃないかしら?」
「あらあら、何て子に育っちまったんだい。そう思っているのは、アンタだけだろう?」
うううう……とメイは悔しさを滲ませる。
「ごめんなさい。謝ります。入れて下さい」
「よろしい。お上がり」
スッと扉は開き、メイはジョンの持ってきた食料を抱えて奥へと入る。
すると、不思議なことが起きていた。
ロザンサの体は、まだベッドの中だった。
メイは首を傾げて料理を作り始める。
「ロザンサ、何が食べたいの?」
返事はない。
「ねぇ、ロザンサ?」
返事はない。
「ロザンサってば! 起きているんでしょう?」
メイが振り返ると、ロザンサがパチリと目を開いた。
「アンタ、誰だい?」