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魔女3

 絶望を浮かべた幼女の瞳が、ロザンサを嘆かわしく見つめる。その視線にロザンサは見向きもせず、ポツリポツリと言葉をこぼす。


「私もね、アンタみたいに先代の魔女に申し出て魔女になったのさ。けどね、先代が亡くなったとき、後悔したんだ。私が弟子になったせいで、先代はしなくてもいい苦労ばかりしたんだと気づいてね」


 静まり返った空気に、破裂音がひとつ大きく響いた。

 ロザンサが手を叩いたのだ。


「ほら、わかったかい。私は余計な苦労はしたくないんだよ」


 幼女は両手でグズグズと涙を拭う。

 ロザンサに言われるがまま扉へと向かう──かと、思われた。だが、あと一歩のところで幼女は振り返った。


「わかりました、魔女ロザンサ」


 ロザンサは目を丸くする。


「弟子は諦めました。ですが、ここに置いて下さい。私、あなたのお世話をします」

「失礼な子だね。見ての通り、私はそこまで年じゃないよ」


 幼女はにっこりと笑う。


「いいえ、そういう意味ではありません。魔女ロザンサ、あなたは町に用事があっても行けないのではありませんか? もし、食料運びの商人が来なかったら餓死してしまうのではありませんか? ほら、世話人がいたら便利だと思いませんか?」


 笑顔の幼女に対し、ロザンサの顔は引きつっていく。


 痛いところをついてきた──とは言えない。けれど、これは駆け引きではなく、幼女の圧勝なのだ。ぐうの音もでないほどに。


「ね、魔女ロザンサ。私がいたらいいな~とちょっとでも、ちょ~っとでも思いましたよね? 追い払うのが名残惜しくなりましたよね? わかりました、魔女ロザンサ。私があなたの手となり、足となって苦労を救います。これからよろしくお願いしますね」


 すっと幼女の白い手が上がる。


「私はメアリーと申します。メイとお呼び下さい」

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