表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女ロザンサ  作者: 呂兎来 弥欷助


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/14

ロザリー2

 日に日にロザリーは、目に見えるほど衰えていった。

 森林のような緑の髪の毛はドンドン色素が消えていき、白くなっていく。

 体の動きが鈍くなった。うわごとのように独り言を呟く。


 そうして、寝たきりが増えた。



 昼になり、ジョンが来た。

「お願いがあるの」

 そう言い、メイは家の外へとジョンを連れ出す。


 ぐるりと壁に沿って歩き、室内がよく見える窓の前で立ち止まる。メイはジョンに薪割りをお願いできないだろうかと依頼する。ほんの数本で構わないからと加えて。

 ジョンは明らかに驚いた。だが、ジョンがもっと驚いたのは、続いたメイの言葉だ。


「魔女ロザンサは、もういないのよ……」


 え? え? と狼狽し、窓越しに眠る魔女を見る。

「あそこで眠っているのは……」

「ロザリーよ」


 ジョンはもっと混乱しただろう。

 メイはどんどん悲し気な表情になっていく。


「ロザリーは魔法を使えないの。魔女ではないんですって。でもね、ありがとうと言うし、おいしいとも笑うし、私のことを……『メイ』と、呼んでくれるのよ……」


 メイの涙を見て、ジョンは理解したようだ。おもむろに割る木を切り株の上に置き、斧を手を取る。


 パキン、パキンと薪の割れる音が、軽快に響く。


「ロザンサも、メイがいてくれて……よかったですね」

「どうかしら……」


 パキン、パキンとリズムよく鳴る音は、メイの声を届きにくいものにした。




 数本でいいと言ったのに、ジョンはメイが泣きやむまでの間に何日か分の薪を割っていた。

「ありがとう」

 メイが多めに配達料を渡そうとすると、ジョンは断る。

「ロザンサのために僕が何かするのは、僕のためでもあるから」


 窓から室内を眺めてジョンは、ポツリと言う。


「もう……話しても許してくれますかね、ロザンサは」

「え?」

「以前、僕が助けてもらった話です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ