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58話 スレイの本性とヴォルケーノハウンド

【重要なお知らせ】


『底辺冒険者だけど魔法を極めてみることにした』の《コミカライズ》がスタートしました!


掲載先は【ヤンマガWEB】です!


漫画は坂野杏里先生が担当してくれています!


なろう系ならではのテンポの良さを存分に楽しめる内容になっています。

本作を好んで読んでくれている方なら気に入ること間違いなしです!


金曜更新の隔週連載みたいなので、是非ヤンマガWEB内でお気に入り登録して更新をチェックしてみてください!


是非【ヤンマガWEB】で本作品のコミカライズを楽しんでいただければなと思います!


引き続き応援よろしくお願いします~!

 転移石でダンジョンの外に出たスレイは冒険者ギルドでA級のギルドカードを渡し、仕事の報告をする。

 B級以上のギルドカードには倒した魔物が記録される機能がついている。

 受付嬢は渡されたギルドカードに魔導具を使用した。

 これを用いることでログを解析することが出来るのだ。


「6階層の魔物の討伐を確認しましたので、こちら報酬になります」

「どうもー」

「スレイさんのおかげで助かりました」

「いえいえ、丁度立ち寄ったのでついでですよ」

「ありがとうございます」


 スレイは受付嬢から報酬金の入った麻袋を受け取り、冒険者ギルドを後にした。

 冒険者ギルドを出ると何人かに後をつけられていた。


(ソロの魔法使いだから良いカモに思われてるのかな? ま、僕はAランクだけどそこまで有名でもないからね)


 スレイはニヤリと口元を歪めた。

 なにか悪い企みをしているような笑み。

 前を歩く人はスレイの歪んだ笑みを見て、ゾッと背筋が凍る思いをした。

 スレイは人気のない路地裏に移動した。

 すると、その路地の前後に数人の男が現れた。


「なぁアンタ、そのたんまりと金が入った麻袋、俺達に渡してくれねーかなぁ?」

「その恰好魔法使いだろ~? だったら一人でこの数を相手にするのは無理なことぐらい分かるよな?」


 分かりやすく、脅してくる連中にスレイは腹から笑いが込み上げてきた。


「くっくっく……いやぁ面白い。これだから冒険者はたまらないよ。善人の顔を被っていると、たまにこうしてカモが釣れる」

「はぁ? カモだぁ? それはテメェのことだろうがよ!」

「頭にきたぜ……お前らやっちまえ!」


 路地裏に人が流れ込んでいく。

 そして、次の瞬間路地裏で爆発が起きた。


「うん、やっぱりカモだね」


 ニコッと笑うスレイ。


「あ、あぁ……ば、化物……」


 路地裏に入って行った男達は一人を除いて、みんな焼け焦げてしまった。

 わざとスレイが一人だけを生かしておいたのだ。

 残された男は先ほどまでの威勢は消失していた。

 腰を抜かしていて、ぶるぶると身体は震えている。

 涙が流れ、尿を漏らしている。

 その男にスレイはゆっくりと近づいていく。


「く、くるなぁっ!」


 男は後ずさりして、必死に距離を取ろうとするが蛇に睨まれた蛙のように身体が動かない。

 スレイはしゃがんで、男と視線を合わせる。


「人間ってさぁ、気持ちを切り替えるためのスイッチがあると思うんだよね」


 スレイは独り言のように呟く。


「スイッチを押すための習慣があると綺麗に切り替えられるんだ。不思議だろう?」

「は、はあ……はあ……」


 男はスレイが恐ろしくて返事をすることが出来ない。

 ましてや何を返事していいかも分からない。

 心臓がバクバクと動いて、呼吸の回数が一気に増えていく。


「うんうん。やっぱり一人残して正解だった。焦げた死体を見ても別になんとも思わないもんね。生きた人間の反応を見ないとつまらないよ」

「……た、助けて……死にたくない……!」

「あはは、これから殺されるとでも思ってるのかい?」


 その言葉に男は少しだけ希望を抱いた。

 殺されない?

 そんな淡い希望だ。

 スレイの言葉は自分を殺すことなんて考えていないかのように、男は思ったのだ。


「違う……のか?」

「いや? 正解だよ?」

「え……」


 ボンッ、と男の顔が爆発した。


「ふぅー、仕事から解放されるというのは実に気分がいいね。そのせいでついやりすぎてしまったけど、まあいっか」


 スレイはそう言って、冒険者の服装から黒い外套に着替えた。


「……あ、思い出した。ソニアってクラーク家の娘だ。だから見覚えがあったんだな」


 懐かしそうにスレイは呟いた。


「ま、思い出したからと言って今更何だって話なんだけどね。捕まえる命令も出ていないことだし、それにロアといれば【難攻不落】は輝けるだろうさ」


 そして、スレイは杖を構えた。


「仕事が終わった後もまた別の仕事とはね。僕はなんて働きものなんだろう」


 そう呟くと、路地裏からスレイの姿が消えた。

 焼け焦げた死体だけを残して。







 スレイが6階層の魔物を全て倒してくれたおかげで魔物が襲ってくることはない。

 こんなに安全な状態でダンジョン内を歩くことなんてなかったので不思議な体験だ。



「魔石の数がスゴイですね」

「そうだな」



 魔物の素材は全部焼けてしまっていて魔石しか残っていない。

 先程の階段と同じ光景が広がっている。

 そのおかげで快適に6階層を通過することが出来た。

 7階層への階段を降りていくと、ボスの間だ。

 ヴォルケーノハウンドをボスの間の結界越しに観察する。



 ────────────────────

『ヴォルケーノハウンド』

 討伐推奨レベル:1500

 ランク:B

 ────────────────────



 討伐推奨レベルは1500。

 ウィリアム・キッドよりも500レベル高い相手だ。

 《水雲村雨》のダメージならヴォルケーノ・ハウンドを一撃で倒すことが出来るんじゃないだろうか。

 そしてレベル差が大きければ大きいほど、得られる経験値も高くなる。

 ……それにスレイのあんな魔法を見せられて、ここで引き返す気になんてなれねえ。


「ソニア、アイツ倒しにいっていいか?」

「もちろんです! 前衛は私に任せてください!」

「ありがとな」


 ボスの間に足を踏み入れる。

 ギョロリ、とヴォルケーノハウンドの視線が俺達を捉える。

 全長3mほどの紅い毛の巨狼。

 鋭い目つきで睨まれ、今までに味わったことのない威圧感を覚えた。

 ウィリアム・キッドよりも強いのは間違いない。


「グワオオオオオオオオオオオオオン!」


 ヴォルケーノハウンドの遠吠えが響き渡った。

 だが、そんなことで狼狽えはしない。


「くっ! ロアさん、いきます!」


 ソニアは真っ先にヴォルケーノハウンドに立ち向かっていく。

 そして、ヴォルケーノハウンドの鋭い爪がソニアを襲う。

 盾で攻撃を防ぎ、キンッ、と高い金属音が鳴った。


「重い一撃……! でも耐えてみせます!」


 ソニアは自身の約2倍の討伐推奨レベルであるヴォルケーノハウンドを相手に互角に渡り合っている。

 改めて思うが、ソニアはとんでもない逸材だ。

 だが、長時間耐える必要はない。

 何故なら一撃で仕留めるから。


「《水雲村雨》」


 詠唱すると、ヴォルケーノハウンドの意識がこちらに向く。

 ウィリアム・キッドのときと同じだ。

 強いモンスターはこのように標的を変えてくるのか。

 野生の勘、もしくは込められた魔力に気づいているのかもしれない。


「そうはさせません! 《自己標的》!」


 俺に襲いかかって来る前にソニアはスキルでターゲットを自分自身に向けた。

 これだけではウィリアム・キッドのときは通用しなかった。

 だが、ソニアは新たなスキルを覚え、成長している。


「《巨人の盾》!」


 ソニアの構える盾が巨大化した。

 ソニアは盾でヴォルケーノハウンドの行く手を遮る。


「グルアァ!」


 ヴォルケーノハウンドは煩わしそうに吠える。

 ウィリアム・キッドのときは成功しなかったが、今回は成功させてみせた。

 ソニアも成長している。

 ならば、俺もそれに応えなければなるまい。


「ロアさん! 今です!」

「ああ、任せろ」


 《水雲村雨》の詠唱完了。

 後は形成された水雲の剣を振るうだけだ。


「ガウァ!」


 ヴォルケーノハウンドに近付くと、大きな炎を発した。

 高熱の炎を身に纏ったヴォルケーノハウンド。

 まるで炎の鎧だ。

 だが──。


「スレイの魔法の方がもっと凄かったぜ。あれを見た後だと迫力に欠けるな」


 俺は水雲の剣を振るった。

 水雲の剣が炎の鎧を貫通。


 水雲は炎によって蒸発することなく、吞み込み、ヴォルケーノハウンドを切り裂いた。



『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』

『レベルが500上がりました』

『[アルムントのダンジョン踏破者]の称号を獲得しました』


【重要なお知らせ】


『底辺冒険者だけど魔法を極めてみることにした』の《コミカライズ》がスタートしました!


掲載先は【ヤンマガWEB】です!


漫画は坂野杏里先生が担当してくれています!


なろう系ならではのテンポの良さを存分に楽しめる内容になっています。

本作を好んで読んでくれている方なら気に入ること間違いなしです!


金曜更新の隔週連載みたいなので、是非ヤンマガWEB内でお気に入り登録して更新をチェックしてみてください!


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引き続き応援よろしくお願いします~!

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