53話 Aランク冒険者スレイ
あとがきに【お知らせ】があります。
『レベルが5上がりました』
5階層の『フレイムバッファロー』を倒して、俺のレベルは501になった。
ソニアのレベルは現在560。
アルムントに来てからあまりパーティを組めなかったのでレベルはあまり上がっていない。
「これでお目当ての魔法を取得できるな」
かなり順調にレベルを上げることが出来た。
やはり5階層に降りて来たのは正解だったな。
「あ、その様子だと目標のレベルまで到達したみたいですね! 一旦ダンジョンから帰還します?」
「そうだな。ここで魔法を取得するのは少し危ない。なにせレベル1に戻ってしまうのだから敵の攻撃を受ければ即死だ」
「ですね……。それじゃあ転移石使いますねー」
「ん、助かる」
ソニアが転移石を使用した。
転移石は青く光って、俺達をダンジョンの外へ転移させた。
「まだ夕方にもなっていないな」
ダンジョンの外へ出ると、空はまだ明るかった。
大体いつもは、空が赤くなってきたぐらいに帰って来る。
なんだか少し新鮮。
仕事をサボって、日向ぼっこをしているような感覚だ。
とりあえず魔石の換金をすることため、ギルドにやってきた。
この時間から酒を飲んでいる人がフォイルやルンベルクよりも多いように思える。
とは言っても、10人もいないぐらいだが。
まあ結構多いな。
「おー、アンタ最近よく見る顔だなぁ」
突然、話しかけられた。
酔っ払いの中年のおっさんだ。
頬が赤くなっていて、既に結構飲んでいるのが分かった。
俺はソニアに魔石を渡して、換金を頼んだ。
「ああ。最近アルムントに来たからな」
「なるほど、そりゃ最近よく見る訳だ。それでアンタはダンジョン攻略を頑張ってるのか?」
「ま、そんなところだ」
「階層はどこまで進んだんだ?」
……なんだ?
厄介な酔っ払いか?
「5階層だな」
「お、良いときに俺と出会ったな! それじゃあ良い情報を教えてやるよ。アルムントのダンジョンは6階層からモンスターの強さが一気に跳ね上がるんだ」
「ほう」
「6階層の討伐推奨レベルは900だぜ。もうほぼBランクの強さだよな、まったく」
「じゃあ5階層と6階層で300レベルぐらい差があるのか」
「そういうこった。だから6階層のモンスターはなかなかアルムントの冒険者じゃ倒せねえんだ」
「ん? だったらクエストで貼りだせばいいんじゃないか?」
「そんなことはしなくてもアルムントには腕の良い鍛冶職人が沢山いるから、装備を新調しにくる実力者が多い。でそいつらに頼めばモンスターもイチコロってわけさ」
900レベルぐらいのモンスターなら倒せる気がするな。
群れになって襲い掛かってくると少し厄介だが、慎重に立ち回ればなんとかなりそうだ。
討伐推奨レベル1000のウィリアムキッドも倒せたわけだし。
ソニアのスキルもかなり強化されていて、俺も相性のいい魔法をぶつけられるようになっているため、あまり苦戦しないだろう。
「もし俺がその役目を引き受けるって言ったら引き受けることは出来るのか?」
そう言うと、おっさんは目を丸くして俺を見た。
「──ぷっ、はははっ!」
おっさんは腹を抱えて笑った。
「あー悪い悪い、お前みたいな自信家は久しぶりに見たもんでつい、な」
「気にしてないから大丈夫だ。それでどうなんだ? 引き受けられるのか?」
「冒険者ランク次第じゃないか?」
「Cランクだな」
「おいおい、普通じゃねーかよ! その自信と不釣り合いすぎだろ!」
おっさんは酔っぱらってるのかリアクションが少しオーバーだった。
だが、おっさんの言いたいことも分かる。
俺も【魔法創造】がなかったらこんなことは言っていない。
基本的に身の丈に合わないことはしない質ではある。
「あんまり自分の実力を過信しすぎてると命を落とすぜ?」
「そうだな」
「幸いアルムントは金を稼ぐには困らねえ。鉱業が盛んだし、ダンジョンで戦えるならそれだけでそこそこの収入にはなる」
「おう、ありがとな」
話が長くなりそうだったので、俺はそそくさとその場を立ち去り、換金してくれているソニアのもとへ向かう。
そこでギルドの受付嬢におっさんが言っていたことを尋ねてみることにしよう。
「Cランクの魔石が15個でしたので、9万ムルになります」
「ありがとうございますー!」
ソニアのもとへ着くと、丁度、換金を終えたところだった。
俺はそのまま受付嬢に話しかける。
「なぁ、アルムントのダンジョンの6階層以降の魔物をなかなか倒せずに困っていると聞いたんだが、それは本当か?」
「そうですね……6階層以降はモンスターが強いのでなかなか数を減らせずに困ってはいます。ですが、当分は大丈夫だと思いますよ」
「ん? なんでだ?」
「──この僕が来てるからだよ」
背後から声がした。
振り返ると、強気な表情でこっちを見ている黒髪の男がいた。
年の頃は25、26だろうか。
「……誰?」
俺は困惑した表情を浮かべた。
「え? 今Sランクに最も近い男と言われているこのスレイさんを知らないだって?」
Sランクに近い男……つまりAランク冒険者ってことか。
「ソニア、知ってるか?」
「ロアさん私に振らないでください……!」
どうやらソニアはスレイを知らないようだ。
「ソニア……なんかどっかで見たことあるような……」
しかし逆にスレイはソニアを見たことある様子だった。
「えっ? 人違いじゃないですか?」
「そうかも。僕、あんまり人の顔と名前覚えるの得意じゃないから。あはは」
なんか変わった男だ。
「ゴ、ゴホン! えー先ほどの補足ですが、6階層以降のモンスターはスレイ様に討伐してもらうことになっております」
受付嬢は言った。
自称Sランクに近いAランクの冒険者の実力がどれ程か、少し気になるな。
「そういうこと。6階層はしばらくの間、冒険者が足を踏み入れてないみたいだからモンスターがうじゃうじゃいるから危ないよ」
「なるほど。とりあえずこんなところで会話してても邪魔だろうし、一緒に飯でも食おうぜ」
「うん。構わないよ」
スレイはニコッと笑った。
俺とスレイは食堂の席に移動していく。
「……なんですかその急展開」
ソニアはその場で立ち尽くしたまま今の出来事に驚いていた。
「ソニアー、早く来いよー」
「は、はい!」
【お知らせ】
『底辺冒険者だけど魔法を極めてみることにした』の書籍化&コミカライズが決定しました!
書籍は【11月2日】に発売です!
予約受付が始まっているので、是非お買い上げを!
レーベルは講談社様の「Kラノベブックス」です。
そしてコミカライズも講談社様の「ヤンマガWEB」にて連載が決定しております!
これも全て皆様の応援のおかげです。
ありがとうございます。




