表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/59

02話 【魔法創造】

 最下層の転移結晶に触れて《フォイルのダンジョン》から出てきた俺は、冒険者ギルドで戦利品を換金する。



「おい……見ろよアレ」

「無能のロアだぜ。今日もご苦労なことだな、へへへ」



 ギルドに入ると、俺はみんなの笑われ者だ。

 よく言えば、このギルドのマスコットである。

 俺以上に底辺の冒険者はいないからな。

 こうやって馬鹿にされるのも慣れたものだ。



「おい、ロア。今日も無様に一人でせこせこ金稼ぎかぁ?」

「ま、そんなところだ」



 俺の前に現れてわざわざ馬鹿にしてくる奴は主にコイツ──魔法使いのカーターだけである。

 カーターは【風の魔法使い】というユニークスキルを持っていて、将来有望の魔法使いらしい。


 と言ってもカーターは同じ19歳で冒険者ランクもEで、そんなに高いわけではない。

 多分、それよりもずっと底辺である俺を馬鹿にして優越感に浸りたいのだろう。


「かわいそうだなぁお前。僕みたいに魔法が使えればな〜? どうだ、羨ましいか?」

「別に」

「はっはっは! 羨ましくても、悔しくて言い返す言葉がないよなぁ! 無能なんだからさぁ!」


 やれやれ。

 コイツとは会話にならないからな。

 無視が一番だ。


 それにしても、こんなのに馬鹿にされながらでも俺が冒険者を続けているのは何故か? 

 不思議に思うところだろう。

 少しだけ事情があったのだ。


 俺は物心ついた頃から両親が居らず、孤児院で育った。

 15歳になると俺は孤児院から出て、宿屋で寝泊まりをしながら冒険者ギルドの清掃員として働いた。


 今みたいな最底辺の冒険者をするよりは賃金は多かったが、そこまで変わらない。


 18歳のときに突然、【アイテム作成】のスキルに目覚めてからは清掃員を辞めて冒険者として活動を始めた。

 あまりに稼げないので清掃員に戻ろうとしたら、既に枠が埋まっていた俺は仕方なく冒険者を続けていたわけである。

 ちくしょう。


 ……ま、今日の報酬は骸骨剣士を倒した分、今までで一番多いんだけどな。



 なので今日はいつもより豪勢な食事をした。

 パンと野菜スープに加えて干し肉を食べた。

 俺は美味しい肉を食べたことが無いので、干し肉を食べるたびに肉厚なステーキを食べているところを想像する。

 きっと、かぶりついた瞬間に肉汁が飛び出てくるのだろう。

 そして肉も豆腐のように柔らかいのだ。

 想像上のステーキなので、実物は違うかもしれない。

 今日食べた肉は干し肉だったが、久しぶりの肉はやっぱりコレでも美味いもんだ。





 食事を済ませた俺はいつも寝泊まりしている宿屋にやってきた。



「よし、それじゃあお楽しみの時間といこうか」



 骸骨剣士を倒して取得した【魔法創造】のスキルについて色々と調べていく。

 正直ずっとワクワクしていた。


 さて、どんな魔法があるだろうな。


【魔法創造】を開き、魔法を確認していく。


 現在、俺のレベルは50。


 だから、どうせなら消費レベルの多い魔法を選びたい。

 強力な魔法を手に入れることが出来れば、それだけでレベル上げの効率は格段に上がるだろう。


 というわけで消費レベルが50の魔法に注目した。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 《豪火球》 消費レベル50

 《水塊砲》 消費レベル50

 《風刃》 消費レベル50

 《投雷》 消費レベル50

 《土砂流》 消費レベル50


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おお!」



 結構カッコいい魔法がいっぱいあるじゃないか。

 これを今すぐ取得できる?

 テンション上がるな。


 ……待て待て、落ち着けよ、俺。


 今勢いで《豪火球》を取得しそうになったけど、ちょっと待つんだ。

 気持ちは痛いほど分かる。

 火ってなんか見るからにカッコ良さそうだし、魔物に対しても有効打が多くて優秀だろうさ。

 そう、でもここで焦ったらダメだ。

 まずは一旦落ち着くんだ。


「すー、はー、すー、はー」


 深呼吸をして心を落ち着ける。


「……ふぅ、落ち着いた」


 ん、落ち着いた拍子に良いことを思い出したぞ。


 これが【アイテム作成】の進化スキルなら魔法の詳細を知ることが出来るんじゃないか?



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 《豪火球》

 消費MP:200

 基本ダメージ:4000

 属性:火

 詠唱時間:3秒


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ほうほう、消費MPは200か。

 俺のステータスってどれだけだったかな。

 MPとか全然気にしないから覚えてないんだよな。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ロア・フォイル 19歳 男 

 レベル:50

 HP:210/210、MP:260/260

 攻撃力:60

 防御力:45

 ユニークスキル:【アイテム作成】【魔法創造】


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 俺の最大MPは260か……。


 200は消費MP高いな。

 これだと1発打ったら終わりだ。

 流石に使い勝手が悪すぎる。




「あ、あぶねぇ……。一回冷静になって本当に良かったな」




 ホッと胸を撫で下ろす。


 《豪火球》がダメならワンランク下の魔法を覚えれば良いんじゃないか?

 それなら丁度良い気がする。


 ワンランク下は……消費レベル25の《火槍》か。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 《火槍》

 消費MP:40

 基本ダメージ:1200

 属性:火

 詠唱時間:4秒


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 お、これなら6回ぐらい打てるな。

 ダメージもそこそこ高い。

 いや十分高いな。

 1200って俺を6人分ぐらい倒せるダメージだな。

 そんなの今までの俺には不可能である。

 消費レベルも25だし、まだレベルも余る。

 今のところ《火槍》を取るのが一番無難かもな。



「よし決めた。俺が初めに取得する魔法は《火槍》だ」





『【魔法創造】の効果により《火槍》を創造しました』






【大事なおはなし!】


下の『☆☆☆☆☆』から作品を応援することが出来ます!

☆1つで2ポイント!


1人につき最大10ポイントを入れることが出来ます!


これがめちゃくちゃでかいので、面白かったら是非ポイント評価して頂けると、嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今日初めて読み出しました なんか面白そうって感じがしました 読みはじめのつかみは大事ですよね これからどんな展開になるのか楽しみです
[気になる点] この世界は豆腐が普及してる世界なのかな?
[気になる点] レベル消費したらMPも下がって200もなくなるんじゃ…? レベル50消費したら0?レベル0はありなの?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ