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もふもふを知らなかったら人生の半分は無駄にしていた 【閑話・小話集】  作者: ひつじのはね


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限定公開小話集②

カクヨムサポーターさん向けの小話、現在13話限定公開しました! 


↓今回はこの中から各Twitterアンケートにて1話ずつ全体公開!


・ユータ×プリメラ 1300文字

・ユータ×ジフ 1100文字

・カロルス×ユータ 500文字

・ユータ×マリー 1000文字


・アゲハ×エルベル 約1700文字

・アッゼ×マリー 約1000文字

・ユータ×ラキ 約2200文字

・セデス×ユータ 約1600文字


~~~~~


○ユータ×プリメラ


オレは、渡されたお題に首を傾げた。

そう言えば、食べているところをあんまり見たことない。だけど、カロルス様と違って優雅に上品にしずしずと食べていた気がする。

と、ぐいとオレの頭を押しのけるように覗き込んできた淡い桃色に苦笑した。

「プリメラ、さすがに読めないでしょう」

あんまり熱心に眺めているから、何か面白いものでもあると思ったんだろうか。


「ピッ?」

大きなふわふわ頭が、こてりと首を傾げる。

可愛らしい仕草にでれりと笑み崩れ、収まりの良い体を抱きしめた。

「あのね、プリメラと対決するようにって書いてあるんだよ!」

「ビィッ?!」

ビクッと身体を揺らしたプリメラは、オレが言ったことが分かったんだろうか。そうっと身体を引いて、潤んだつぶらな瞳がオレを見つめる。


見た目は巨大ヘビで割と強そうに見えるけれど、妖精蛇は大変大人しく穏やかな生き物だ。その口に小さな歯は生えているけれど、顎の力はいたって弱い。噛まれても痛いですんでしまうだろう。

頭にちょこんとついている角なんて、飾りでしかない。

そして貴族に好まれる、とことん攻撃に向いてない上に無防備なふわふわボディ。

大きいだけにそれなりの力はあるので、さすがに幼児に負けはしないけれど、相手がオレなら話は別だ。

『相手があなたなら、凶悪な魔物だって真っ青よ……』

失礼なモモの台詞は聞き流し、プリメラににっこり微笑んでみせる。

「大丈夫、戦闘じゃないよ?」


「かわいいっ! かわいいわ! ユータちゃんこっち向いて~」

「ユータ様っ! 素敵ですよ! 凜々しいですよ!!」

そうだろうか。

首からナプキンをかけて座っているだけなんだけども。

隣のプリメラがナプキンをかけている姿の方が、よっぽどかわいいと思うんだけど。

「用意はいいかな? じゃあ……スタート!!」

割とどうでも良さそうな顔で、セデス兄さんが開始を宣言する。


同時に、オレとプリメラが動いた。

目の間に並んだ果物盛りを、片っ端から口へ詰め込んでいく。

あっという間に白いナプキンには色々な果汁が飛び散って、随分芸術的な色合いだ。

色んな果実のいい香り。甘くて、酸っぱくて、瑞々しい。

「おいし……」

じっくり味わっている暇はないのだけど、自然と口角が上がる。

凝ったスイーツはもちろん美味しいけれど、結局のところ果実の美味しさには勝てないのかもしれない。どこか懐かしいような、本能に刻まれた喜び。


満足しながらちらりと横を見て、愕然とした。

「おう、ユータもうちっと頑張れよ!」

「貧弱すぎる人間代表だね」

からかう声が聞こえるけれど、オレは手に持ったブドウの粒を口に入れることも忘れてその光景を見つめていた。

ほいっ、パク! ひょい、パクッ!

嬉しそうに果物を頬ばる大きな蛇は、房ごとのブドウを投げ上げるようにして丸ごとくわえ込み、咀嚼もそこそこに飲み込んだ。大きな蜜柑も、房なんて気にせず丸ごとぱくり。


「ず、ずるいよー!!」

普段はもらえない大量の果物を前に、食いだめすべく荒ぶるプリメラは、オレの存在など気にも留めずに片っ端から果物を体内に収めていくのだった。

「いや、そもそもお前が勝てる相手なんてネズミくらいだからな……」

「勝負になると思う心境が僕には分からないよ」

呆れた外野の台詞に、オレはもう既に満腹に差し掛かったお腹をかかえて突っ伏したのだった。



お題:「ユータはプリメラと大食い対決しましょう。」

とりあえず、クリア! 負けたけど。


○セデス×ユータ


「えーっ? ユータに料理を作るの? それはプレッシャーだなぁ」

情けない顔で頭を掻くセデス兄さんを見上げ、首を傾げる。

「どうしてプレッシャーなの?」

「だってほら、ユータは料理上手じゃない。上手に作れる人に出すのは緊張するでしょ。僕、あんまりやったことないからさ」

あんまり? という事はある程度やった事あるんだろうか。そういえばクッキー作りを手伝ってもらった時は、割とスムーズだったね。


「作ったことくらいはあるよ、野営の時なんかに。焼くだけ、煮るだけ、とかね」

「良かった、食べられるものを作れるんだね!」

心から安堵して微笑むと、一瞬訝しげにした顔が納得に変わる。

「あー、そうだね。とりあえず危険なく料理するくらいはね」

それは朗報、エリーシャ様レベルじゃないならそれだけで安心だ。カロルス様よりも出来そうだし!

「じゃあ、楽しみにしてる!」

にっこりすれば、セデス兄さんはそっと頭を撫でて苦笑した。

「まあ、ジフの前で作れば食べられるものにはなるよね。じゃあ、とりあえず行ってくる」

片手を挙げて立ち去る姿を見送って、ふと違和感を感じた。

「あれ? 厨房に行くんじゃないの……?」

ぱたん、と閉じた正面扉を見つめ、オレは首を傾げたのだった。



「うわああぁ! 巻き付かれた!」

「引け引け!! 頭の方にはまわるなよ!!」

オレは怒号と悲鳴溢れるその場に呆然と立ち尽くしていた。

さっき帰ってきたばかりのセデス兄さんを見上げ、疑問を顔に浮かべる。

「ん? なんだい? ほら、あれ珍しいでしょ! 運が良かったよ」

爽やかな笑みの周囲では、まさに討伐の現場のごとく剣戟が聞こえる。

「えーと……あれ、食べられ――じゃなくて! 何あれ?! どうして生きてるの?!」

厨房で暴れている魔物にチラリと視線をやって、もう一度セデス兄さんを見上げた。

「あれはね、多頭蛇だよ。人気の無い海辺の洞窟とかにいてね、大きいから食べ応えあるかなと思って。活きが良い方がおいしいんでしょ?」

僕、割と捕獲は得意なんだ、なんて笑ってみせる王子様は、悪びれた様子もない。だけど普通に考えて、あれは捕獲して厨房に放っていい類いの魔物ではないと思う。


だって、結構大きいんだよ。プリメラサイズの蛇頭が5つ、それをまとめ上げたような太い胴。当然、プリメラみたいに可愛くはないし大人しくもない。

オレはため息を吐いてエメラルドの瞳を見つめた。

「セデス兄さん……魔物を生きたまま連れて来ちゃダメだよ」

だってほら、こんなにも大暴れしている。

ジフを筆頭に包丁と鍋蓋で武装した料理人さんたちの奮闘により、現在多頭蛇5つの頭のうち2つを落としたところだ。


「活きが良いまま連れてくる時はね、環境を整えておかないと興奮やストレスで味が落ちちゃったりするらしいよ。鮮度の落ちやすいお魚とかならともかく、こんな大きな魔物はその場で仕留めて血抜きした方がいいよ!」

ね? とにっこりしたところで、モモとチュー助が力なく首を振った。

『そっちだったのね……』

『いや、主はそうだよな……』

オレの話じゃないよ、世間一般の話をしているんだけど。せっかく獲ってきた獲物なんだもの、おいしく頂きたいでしょう。


肝心のお料理の方はと言えば……多頭蛇はセデス兄さんの手によってワイルドな粗塩焼きになって登場、ほんのり甘みのあるお肉とガツンと効いた塩がマッチして、とても美味しかった。ただし、勿体ないからってちょっとしか作ってくれなかったけど。残りはジフたちの手で様々な料理に姿を変え、当然ながら絶品だった。

エリーシャ様のそっち方面の血は受け継がれなかったようで、本当に良かったと思う。


ちなみに……多頭蛇との戦闘を終えたジフたちからは、盛大に怒られてしまった。

んっ? あれ、でもオレ何もしてないんじゃ……??

多頭蛇の香草蒸しを頬ばりながら、オレは憮然としていたのだった。




お題:「セデスはユータに手料理を作りましょう」

意外と出来るセデス兄さん! どうでもいい裏?設定として、彼の貴族学校での専攻は魔物学だったりします。


今回のお題は↓こんな感じでした!個人的にはジフの小話結構好きですよ! 短いけどカロルス様の壁ドンも! アゲハ×エルベルも意外すぎて楽しかったです!!


実はユータがマリーさんにちゅーするやつ……なんとなんと戸部先生のイラストがあるんですよ?!先生のTwitterでぜひご覧ください!!!絶対ご覧下さい!!!!!見なきゃ勿体ないから!!!!


○ユータはプリメラと大食い対決しましょう

・ユータはジフに投げキスしましょう

・カロルス様はユータに壁ドンしましょう

・ユータはマリーのほっぺにチューしましょう


・アゲハはエルベル様に勉強を教えましょう

・アッゼはマリーに壁ドンしましょう

・ユータはラキに塩対応しましょう

○セデス兄さんはユータに手料理を作りましょう

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― 新着の感想 ―
[良い点] プリメラのお話し有難うございます! 最近はあんまり登場の機会がないので、どうしてるかなって思ってたんです
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