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もふもふを知らなかったら人生の半分は無駄にしていた 【閑話・小話集】  作者: ひつじのはね


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限定公開小話集 ①

こちらはカクヨムサポーターさんへ限定公開している小話の一部です!

活動報告に書きましたが、小話はお題ガチャからの皆さんのリクエストや、ひつじのはねがガチャで出したお題からになります。

大体4話書いたらその中から1話のみ公開するという形をとることにしました! どれをチョイスするかはその時によりますが、概ねTwitterアンケートで希望を募る形になるかなと思います。


今回のアンケートは


カロルス×グレイ 430文字

ユータ×カロルス 600文字

ユータ×エリーシャ 650文字

ユータ×セデス 970文字


の中からまずひとつ!

接線を制したのは……ユータ×カロルス の600文字でした!!

あと、ユータ×グレイ の話はやたら長くなったので、どうせアンケートに入れても差がつくかなと、公開分にチョイスしました。


ガチャで出てきたお題をキャラにやってもらうという方針の小話、お楽しみ頂けると幸いです!

詳細は活動報告に記載しています。



○ユータ×カロルス様


オレはカロルス様から見えないように、にやりとほくそ笑んだ。

これは与えられたお題だからね、仕方ないことだ。決して、オレがやりたくてやっているわけじゃない。

まだ子どものオレには、とても抗うことなんてできないから。


オレは完全に気を抜いているカロルス様を見上げ、そうっと片足を引く。

タイミングをはかり、静かに息を吸って、止めた。

いまだ!

「ふっ!」

カロルス様のあくびが終わるか終わらないかの瞬間、鋭い呼気と共にオレの拳がうなりをあげる!!


しっかりと腰を入れた渾身の一撃は、見事にカロルス様の腹へ……つぶれた。

「――いっったぁ?!」

「おう、悪い。つい力入れちまった」

なんでオレの拳の方が痛いの?! 

まさか皮鎧でも中に仕込んでいるんじゃ……。

「……なんだよ?」

裾をまくりあげてみたけれど、そこにあるのは立派な腹筋のみ。

あのね、何ひとつ気にされていないけど、オレ今渾身の一撃を入れたんですけど。

眉根を寄せて腹筋を睨み付けていると、訝しげなカロルス様がひょいとオレを持ち上げた。


「ちっせえな。ままごとみてえな手だな」

大きな手にオレの手を乗せて可笑しそうに笑う。

「ままごと?! オレ、立派な冒険者なんですけど!」

「そうだったか?」

大笑いするカロルス様に、次は絶対みぞおちに入れて悶絶させてやろうと心に決めたのだった。


お題「ユータはカロルスをぶん殴りましょう。」

えーと、殴れたかどうかは微妙なところだけど、まあ一応クリア?



○ユータ×グレイ


見つけた! オレは素早く接近すると、遠慮無くお目当ての背中へ飛びついた。

「ユータ様、飛びつくと危ないですよ? 私はマリーやカロルス様と違いますから」

そこにエリーシャ様を入れなかったのは、執事さんなりの気遣いなんだろうか。

落ち着いた声にやんわりと諫められ、ちょっと首をすくめて笑う。

「だって執事さん、力持ちだよ!」

そりゃあ、先の二人は人外かもしれないけど、こうして揺るがない腕は並の人と比べるべくもない。それに、おかしいよね? 背中に飛びついたはずなのに、どうして正面から受け止められているんだろう。この反応速度は、後衛に甘んじている魔法使いのそれじゃない。


「ふふ、ありがとうございます。ですが、もう年ですから。こっそり近づいてはいけません、カロルス様と間違ってアイスアローでも打ち込んでしまったらどうします?」

「そっか、じゃあ……シールドを張ってからにする!」

「そういうことではありません……」

苦笑した執事さんは、オレがしがみついて離れないので、観念して抱き上げてくれた。

「それで、ユータ様は私に何かご用事でしたか?」

歩き出した執事さんはどこへ行くんだろうと思ったら、どうもオレの部屋へ向かっているようだ。きっと、そこでオレを下ろしてしまおうという魂胆だね。


「執事さんは、今からお仕事何するの?」

「私ですか? 今からカロルス様の見張……お手伝いをしようかと」

「じゃあ、そのお仕事はシロに頼むね! そうしたら執事さんは休憩できるよね?」

シロなら、カロルス様がどこにいたって見つけ出せるし、力も強いから引っぱってこられると思う! そしてあのキラキラの瞳でじっと見つめられれば、お仕事をせざるを得ないと思うんだ!

「ええ、まあ……」

どうしてそんなことを言うのかと訝しむ顔で、執事さんは思った通りオレをベッドの上へ降ろそうとした。


「じゃあ、執事さんここに寝て! ずっとじゃなくていいの、今だけ!」

「ここに? なぜ……?」

明らかに戸惑う執事さんをぐいぐいと引っ張り、オレのベッドへ横たえようとする。

「うつ伏せになって! ちょっとでいいから!」

「いえ、その、私は……」

散々渋る執事さんをなだめすかして強引にベッドへ横たえ、オレは案外広いその背中に座った。


「あの、ユータ様?」

伏せた執事さんが、ほんのりと不安げな目で首を捻ってオレを見る。そんな顔しなくて大丈夫!

「悪いことしないよ! あのねえ、オレ執事さんをマッサージしてあげる!」

ふわ、と回復に偏らせた生命の魔力を身体に巡らせ、小さな手を首元へあてがった。

一瞬、ビクッとした身体に申し訳なく思いつつ、驚かせないようそうっと手を滑らせていく。

このくらいかな? もう少しかな?

小さくなったオレの腕だと、どれくらい力を込めればいいか今ひとつ分からない。痛くないように、ゆっくり力を増しながら首から肩を揉んだ。


「痛くない?」

「ええ、全く。……気持ち、いいですね」

硬くなっていた身体が徐々に緩んでいくのが嬉しくて、すぐにしびれてくるオレ自身の手に回復を重ねた。

首から肩へ、背中から腰へ。

職人(?)になったような気分で、真剣にマッサージを施していく。

気持ちいいでしょう? 回復魔法の合わせ技だから、オレの技術がどうあれ絶対に凝りはほぐれるだろう優れものだ。なんて便利なんだろう……マッサージは必要ないのでは、と脳裏を掠めないでもないけれど。


腰まで下りてきた手をもう一度肩まで戻した時、背中越しに伸びてきた手がオレを掴み上げた。

「わわ?!」

同時にぐるりと身体を反転し、執事さんが仰向きになってしまう。

胸元に抱き込まれ、ちょっと唇を尖らせた。

「こっち向きだと、できないよ」

「ふふ、もう十分ですよ。お礼をしましょう」

執事さんからの、お礼? 意外な台詞に目を瞬かせると、執事さんは少しぎこちなく口の端を上げ、ぽん、ぽんと背中を叩き始めた。

「こう、でしょうか……」

少し自信なさげにしながら、多分カロルス様の真似をしているんだと思う。さては、オレを寝かしつけて仕事をするつもりだな。


「オレ、そんな簡単に寝たりしないよ!」

意外と厚みのある胸板に手をついて顔を上げると、真下にある顔を見下ろした。

きっちり整えている髪がわずかに乱れ、彫りの深い顔立ちを縁取っている。薄暗い室内に差し込む光が銀灰色の瞳を透かして、グレーサファイアみたいだ。

「おや、そうですか。私ではダメかもしれませんね?」

ちょっと小首を傾げ、微かに艶のある瞳がオレを見上げた。

そういう意味じゃ、ないけど……。少し言葉に詰まって考えた。

完全なる子ども扱いは面白くない。だけど、執事さんに抱っこしてもらってこんな風に横になるなんて、まずないレアすぎる機会だ。これはじっくり堪能しておいて損はない。

「違うよ、オレはそんな単純じゃないの。だけど、お礼はもらうね!」

むふっと笑みを浮かべ、執事さんの気が変わらないよう急いでその身体へ伏せた。


ご機嫌で首元へすり寄ると、せっかく柔らかくなっていた身体にまた力が入る。

もう、仕方ないな、執事さんはリラックスが下手なんだから。

くすっと笑うと、オレは目を閉じて彼の胸元をとんとんやってあげる。ほら、大丈夫だから。

すると、オレの身体に小さく震動が伝わってきた。

「……?」

「すみ、ません。ふふ、おかしいですね、私がお礼をしていたはずなのに」

軽く咳払いすると、再びオレの背中に柔らかなリズムが刻まれ始めた。

うん、気持ちいい。

執事さんにしてもらうのって、なんだかすごく特別感があって嬉しい。

えへ、と顔に笑みを刻み、オレの意識はみるみる溶けていったのだった。



お題:「ユータはグレイをマッサージしましょう。」

ユータ:……はっ?! あれ? 今ここに執事さんいたのに……。

モモ:そんな、ト○ロじゃあるまいし。あれから何時間経ったと思ってるのよ……。


やたら長くなったけどマッサージは無事成功! クリア!



今後も小話が貯まればアンケートをとって公開、の形をとるつもりです!

書いて欲しいお題は「#ひつじのはねお題」でツイートしてもらえると拾います。が、基本限定公開ページ用なので……アンケート戦を突破すれば読めますが(^_^;)

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― 新着の感想 ―
[一言] 力を入れたカロルス様の腹筋は鉄板並みww
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