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「神の存在を信じろ、ということはつまり、裸の王様を信じろ、と言っているのと同じことだと思うんだ…」
「裸の王様?」
くるみは、聞き返した。
「王様は、見えない透明の服を着ていたよね。誰にも見えない服を神と例えるなら、誰もが見えていないのに、それが神であると『信じる力』によってのみ、その信仰は支えられていると思うんだ。もし、『信じる力』をなくしてしまえば、王様は、ただの裸の王様でしかなくなるだろ?だから特別、信仰を持つ人間と持たない人間とでは、さほど違いはないんじゃないかな…」
「だけどフウガ。それはある時、まるでメビウスの輪のような捻りを持つ力があると思うわ」
「どういうこと」
「うまく言えないけど、神様はいるんだって思った瞬間から、その人の人生には、今まで見えていた人生とは何か別のもののように見えてくるんじゃないかしら」
「それは、その人が神に選ばれた存在だからって意味?」
「そうじゃないわ。その表現や言い方じたいが、人間の驕りだと思うわ」
「誰だって、神に愛されたいさ。そうだろ?きっと人間は、神に試されてるんだよ。だからこそ、神を冒涜するな、と言われながらも、人間としての価値を見出だそうとするんだ」
「…でも、たとえ豊かさや栄華を極めても、決して無くしてはいけないものもあるんだと思うわ」
「キミは、空中都市イーハトーボのこと、どう思う?」
くるみは、こう言った。
「愛がなければ、いつか必ず崩壊するわ」