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「たとえば、ソクラテスなんかは、毒杯をあおって刑に服したよね」
「自分の信念を貫くために、主張を貫くために、ですか?」
「周りの体裁もあるだろうからね。一度上げた大義名分は、そう簡単には引けないという。つまり彼は、毒杯をあおることで、歴史に名を残した」
「ということはつまり、本当は心の中では、死にたくない、と思っていても、歴史に名前を残すために…」
「男には、往々にして、そういう所があるよね」
「…ということは、自分の哲学や信念を貫くために死んだんじゃなく、歴史に名を残すために…わざと…」
「いや、そう断言はできない。実際、書物には、ソクラテスは、名誉的な死に方をしたと書かれてあるからね」
「なるほど…」