未来の記憶

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「この本、僕の曾祖父が書き残したんだ」

そう言って、ユウジはくるみに本を手渡した。

「まず、イーハトーボには、高層の建物ばかりで、核シェルターがない。世界の常識だよ。僕はここをユートピアだなんて思っていないね。現実、イーハトーボの郊外で働いている住人たちを見たまえ。夜間中学に通いながら働いている」

事実、イーハトーボの郊外は、ほとんど移民労働者の集まりで築かれていた。