3−2 いつもよりもマシな僕
05:30
ベッドから起きてカーテンを開ける
まだ薄暗い空を見て、今日はどうだろうかと少し考えるが、大抵どうしようもない、回避できないので諦める
キッチンに向かうと、昨日の夜準備していた米が炊きあがる音がした
僕は今、一軒家で一人暮らしをしている
両親と兄弟は巻き込まれないように、マンションを借りて生活している
それに対して不満もないし、巻き込まれて死なれたら立ち直る自信がないからありがたいのだけど
今日も弁当のおかずを作るついでに朝食も作る
まあ、卵焼き作ってウインナー焼いて昨日の夜のおかずのあまりを詰め込んで、レンチンしたブロッコリーとミニトマトを入れただけの簡単なものなんだけど
朝食用に味噌汁も作って完成
事故は起きてない
まあ料理するときに事故なんてまだ起きていないのだけど
ガスコンロの逆火でボンッってならない限りはこれからも起きないと思う
僕の不幸体質はあくまでも、周りで起きる不幸が全部こっちに飛んでくるだけなのだ
銃撃されたり膝に矢が飛んでくることはないが、公園を通りかかるとボールが後頭部に刺さることはある
だからまだ死んでない
トラックが突っ込んできたり交差点での信号無視には気をつけなければならないが、運のいい?ことに体は丈夫だからある程度であれば死なないし、受け身の練習もしている
将来スタントマンにでもなるかな
多分色々ひどいことになると思うが最適ではなかろうか?
なんかよくわからないうちに将来の夢ができてしまったが、今日も味噌汁が美味しいのでよし
そんなことを考えていたら朝食の皿には何も残っていなかった
ごちそうさまでした
07:00
身だしなみを整えてから、学校へ向う
時間的には余裕があるがなにか起きる可能性も否定できないので早めに家を出るようにしてる
さて?今日は何が起こるかな
07:15
何もなかった
学校にたどり着き、朝練をしている学生を見ながら訝しむ
珍しいが、良いことなのでは?と自分に言い聞かせて教室に向かう
これゆり戻りで酷いことになるかもしれない
恐怖で少し震えながら教室の前までたどり着く
扉を開くが、誰もいない
…寝るか
08:00
幸運さんに声をかけられ目が覚める
珍しいとはなんだ
確かに何かしらある日のほうが多いが、なにもない日だってたまにはある
だから、いつも何かあるわけじゃないと答えてまた眠る
幸運さんからの視線を感じながら
12:00
午前中は何もなかった
良かったと胸を撫で下ろした
弁当を開いて一人で食べ始める
ふと隣を見ると幸運さんがクラスメイトと談笑しながら、惣菜パンを食べていた
弁当でも作ればいいのに、そっちのほうがコスパがいいと思いながらおかずを口に運ぶ
まだ涼しい時期なので腐っていることもなく食べ進める
ごちそうさまでした
隣を見ると、幸運さんはいなくなっていたので寝る
移動教室もないから今日はほんとに楽だ
16:15
終礼が終わり放課後になった
幸運さんと僕以外は部活に行ったのでふたりきり
幸運さんは部活をやらないのだろうか?と思いながらも帰る準備をゆっくりとする
すると幸運さんから声がかかる
一緒に帰らない?
どうやら今日はいつもよりマシな日らしい