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ラフメイカー(仮)  作者: ナナシのケン
6/8

第6話 テツの実況チャンネル

 どうもみなさんおはこんばんにちわ。徹ですっ。


 えぇ〜と、現在、蛇の影に潜っている状況です。


 蛇は十数分ほど前から固まったままで・・・っと動き出しました。


 暴れています。すごい暴れています。

 あっ。なにかするようですね。

 あれは……ブレス? 蛇なのに? もしかして龍だったの?

 

 まぁそれはともかくブレスですが、水の塊みたいなのを吐き出して・・・おおっと! 着弾したところが弾け飛んでいます。

 なおブレスは何度も打てるようで、そこらへん一帯を無差別に破壊しています。


 このブレスは恐ろしいですねぇ〜。威力もさる事ながら、連射も可能なようです。イメージとしては、戦車の砲撃を連射されているみたいですね。


 さぁ、そこらへん一帯を新地に変えた蛇ですが、たぶん私の姿が一切見えない事に混乱しているようですね。さすがに疲れたようで帰るようです。では実況はこの辺で。またな!


 1時間前 


 蛇は意識をとりもどすと、怒りがこみ上げてきて、怒り狂った。そして隠れているであろう。徹をあぶり出すため、そこら一帯を消し飛ばす事にした。


 蛇は自分の使える技の中で最も威力の高い、ウォーターブレスを近くの木々に乱射する。


 「出てきなさい! 丸呑みにしてあげるから!」


 1発のブレスで弾け飛ぶ木、砕け散る岩、抉れる地面。


 半径30mは新地に変えた蛇だったが、未だに徹の姿が見えなかった。


 しかし、ブレスの使い過ぎで体力も魔力もかなり消耗したため、徹の弾け飛ぶ姿は確認出来ていなかったが、ブレスであいつも吹き飛んだと思い込んで湖に帰る。


 徹はその後ろ姿を、瓦礫の影から見送る。


 約10分後


 「そろそろええかな? おっし、誰もおらんな。んじゃまぁ水取ってさっさと帰るか。しもた! 入れもん無いやん。んーそこらへんのもので入れもん作るかぁ」


 そう言うと、折れた木々から、影を使って器用に容器の形に切り抜く。


 「湖に近づくのは危険やし、降ってくる水を集めるか」


 そう呟き、影を漏斗のような形にして作った容器に水を集めていく。

 ビール樽ほどの容器10本分ほどの水を集め容器をアイテムボックスにしまう。


 「とりあえずこれだけあれば十分やろ。無くなったらまた取りにくるか」


 (またあいつに出くわすかも知れへんっていうのはいややな〜。なんせ俺の攻撃効かんし、やっぱりレベル差か。レベル上げんとな〜。ゲームとかと違って死ぬ危険があるから怖いんよな〜。)


 などと考えながら家(洞窟)に戻るため、歩き出す。


 日が暮れ、辺りはいっそう暗くなり、普通の人間ならば木の根に足を取られたり、地面の凹凸が見えずバランスを崩したりと、かなり危険な環境である。


 しかし、徹は一切関係がないと言わんばかりに、夜の森を突き進んでいた。


 「なんか森にしては明るいな」


 ふと疑問に思った事を口にする。


 (上見ても月明かりすらほとんど届いてないのに……もしかしてこれって種族特性かなんかか? そうなると夜戦が有利か……)


 などと考察しながらでもその歩みに、危な気は一切無い。


 約1時間後


 「やっと、ついたー。ただいまー。疲れたー。」


 家(洞窟)に着き、気が抜けたのか、言葉に合わせた3動作で、洞窟に入り、座り、寝転がる。


 「石が冷たくて気持ちぃー、ちょっとだけ休憩や」


 徹は疲労感に抗わず、ゆっくりと目を閉じた。


 

 次に目を開けた時には、外は明るくなっていた。


 「ちょっとだけ休憩のつもりが、がっつり寝てもうたな。てか腹減った。なんか食うか。って言っても生肉しかないんですが。うーんここは素直に焼くか……ってどうやって焼くねん! 火ぃないやん! 生肉かぁ〜食えるかなぁ〜。マヨネーズかけたらワンチャン?」


 赤々とした光沢がありつつ、脂身の少ない熊の肉に、マヨネーズをかける。

 全体に。

 均等に。

 赤い部分が無くなる様に。

 そう。これは黄色い何かだと言われるまで。

 そして。最後に切り分けてこれで今回の調理は終了だ。

 できあがったのは、周りが黄色く中が赤い、とても危険な色の『何か』だった。


 「いただきます」


 小さめに切り分けたそれを、口に含み、咀嚼する。


 (マヨネーズの味が口いっぱいに広がり、その後に鉄の味と風味と酸味が残る。さらに噛めば噛むほど溢れ出る生臭さが、いくら噛もうとなくならない肉と相まって永遠と咀嚼出来る。これを例えるならそう……)


 「拷問かこれはぁぁ!!! 不味過ぎる!!!」


 そう言ってその場で全てをリバース。


 「むりむりむりむり! これはマヨネーズさんの力でも無理やわ。食えんもん。血の味がするゴム食ってるみたいやし。はぁ〜……やっぱり食用の肉でもないし、調理せんと食えんなぁ〜。火かぁ〜。せめてライターとかでもあればなぁ〜」


 徹はタバコを吸わないので、普段からライターを持ち歩く習慣が無かった。なので持っていないと分かった上で、一応自分の持ち物を探る。


 「ジーパンのポケット……は無いよなぁ〜。鞄の中……も無いよなぁ〜。どうすっかなぁ〜」


 と鞄を後ろへ放り、そのまま寝転がる。


 鞄が洞窟の壁に当りボスッと音が鳴った。しかし、鞄の方からカラン、カラン、っと鞄の落ちた音とは別の音が聞こえた。

 

 「なんや今の音? まだなんか入ってたか?」


 音が気になり鞄の方を見ると、銀色の四角い物が落ちていた。

 

 それを手に取り、ここでそれがなんなのか理解する。


 「これは……あぁぁぁぁ!!! ジッポやんけ! なんでや! なんで持ってんねん! ……いや今はそれはええ。それは置いといてや。とにかく火や! やったでー! 火やー! これで肉焼けるぅー! 肉食えるぅー! くぅー!!」


 もう離さんと言わんばかりに大事にジッポを両腕で抱きしめる。


 数分抱きしめていたことで気持ちが落ち着いたのか、ジッポをなぜ持っていたかを思い出す。


 「そや、このジッポ……薫に押し付けられたやつやん……あいつ元気しとるかなぁ。俺おらんようなって、どうしてんねやろかぁ。もう新しい相方見つかってたりして……あかん、あかん。感傷的になってたら良い事あれへんし、まずは飯食うか!」


 その後の行動は早く、火を付けられそうな乾いた木の枝や、良く燃えそうな落ち葉などを集めた。またそこら辺の岩をかまどの形にくりぬき、成形してできたかまどの中に、集めてきた燃えやすそうなあれこれを詰め込み、最後にジッポで点火する。これで火の準備ができた。


 「第1回サバイバルクッキングゥ〜! おい、そこ! 2回目とか言わん! こほんっ。んなら今回料理していくのは……コチラ! 熊さんのお肉や。

このお肉はなぁ〜生では食べられませんっ! いいか? もう一度ゆーけど? 生では、食べられま・・・せん! なんで、今回は焼いていきたいと思いまーす」


 肉を調理しやすい大きさにカットし、石の上に乗せる。


 「では早速調理していきましょうか。まず下味やけど、塩が無いんで、代わりにマヨネーズを塗り込みます。そして手頃な大きさの石の上に肉を置く。そんでその石ごとかまどに放り込む。そしたらしばらく待つ。火力はどのぐらいかって? そんなもの適当や。男のサバイバル料理に同じ物は無い! そいつが作った物がそいつの料理や! ってことで、良い焼き色になったところで取り出して、完成!」


 取り出した肉は、表面のマヨネーズが焦げ茶色の良い色になり、匂いも食欲をそそる匂いがする。


 「くぅ〜! マヨネーズのいい香りがたまらんなっ! んじゃま、いざ! 実食!」


 もう空腹が限界だったのだろう、かまどから取り出したばかりで、湯気がもうもうと立っている肉を、一瞬のためらいも無く、徹は大きく口をあけ、肉に勢い良くかぶりついた。

 




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