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あ、私死んでるんですけど。ヨホホホ

「それはともかく、呼び名でしたらーーレイとでもお呼び下さい」


レイはあくび混じりの詰まらなそうな声色で投げやりに言った。

この様子から見るに本名とかではないだろう。略称か、自身に関する言葉を文字ったものかもしれない。

すぐに浮かぶものだと零や霊ってとこだろうか。


しかしこの暗闇のままってのは嫌な感じだ。目を開けてる感覚はあるのに何も見えない。

女の声もどこからか聞こえるか分からない。


「さてさて、まずは現状の説明ですね」


レイが指を鳴らすような音を立てると周囲の光景が一変する。

真っ暗闇で音もレイの声ぐらいしかしないはずだったのが、急に眩しく騒がしくなった。

なんだか見覚えがあると思えば当然で、先ほどまで(ゆう)が居た場所だ。

違うと言えば、やたらトラックの周辺には人集りが出来ていて、皆が表現し難い表情をしているくらい。

赤黒い液体の飛び散った所で運転手は呆然と立ち尽くし、子供は真っ青な顔に恐怖を貼り付けている。

そして、見るも無惨な男だった残骸が少し離れたところに転がっていた。


第三者として見せられた景色には現実感なんてものはまるでなく、優には,,それ,,が自身である感覚なんて生まれるはずがなかった。

ただ傍観者視点からくる哀れみと、気持ち悪いものを見せられた不快感、そして胸に穴を開けられたような虚無感が混ざり合う。


坂田(さかた) (ゆう)、主様はご覧の通り交通事故で死亡しました。享年24歳、道路に飛び出した子供を助けるためとは言え、なんと悲しく、痛ましいことでしょうか」


どこからか聞こえるレイの声だけでは、どんな表情をしているかまでは伺い知ることは出来ない。


「こんな人をこのまま死なせてしまっては大変だ、と言うわけで、魂に私の存在をぶち込んであげました。これで命拾い出来ましたね」


先ほどのやたら身体が熱いような感覚はレイと同調するための過程だったのか。


状況が飲み込めるようになってから、ようやく頭の方もまともに働くようになってきた。


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