表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君のいる風景

process

作者: 蒲公英
掲載日:2010/09/18

「こんばんは。」

駅で声をかけてきたのは知ってるような知らないような顔の、スーツ姿の男の子。

もしかしたら、どこかで会ったのを私が忘れてるのかしら。

ご近所だったり取引先だったりすると困るので、とりあえず返事をする。

「こんばんは。」

そのまま無難に行き過ぎようと愛想笑いもしたのに、彼は隣を歩いてくる。

どこ?どこで会った人?

記憶を一生懸命に探るけど、まったくわからない。


「夜、お会いすることは珍しいですよね。」

いや、私はあなたのことを覚えてないし、人違いじゃない?って言っていいのかしら。

「はぁ。」

不得要領の私の表情に、彼はやっと気がついたらしい。

「朝、7時53分の電車に、2両目の2番目のドアに乗ってますよね。」

「はい、そうですけど?」

彼は少し苦く笑って言った。

「俺、毎日あなたと同じところから乗ってるんです。」


あ、そうか、なるほど道理で知ってるような知らないような顔。

「よく顔なんて覚えてますね。」

呆れたように言葉に出てしまったので、彼はすこし赤くなった。


「前から、声かけたいなーなんて思ってたんですけど、会うのは朝だし。」

照れくさそうな顔が可愛らしいけど、きっと年下。

「とりあえず今、お茶に誘いたいんですけど、お時間どうですか。」

礼儀正しい誘いの言葉が来たので、お茶だけならとOKした。

男の子って表現がぴったりな彼は、まだ学生でも通じるほどの童顔で

きっとスーツよりもジーンズのほうが似合う。


駅前のスターバックスで、軽く自己紹介をしあった。

「つきあってる人がいないんなら、今度はメシ誘っていいですか。」

可愛い顔でニコニコしながら言うものだから、ちょっと断わりにくい。

「年下の子に誘われると、迷うなぁ。」

そんな風に返したら、彼はちょっと驚いた顔になった。

「俺、いくつに見えてます?」


私よりふたつ若い年齢を言ったら、彼は唇を尖らせて言った。

「あのさ、俺、童顔だけど君より上だと思う。」

あなたから君に変わったのは、不愉快だったから?

年齢を教えあったら、私よりみっつも上だった。

「きゃー、ごめんなさい!」

慌てる私に、彼は笑顔になって言った。


「これから、知り合いになっていきたいんだけど、どう?」

お読みいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ