042-テロリスト?それとも?
屋根の上に飛び上がった僕は、ジガスさんを後部に、ロームさんを客車の監視に向かうようにして、客車の上を駆ける。
「あった!」
先頭車両が見えた。
連結部分に入るか心配だったけれど、なんとか滑り込めた。
僕は三本の指だけで、なんとか連結部の解除を試みる。
「は....外れない.....ッ」
当たり前ではあるけど。
そう簡単に外れるわけがない。
分かってはいたけど.....
「ジガスさん!! お願いします!」
『よし来た!』
後部車両に張り付いたジガスさんが、そのまま線路に降りてウェイトになる。
普通の人間なら肉塊になるような状況だけど、アディブ人ならこの程度じゃ痛くも痒くもないって、僕は信じてる。
「せーのっ!」
手を振り上げて、全力で連結部を殴る。
一発で半壊して、かかっていた力で勝手に連結部が壊れた。
僕は急いで先頭車両との間に滑り込み、凄まじい速度で後ろに流れる地面を見た。
やれるのかな....僕に。
「いやいや!」
どのみち、このままだとおちが見えている。
僕は先頭車両を前に押し込み、地面に足を付ける。
「うわあああっ!!」
とんでもない力で、車両の下に引きずられそうになる。
だけど....今なら。
今の力なら、何とか押し返せる!
「っ!!」
足を思いっきり地面に突き刺すようにして、逆に僕が新幹線を押すようにする。
そうなると、客車は両方からの力で脱線すると思うけれど、後ろで引きずられていたジガスさんが何とかしてくれると思う。
「ぁぁぁああああっ!!」
全力で押し返す事数十秒。
ようやく、速度が落ちてきた。
同時に、僕の真横をペイラックに乗ったロームさんが並走する。
「坊主、俺は前を止めてくる!!
「はいっ!」
加速を続ける先頭車両を、ロームさんが何とかしてくれるらしい。
ならばと僕は、地面に足を引っかけて客車を止めた。
先ほどまですさまじい音を立てていた車輪が、止まったことで重々しい余韻と共に静かになった。
「よし!」
これで大丈夫。
僕がそう思った時、横から誰かに殴られた。
殴られたと気付いたのは、自分が吹っ飛んでいることを認識したから。
「ジガスさん、何を....」
フェンスにぶつかって止まった僕は、誰かがいる方を見た。
すると、そこには.....
ジガスさんとは似ても似つかない、黒い鱗のアディブ人が立っていた。
その全身から、恐ろしい気配を感じた。
「だ.....誰......があっ!?」
次の瞬間、目の前に現れたそいつが、僕を蹴り飛ばした。
何とか態勢を立て直そうとしたとき、首を掴まれて地面に叩きつけられた。
一体、何がどうなって......
「恨むなよ」
「ク――――」
何もわからない状態で、目の前に拳が見えて――――
直後。
その拳が、消えた。
慌てて起き上がると、眼前に緑色の鱗が見えた。
「おいおい、随分な歓迎じゃねえか? 自分から正体をばらすって言うのは......」
「ジガスさん!」
ジガスさんが割り込んでくれた。
こいつは、僕じゃ到底及ばない。
助けを呼ばないと.....
「我らの計画を妨害するとは」
「計画? やるならまず、イナクシスに連絡してからだろ?」
「それでは――――遅いのだ!」
「ぶごっ!!」
ジガスさんが何とか耐えてくれている間に、僕はクジェレンを起動して、レイシェさんに向けて襲われている事、ジガスさんがギリギリの相手である事、ロームさんは手が離せない事を送った。
ジガスさんが持つかどうかはわからなかったので、不安だったけれど....
『大丈夫よ、すぐ来るわ』
「すぐって......」
僕が顔を上げた時、空から何かが突っ込んできた。
それは、僕らの前で上昇の後静止して、ジガスさんと黒いアディブ人との間に立ちふさがった。
「貴様は......」
「よっす! 俺はドラム......つまり、お前の敵だ!!」
彼は、高らかにそう宣言した。
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