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UN-001  作者: 黴男
序章-『ఆశ్చర్యం』
35/46

035-温泉旅行3

「うーん...」

「どうした坊主、早く行こうぜ」


僕は、大浴場の前で悩んでいた。

男と女、どっちに入ればいいんだろう?

性格的に考えれば男なんだけど、哺乳類じゃないから乳頭もないとはいえこの体で男湯に入るのも憚られそうだ。


「......まあいいか」


僕は迷いを捨て、男湯の脱衣所へと入る。

続いて、ジガスさんとロームさんが続く。


「ここは何のスペースなんだ?」

「人間は服を着るでしょう? それを脱いでお風呂に入るんですよ」

「ああ...なるほどな、あれは水に浸っちゃいけないんだな」


アディブ人は服を着ない。

排泄をしないし、性器を露出しない構造になっているからだ。


「じゃ、開けますよ」

「ああ...楽しみだな!」


僕たちは、温泉に繋がる扉を開ける。

そして。


「おお〜...」

「へぇ、熱い池って感じか!」


大浴場は、とてもいい感じだった。

温い風呂と熱い風呂があって、奥にはジェットバスもある。

肝心の温泉の方は、檜の浴槽にお湯が流れ込んでいた。


「早速入ろうぜ!」

「待ってください」


僕は飛び込もうとしている二人を静止して、入り口近くにある掛け湯を指さす。


「僕らは外から入ってきたので汚れてますから、まずこれで汚れを落とす必要があるんです」

「なるほど、面白いなぁ」


掛け湯をしてから、僕たちは一番手前にあったお風呂に入る。


「.........ニンゲンはこれが気持ちいいのか?」

「わかんねえなあ...」


二人はよく分からないようだ。

かくいう僕も、温いというより冷たいように感じていた。

肉みたいで嫌な表現だけど、熱の通りが悪いんだと思う。


「もっと熱いところに行きますか?」

「ああ、そうしようぜ」


僕らは温い温度の浴槽から出て、より熱い方へ移動する。


「もうちょっと詰めてくれ」

「無理だろ」


熱い方は僕ら三人でギリギリ入れるくらいで、これまでないくらい密着する。

性別はないんだけど、なんだかこれはこれで嫌だ。


「やはり、分からねぇな」

「.........」


お湯の熱が伝わって来て、少なくとも僕は満足だったが....

二人は納得いかないようで、お湯から出てどこかへ行ってしまった。


「確かに、戦闘特化なら...」


熱耐性も僕よりずっと高いはず。

強くなるということは、こうしてどんどん人間から乖離していくことなんだ。


「.......あっ」


その時。

大浴場と更衣室を隔てるドアが開き、カスミのお父さんが現れた。

お父さんは確か.....英治さんだったかな?


「――――――」


英治さんはこちらに向けて挨拶すると、洗い場の方へ向かって行った。

僕もお湯から上がって、露天風呂へと向かった。







結局、二人はサウナをえらく気に入った様子で、二時間後も変わらず入っていた。

なんでも、あれくらいじゃないと殆ど温度を感じないらしい。

僕も一緒になって入ったけど、まだまだ僕だと熱かった。


「凄い湯気....ですね」

「ずっと入ってたからな」


二人が水風呂に入ると、物凄い蒸気が上がった。

鱗が熱を吸収していたせいで、水が一瞬で沸騰する温度になっていたのだ。


「とりあえず、水に30秒浸かって冷ましてください」

「そうするぜ」


二人は水に潜り、熱冷ましを行う。

すっかり熱が冷めた頃には、もう夕食まであと少しという時間だった。


「体をしっかり拭いてから出ましょう!」

「「ああ!」」


ジガスさんとロームさんは、化粧台に並ぶ品に色々と興味深そうにしていたけれど...

夕食は時間制なので仕方ない。


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