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UN-001  作者: 黴男
序章-『ఆశ్చర్యం』
30/46

030-死闘のすえに

「大丈夫か!?」

「...はい!


僕は駆け寄ってきたロームさんに抱きつかれる。

少し戸惑ったけれど、僕はその体をしっかりと抱きしめた。


「民間人と一緒だったんだな! 道理で変な場所に逃げ込むと思ったぜ」

「ええ、でも....助けに来てくれてありがとうございます」

「.....ああ、当然の事だぜ」


僕とロームさんはハイタッチをして、ジガスさんの方に向き直る。


「ぐおおお......てめえ、中々力が強いじゃねえの」

「貴様.....クソ、離せ!」


ロームさんがジガスさんの抑えているアディブ人へと襲い掛かり、羽交い絞めにする。


「民間の器物損壊に、街中での決闘騒ぎ! それに民間人への暴行! てめえはもうおしまいなんだよ!!」

「大人しく連行されろ!」


僕には圧倒的な強さを誇ったあのアディブ人も、二人の戦闘特化のスタイルの前では押し敗けて、動けなくされていた。

そして、ジガスさんがとあるものを取り出す。

手錠。


「大人しくしやがれ!」


あれは僕も見たことがある。

というか、実際に嵌められた事もある。

あれを付けられると、意識はあるのに身体が動かせなくなる。


「黙れっ、くそがああああああ!!」


直後、アディブ人が二人を振り切って上昇する。

まだ空気が残ってたんだ。

...いや、脱出のために残しておいたのか?


「坊主、やっちまえ!」

「はいっ!」


僕に向かってあるものが飛んでくる。

それは、手錠だった。


「ボクにできますかっ!?」

「逃げられる前にやれ!」

「......はい!」


初任務なのに、こんな重大な役目を任されるとは思わなかった。

でも、逃がすわけにはいかない。


「――――!」

「うん、頑張るよ!」


カスミの声を聞いて、僕は即座に振り返る。

僕は空を飛ぶ能力は持ってないし、跳躍力もそこまでじゃない。

でも、この建物を利用すればより高く昇れる。

上昇中のあいつに追いつける。


「っ!」


手足を使って、建物を垂直に登る。

次の掴まる場所を探しながら、昇って、昇って...


「見えた!」


上昇中のアディブ人に、僕は真上から飛びつく。


「離せ!」

「嫌だねっ!」


僕はめちゃくちゃに暴れ回るアディブ人の右腕を捉え、そこに手錠を噛ませた。


「劣等種に手を出しただけで、何故そんなに必死になる!」

「知らないよ、でもボクは...何があろうとお前を許さない!」


そして、手錠が金属音を立ててロックされる。


「グキ......動けな...」

「これで...終わりだっ!」


動けなくなった彼の手を取り、もう片方にも手錠を嵌めた。

推進力が完全に失われ、僕とアディブ人の彼は落下していく。


「マル...に、同情す......な、あいつ.........」

「?」


落ちていくとき、アディブ人が何か叫んでいるのが聞こえた。

でもそれは、風の音にかき消されてしまった。

僕は空を飛べないので、そのまま地上まで一気に落ちる。


「っ、はぁ!」


高所から落ちたけれど、痛みは特にない。

駆け寄ってきたジガスさんが、肩を掴んで僕を立たせてくれた。


「大手柄だぜ、クルス!」

「そ、そうですか?」

「あいつ、自分で罪状を重ねたからな。それをクルスが捕まえたとあっちゃ、大手柄も当然だな!」


なんだか悪いことをしたような気分になったけれど、それでも僕は目的を果たせた。


「(カスミ...)」


僕は、視線に気づいて微笑んでくれたカスミに、笑いかけたのであった。


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