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UN-001  作者: 黴男
序章-『ఆశ్చర్యం』
27/46

027-格上との戦い

「――――――!」

「う.......」


一瞬、意識が朦朧としていた。

眼を開けると、心配そうな表情のカスミが僕の手を握っていた。


「――――?」

「大丈夫」


僕は起き上がる。

少し遠くに、あのアディブ人の姿が見えた。


「......警備隊のガキか」

「...民間人に、手を出すな」


僕は精一杯威嚇するけれど、彼は動じる様子がない。

僕はアディブ人の幼体で、彼にとっては取るに足りない相手だから。


「民間人? ああ、そこにいるメスの家畜の事か」

「...家畜?」

「気に障る言い方だったか? なら幸いだな」


僕はカスミを庇うように立ち、逃げる準備をする。

このまま戦っても勝てない。


「逃げるのか?」

「民間人の.....救助を優先する」

「そうか」


良かった、逃がしてくれる。

そう僕が思った次の瞬間。


「――――っ!?」

「――――!!」

「ガキが、態々逃がしてやると思ったのか? 散々空からジロジロ見やがって」


僕は首を掴まれて持ち上げられた。

呼吸は必要ないので苦しくなることはないが、このまま行くと首が断裂する。

それほどの力で握りしめられている。


「は.....なせ」

「このまま頭から食らってやる」


アディブ人は大きく口を開けた。

冗談ではなく、多分このまま食べられる。

飛び降りなければよかった。

でも、カスミを見捨てることはできないし――――


「(そうだ)」


まだ出来ることがある。


「ぐぅ!? お前っ」

「ふぉ、ど、どうだ!」


僕は手に嚙みついた。

鋭い牙で鱗を突き破って、しっかり奥まで突き刺す。

まさか貫通されるとは思っていなかったみたいで、アディブ人は僕を振り回す。

でも、そのおかげか分からないけれど、僕はアディブ人の右腕を噛みちぎることができた。


「チッ......無駄な抵抗を」


アディブ人は即座に右腕を生やし、呟いた。

僕らを含め、アディブ人は異常な再生能力を持ってる。

腕を簡単に嚙みちぎれたのもそうだ、トカゲが尻尾を切るように分離の判断を下したんだ。


「く....」


僕は牙に刺さったままの腕を、手に持って引き抜こうとする。


「...え!?」


けれど、抜けた際に口内に入ってしまって、そのまま抵抗もなく飲み込んでしまった。


「うっ......うえぇえ....」


気持ち悪い。

血だけでも気持ち悪いのに、まさかあの腕を胃に入れることになるなんて。

吐き出そうとしたのに、吐き出せない。

身体がそれを拒否している。


「....その程度で、俺に勝ったつもりか?」

「元より勝つつもりなんてない!」


僕はカスミに腕を差し出す。

カスミが腕に掴まると同時に、僕は彼女を抱えて逃げ出す。


「逃さんぞ」


背後で風を切る音が響く。

確実に、こっちに向かってきてる。

後ろを見ると、翼を広げたアディブ人が一直線に突っ込んでくる。


「しっかり掴まってて!」


僕はカスミを強く抱きしめて、近くの建物の二階まで飛び上がる。

僕が室外機のある柵に着地すると、ギシッと音が鳴った。

そう長く上に乗ってはいられない。


「はあっ!!」


僕は更に跳んで、今度は別の家の屋根に着地する。

瓦が砕けて、足が沈む。


「あっ...ごめんなさい!」


慌てて謝りつつ、クジェレンを起動。

ジガスさんとロームさんに同時に通話を繋げる。

幸いにすぐに繋がった。


『坊主! どこにいる!?』

「ジガスさん! 手配犯と交戦中です、清掃工場...じゃ分からないや、大きくて白い構造物の下まで来てください!」

『分かった、すぐに向かう!』


そんな会話を交わした後、僕は別の屋根に飛び移る。

周囲を見渡すと、すぐ下をアディブ人の男が通り過ぎた。


「時間がない...」


僕は足に力を込めると、より高く跳躍する。

その際に屋根にとどめを刺してしまったので、後で弁償しておかないと...


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