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UN-001  作者: 黴男
序章-『ఆశ్చర్యం』
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022-ఉత్సుకత

柊太がいなくなってから、数ヶ月が経った。

彼がいなくなってから、私...相原佳澄の人生はどんどん複雑になっていっていった。

謎の異星人、アディブ人との遭遇。

それから、柊太についての調査。

でも、後者はうまくいかなかった。

柊太の足取りは全然掴めなくて、彼についての話題は不気味なほどの早さで薄れていった。

彼について触れれば触れるほど、あの不思議な雰囲気のアディブ人の事が気になってきた。

だけど、彼を特定する方法はなかった。

一介の人間である私が、アディブ人の個人を調べる権限があるわけがない。

だからかもしれない。

彼を見つけた時...つい、食事に誘ってしまったのは。


「......నేను దీన్ని ఆనందిస్తాను」


よくわからない言語で喋る彼は、一万円札を押し付けて来た。

奢らせる気はない、という事なのだと思う。


「お待たせしました、ご注文のミートソーススパゲッティです」


その時、店員がスパゲッティを持って来た。

彼はこのスパゲッティを、どう食べるのだろうか?


「異星人でも、食うもんは一緒なんだなぁ」

「それはそうだろ、じゃなきゃ何を食うってんだよ?」

「そりゃあ...菜食主義かもしれないだろ」

「あー確かにな」


隆吾と樫木は何を習ってきたのだろうと、私は思った。

アディブ人は地球人と同じ雑食で、肉食を好む傾向にある種族だ。

だからステーキを三枚も頼むんだと思う。


「......意外と普通の食い方だった」

「当たり前でしょ。私たちよりも知性があるんだから」


アディブ人は、スパゲッティをフォークで絡め取ると、口に運んだ。

凶悪な牙が剥き出しになるが、アディブ人はその牙を使う事なく丸呑みにする。

...のだけど、何やら引っ掛かっているようで、あまり美味しそうではないようだ。

ファミリーレストランの料理は口に合わないのだろうか?

私が一人悩んでいたその時、店員が残りの料理を全て運んできた。

彼の元にも、三つのステーキが届いた。


「.........」


固唾を飲んで、アディブ人がステーキを食べる様子を見守る。

...が、予想していたのとは裏腹に、アディブ人はフォークとナイフで肉を切り分け食べ始めた。

その口の大きさからは、想像もできない行為だ。

まるで、人間みたいに...


「(気になる...でも、彼にどうやって聞けばいいんだろう)」


アディブ人の発声は地球語に適していないから彼は日本語を喋れないだろうし、私たちの発声器官も彼らの言語には適していない。

だから私は、この唯一の参考人になりそうな人物に話が聞けない。

それが異様に、もどかしかった。


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