表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
UN-001  作者: 黴男
序章-『ఆశ్చర్యం』
16/46

016-上質なお肉

「頂きます」

「ええ、今日もお仕事お疲れ様」


僕は、夕食に手をつけた。

いつもは街の方の食堂で食事をしているのだけど、今日はたまたま配達任務が終わったのがここの近くだったので、寄ることに。


「それにしても、ここの食事よりあちらの方が美味しいと思うのだけれど.....いいのかしら?」


レイシェさんが、不思議そうにこちらを見ている。

もしかすると、アディブ人は食卓を囲む文化はないのかもしれない。


「.....地球人は、たまに皆で集まって食事をするんです、ジガスさん達ももうすぐ来るはずですよ」

「ああ......なるほど、地球人は絆を大切にする傾向があるものね」

「アディブ人はそうではないんですか?」

「基本的にはそうね、一人でご飯を食べる人の方が多いのよ、そのせいか、貴方みたいな訪問者に食事やお茶を振る舞う人も多いのよ?」


そうなんだ。

だから、やたらとご飯を奢られたりしてるんだなぁ。


「レイシェさんはどうなんですか?」

「私? 私はどっちでもいいわ.....でも、賑やかなのは嫌いじゃないのよ」

「そうですか....」

「もう少しご飯を食べに来てもいいって事よ」

「分かりました!」


その時、扉が開いた。

そして、ジガスさんとロームさんが姿を現す。


「おっす、坊主」

「よーう、久々だな?」


二人は挨拶をしつつ、部屋の真ん中まで移動する。

レイシェさんが壁のパネルに触れると、二人分の椅子が現れた。

僕も最近このパネルの使い方が分かってきて、扉を開けたり椅子を出したりなら出来るようになった。


「追加の飯持って来たぜ」

「その心配はなかったみたいだがな、もっと食えよクルス」

「ありがとうございます」


二人が持ってきたピザやステーキを、僕も遠慮なく貰う。

人間の頃だったら胃が痛くなりそうな夕食だけど、全然問題なく食べられる。


「美味しいですね」

「そりゃ良かった、ロームの自作だからな!」

「へへ」


あ、自作なんだ。

それはそうか。

アディブ人が買い物なんかに来たら、言葉は通じないし向こうはこっちを怖がるしで、最初の僕みたいになってしまう。

だから、自分で作るしかないよね。


「俺たちは穀類は食わねぇからよ......人間の料理のサイトを頑張って翻訳したんだ」

「ありがとうございます....」


どうお礼すればいいか、分からない。

自分のために何かをしてもらったことなんて、親代わりの人たちにしか....それももっと幼い時にしかなかった。


「いいって事よ! 配達任務は誰もやりたがらなかったからな!」

「厄介ごとを押し付けてこっちも心苦しいんだぜ、いつものお礼だと思って食え食え!」


総督府は当然総督府なので、普段分散している人たちがたまにやって来るけれど、大体は報告だけ済ませていく。

レイシェさん曰く、この地方で配達任務についているのは僕だけのようだ。


「カントウ地方なら、もっと人員が豊富なんだがな!」

「やっぱり、そうですか」


白石県は羅端地方にあるから、関東地方とは離れていて当然人も少ない。

そういう事みたいだ。


「関東地方で拾われていたら、僕はどうなってたんでしょう?」

「まず間違いなく、本星に強制送還ね。あそこの監査官は厳しいわ、まだ貴方の戸籍は出来ていないから、目を付けられないようにね」

「........はい」


レイシェさんは僕を養子という扱いにして戸籍を作ってくれているから、その恩は計り知れない。

その恩に報いるためにも、今はとにかく頑張らなきゃ。


「それにしても、ロームお前料理こんなに上手かったか?」

「高い肉を使ってるんだよ」

「なるほどなぁ」


高い肉というと、マルセア肉? の他に何かあるのかな?


「マルセア肉より上の肉があるんですね?」

「? 何言ってんだ」

「ああ...この場合で言う高い肉っていうのは、マルセア肉の中でも高級なものよ。養殖とは違うってことね」

「そうなんですか...」


不思議そうな顔をされた。

もしかして、マルセア肉っていうのは地球産の肉じゃないのかもしれない。

アディブ本星にはこの肉しかないとかなのかな?


「細かい考え事は後にして、メシを食うのに集中しようぜ!」

「は、はい」


そうだ。

今は目の前のご飯を食べてしまおう、そう考えて僕は食事に手をつけたのだった。


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ