015-愉快な二人組
しばらくすると、退屈してきた。
当然ではある。
見るべきものもないし......
適当に飲み物でも買って待とうかと思ったけど、喉があんまり乾かないので無駄な買い物だし、やめておこう。
「上に上がろうかな......」
僕はみんなと合流することにした。
エスカレーターを上がって、二階ほど進むと、売り場の喧騒に混じってアディブ語が聞こえてきた。
「――――からさ、これを押すとよ」
「スゲー!」
エレベーターを降りて、その売り場に行くと........
加湿器を前に屯するみんなが居た。
「何をしてるんですか?」
「お、クルスか」
僕が寄って声をかけると、ジガスさんは加湿器のスイッチを切った。
噴出していた水蒸気が止まる。
「見ろよこれ、スゴイよな」
「スゴイんですか?」
何がすごいんだろうと思ったけれど、物珍しさで来てるんだった。
水蒸気を噴き出す加湿器が相当珍しかったみたいだ。
「なぁ、これはどういう風に使うんだ?」
「え? 飾りじゃないのか?」
アディブ人は環境による影響を受けないから、加湿器とかそういう方面には知識がないのかも?
ここで僕が説明するのも変だし、黙っておくことにした。
「なぁ、これって電球だよな! なんで虹色に光るんだ?」
「わからん......ニンゲンの考えることは」
ゲーミングスタンドを見た人たちは、それに一斉に群がっていく。
それを見ていた僕に、ジガスさんが近寄ってきた。
「もどかしそうだな?」
「はい、あれの使い方は知ってるんですが....」
「ニンゲンってのは面白い発想をするよな、冷蔵庫とか......ものが腐ると食べられないってのも、知らなかったぜ」
「アディブ人なら食べられるんですか?」
「ちょっとヘンな味にはなるけどよ」
胃腸がすごく頑丈なのかな?
「でも、アディブ人も凄い科学力ですよね」
「ああ、頭に全振りした連中が作ってるからな.....オレにはさっぱりだ」
ああ、やっぱりそうなんだ。
アディブ人の頭脳特化型の人たちが理論を開発して作っているようで、ジガスさんたちのようなバランス型は全然さっぱりなのだそうだ。
「お前はちょっとズルい成長指数だからな、頭に振っとけよ」
「了解です」
僕は今心臓を強化している。
各部位を強化すると、その分だけ血とエネルギーが必要になっていくみたいだから。
「ちなみに、地球人は光の玉とか撃つのが夢なんだろ?」
「あ.....はい」
「上位の強さを持つ奴にはいるぜ? そういうやつ」
「そうなんですか......」
僕は驚く。
どんな仕組みで撃ってるかとても気になったからだ。
でも、
「いや、俺もわからん! すまん!」
「い、いえ.......僕もわからないので」
ジガスさんも知らないみたいだ。
なので、後でレイシェさんに聞いてみることになって話は終わった。
みんなはと言えば、
「ジガス! 俺これ買ったぜ!」
「これ、水を泡立てられるらしいぜ! めっちゃ珍しいんじゃねえか!?」
ゲーミングスタンドと炭酸水メーカーを買って喜んでいた。
「ジガスさん、そういえば....コンセントの形とか合うんですか?」
持って帰っても、合うコンセントプラグがあるかは謎だ。
僕のいる総督府も、コンセントの差込口らしきものは特になかった。
「大丈夫だ、壁のパネルから給電してるし、形が合わねぇなら工作機械で合間のプラグを作るんだぜ」
「そうなんですか........」
「お前が配達してる荷物の中には、そういう変換器も含まれてたりするんだぜ」
「そうなんですか.......」
「違法な工作機械で武器を作るヤツが居るからな、人間側に流されたら堪ったものじゃねぇ。....だから、工作機械は個人だと持てねえんだ」
「結構大事なお仕事なんですね」
「ああ。だから、誇りをもって頑張れよ」
それは全く別の問題じゃないかと思ったけど、せっかく励まされたので頑張ることにした僕だった。
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